暑いからといって何度も洗顔して放っておいたり、汗で濡れている肌を潤いだと誤解していませんか?強い日差しや過剰な汗と皮脂、エアコンの冷風にさらされる夏は、気づかないうちに砂漠肌になる 〝無意識乾燥〟の危険が!気を付けるべき点をドクターに伺いました。
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「無意識乾燥」ってどんな状態?
夏こそ「ふやかす」ではなく「潤う」ことが大事
肌の水分には「自由水」と「結合水」の2種があります。汗やミストなどで与えた角層内の水分は「自由水」と呼ばれ、湿度が80%以下になると蒸発してしまいます。一方、セラミドなどの「水分を抱える成分」と結合した「結合水」は、乾燥した環境でも蒸発せず肌に留まります。表面が湿っている夏の肌は、「自由水」で表面がふやけているだけで、中は乾燥しているのです。イヤーカフ¥17,600(ヴァンドームブティック/ヴァンドームブティック 銀座三越店)バングル¥52,800 リング<小指>¥22,000(ともにe.m./e.m.青山店)ワンピース、スタイリスト私物
早めに察知するためのチェックポイント
乾燥が進むと肌は硬くなります。皮膚が薄く、皮脂分泌が少ない頰の高い部分に指で触れて、硬くごわついていたら乾燥注意報。
メークするとカサつくのは、ファンデーションに「自由水」が吸収されたせい。潤いを安定させる「結合水」が不足しているサイン。
夕方に目の下がつっぱったり、縮緬ジワが目立つのも要注意。朝のスキンケアで補給した水分が時間と共に蒸発しています。
〝無意識乾燥〟にならないために気を付けることは?
1 クレンジングは穏やかに洗顔はしっかり
2 肌の中で水分と結びついて「結合水」を作る成分を浸透させる
3 加齢でセラミドを作る力が衰えるから角層ケアで代謝アップ
4 ターンオーバーの過程で結合水は作られるから正常なターンオーバーに
正常なターンオーバーにどんな化粧品を選べばいいですか?
ジェルやクリーム剤形の落としすぎないクレンジングと、酸化皮脂をきちんと落とす洗顔料が基本。その後には、「結合水」を作る成分セラミドやヒアルロン酸、エクトインなどが配合された化粧品を。乾燥肌は余計に紫外線を吸収するので危険です。
教えてくれたのは……吉木伸子先生
よしき銀座クリニック院長。皮膚科・形成外科・歯科・婦人科などを併設した最新の総合美容クリニックを率いる。皮膚科医として診療の傍ら、皮膚科学に基づいた正しいスキンケアを発信。
2023年『美ST』7月号掲載
撮影/向山裕信(vale.) モデル/橋本マナミ ヘア・メーク/Sai スタイリスト/Toriyama 悦代(One8tokyo) 取材/奥原京子 編集/石原晶子