毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「最新・金融経済教育」です。
最新・金融経済教育
窪田敦子(くぼた・あつこ)さん 金融経済教育を推進するため設立された中立・公正な認可法人「金融経済教育推進機構(J‐FLEC)」の事業内容の検討・稼働準備を金融庁で担当後、現在はJ‐FLECで「お金について学べる」コンテンツの企画などを担当。
地道奈子(じみち・なこ/28歳・派遣社員) 既婚・子なしのDINKS。新NISAへの移行を無事に終えて一息。ポイ活に精を出しつつ、サブスクやスマホなど、新しい固定費の見直しを、目下模索中。
人生プランを見据えたお金の知識を身につける。
奈子:先日、久しぶりに会った高校生の甥っ子から、「奈子ちゃんは、ちゃんと資産形成してる?」って突然聞かれて、びっくり! 金融経済教育ってここ数年で耳にしますけど、今の高校生はお金について、学校でどんなことを学んでいるのですか?
窪田:例えば金融の仕組みとか、お金の計画的な使い方といった基礎的なことを学びます。でも実は、これらの内容は、以前から扱われていたんですよ。
奈子:え!? じゃあ、私も学生時代に学んだのかな!? 記憶がないんですが…(苦笑)。
窪田:さらに2022年4月から、生涯を見通した計画の重要性について理解する際、資産形成の視点にも触れることになりました。
奈子:それは社会情勢を踏まえてのことですか? 最近、若い世代が新NISAなどを始めていると聞きますし。
窪田:社会情勢を踏まえて、というのはその通りですが、金融経済教育はただお金を増やすという視点で行うわけではありません。
奈子:というと?
窪田:人生の中でどういうことを実現していきたいか、そのためにどんなお金の知識や判断力を身につければいいのか。金融経済教育は自己実現やより自立的で安心かつ、豊かな生活を送るために重要なものなんです。
奈子:なるほど。具体的にはどんなことを高校生は学ぶのですか?
公民科と家庭科を中心にお金について学ぶ。
窪田:よく誤解されますが、時間割に「金融」という授業科目が加わったわけではありません。
奈子:てっきり、そうだとばかり。
窪田:金融の働きや金融を通した経済活動を学ぶのは公民科、家計の収入や支出、生活設計などについて学ぶのは家庭科です。学校によっては、数学の授業で金利の計算をしたり、グループワークで株について学んだり。いわゆる時間割の中で、横断的に行われているんです。
奈子:へぇ~。彼らの関心が高いトピックスはなんですか?
窪田:例えば大学進学を控えていて「奨学金について知りたい」という方が多いです。貸与型奨学金を返済せずに放置すると個人信用情報機関のブラックリストに載り、クレジットカードが作れなくなるなどのリスクもあるんです。でも、「それは知らなかった」という声もあり、金融経済教育の大切さを実感しています。
奈子:若いうちからお金について知っておくって大事ですね!
高校生が最低限身につけるべきお金の知識・判断力
1、家計管理
自分のために支払われている費用を知り、家計全体を意識しながらより良い選択・意思決定ができる。
2、生活設計
職業選択と生活設計を関連づけて考え、生涯の収支内容を理解して生活設計を立てる。
3、金融取引の基本としての素養
契約および契約に伴う責任に関する理解を深めるとともに、自ら情報を収集し消費生活に活用できる技能を身につける。
4、金融分野共通
お金や金融・経済の機能・役割を把握するとともに、預金、株式、債券、投資信託、保険など基本的な金融商品の内容を理解する。
5、保険商品
リスクを予測・制御して行動するとともに、加害事故を起こした場合には責任や補償問題が生じることを理解する。社会保険と民間保険の補完関係を理解する。
6、ローン・クレジット
貸与型の奨学金などローンの仕組みを理解し、返済方法や金利、延滞時の影響について考える。各種カードの機能や使用上の留意点を理解し、適切に行動する態度を身につける。
7、資産形成商品
基本的な金融商品の特徴とリスク・リターンの関係について理解し、自己責任で金融商品を選択する必要があることを理解する。リスク管理の方法や定期的に貯蓄・運用し続けることの大切さを理解する。
上記に加え、トラブルに対処できる具体的な方法を学び、外部の知見を適切に活用し、実際に行動できる技能を身につけることも学びます!