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[6/17発売]二宮和也初の〝著書〟『独断と偏見』取材会見で語られた心に残る言葉たち

嵐の活動を控えた今、二宮和也の〝アイドル〟論

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撮影/S a i

Q 書籍の中で、普段の二宮さんと、アイドルの二宮さんを大きく切り離して書かれていたかと思うが、二宮さんにとってのアイドルの概念、こうあるべきみたいな信念は?
二宮さん
こうあるべきと思っているのは、ちゃんと相手の欲求を叶えてあげるというか、なんか痒いところに手が届く存在でありたいなという風には思っていました。
エンタメ人として、最新、最先端のものを融合したり、また新たな可能性を…っていうのはもちろんありますけど、今この時に何を聞きたいのか、最新の曲ではないんじゃないか、もっとこう往年のヒット曲なんじゃないかとか、需要をちゃんと分かった上で叶えてあげられる人たちっていうのが、僕はアイドルなんじゃないかなという風に思っていますね。自分たちのことを支持してくれてるコミュニティの人たちが喜ぶことをまず第一にやっていく。そこが満たされていければ、一般的に、お茶の間って言われるところでお会いしている方々たちのところに、ようやくたどり着けるといいますか。やっぱり誠実に応援してくださってる方々が今何を望んでるのか、何が見たいのか。僕自身に関して言うと、応援してくださる方々のお父様お母様が、両手放しとまでは言わないですけど、「嵐のコンサートだったら行っていいよ」っていうような、なんとなくその存在が安全だし、安心だしで、応援してる子供がすごく楽しそうにしている、っていうものを提供できていたらいいなって常に思っているので、調整も冒険もしつつではありますが、そういった安心安全に繋がるものも同時に必要なのかなっていうのが、僕が思うアイドルの概念ですね。

Q SNSがない時代、ファンの温度感などを知るためにどういったことをされていた?
二宮さん
僕の時はファンレターがやっぱり1番でしたね。それ以外はあんまりなかったし、エゴサーチというものができるようになって、本当に幅が広がりました。僕は基本的に、映画とかはそこまではしないんですけども、連続ドラマとか続いてるものに関しては徹底的に(放映中に、SNSの反響を)洗っていきます。キャラクターがどうか、芝居が下手、なんかこう上手いだとか、いつもと同じだとか、そういうことはもちろんその一方であるとしても、あの展開はこうだ、この点がこうだった、展開読めて変だった、とかっていう意見に関しては、「なるほど」、「じゃ、それをどうしていけばいいんだろう」っていう。その意見を変えるためにやってるわけではないんですけど、これは良くなるかもしれないっていうものに関してはもう徹底的にやっていきます。ただ映画は、どの意見を見ても(すでに作品が)出来上がっちゃってるんで、っていう。でも良くなり得るものに関しては、僕は強いタイプなんだと思うし、そういう向き合いができるタイプなので、割と徹底的に意見吸い上げて、「なるほど」と思うのは拝借しますし、全体にも共有することも、割とありましたね。
ブラックペアンのシーズン2の時は、オペシーンの時にクラシックを使おうっていうのをずっと考えてて。で、自分なりに組み立てていったんだけど、なんかクラシックにすごい強い人たち(の意見)が、「あれはこの曲の方がいいんじゃない」と。それを聞いて、「なるほど」と。そういう捉え方をして、共存の仕方は今もしてますね。

Q 俳優業、バラエティ、youtube、本の出版と、近年ますますマルチに活躍されていますが、仕事に対する思い、向き合い方で、ここ数年で変化したことがあれば教えてください。
二宮さん
仕事に関わる変化というものに関しては、より責任を持つようになりました。本にも書いていますが、依頼された仕事を見るので。42(歳)にして初めて知るといいますか。(前)事務所に所属している時には、二宮が1番リーチするものはなんだろうっていうのを、プロの人たちに考えてもらって、自分のところに来たものを読み込んで、理解して表現するっていうのが今までの仕事の仕方だったんですけど、お受けするものも、お断りするものも、全て同一、平等に時間を費やして向き合うっていうのが、仕事に対して向き合って変わったところだったと思う。
時間に追われることはあるし、まだ追われてるんですが、スケジュール上、どうしても物理的に(二宮さんが)もう一人いないと間に合わないみたいなことでお断りするものも、「スケジュールがないんで、ごめんなさい」って言う前に一読させていただいて、どういうことか、(もし自分が受けられないなら)この人が似合いそうだなとか、あの人は他にいるんじゃないかなとかっていうのを考えながら、「自分がやる時には、どうやって立体的にできるだろう」とかっていうことも本当は平等に考えて、で、それを伝えた上でお断りするっていう。こういう、改めて感じる部分でした。それが1番変わったところかもしれません。

Q 二宮さん的に、この本をどんな人に届けたいと思うか。
二宮さん
同世代の方ももちろん、若い世代とか、働き方の価値観が違う世代の人たちがどういう風に思うんだろうなっていうのは興味深いところですね。僕自身も自分が仕事をする上で先輩の背中を見てきたし、先輩に意見を頂きたい、というのははあまりよろしくないというか、「見て感じろよ!」みたいな雰囲気の中でずっと過ごしていた10代、20代だった人間だったので。それが40代になり振り返ってみると、後輩とされる人たちに、今度こういうのがあるんで見てくださいとか、こういうの出てるんで意見くださいみたいなことを言われると、なんか割と、やっぱ時代って違うよなって。その都度のタイミング、世代の価値観っていうのは違うので、それに慣れてくのは必死というか。「わかった、いいね」みたいな感じで言ってくれるような先輩、僕には1人もいなかったので(笑)。だからこう、それを嘆くよりも、まず慣れなきゃなっていう風に思っている部分が多いので。自分の考えが、その世代たちにどう受け入れられるのか、説教臭く見えるのか、それはあなただからできるんだ、と思われるのか、まだまだひよっこだなっていう風に思ってもらえるのか。
どういった感想が出てくるのか気になるし、読んでいただきたいなという風に思いますね。

以上で取材会は終了に。最後の挨拶で二宮さんは最後にこう挨拶されていました。
「自分の誕生日にまさかこういう新書が出るとは思っていなくてですね、そういうきっかけを野呂さんにいただいて、どうかこう、1人でも多くの方々に届けていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。」

会見&過去インタビューを通して感じた、「二宮和也」という生き方

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編集Hがこの本を読んでまず最初に抱いた感想は「この人は、人生何回目なんだろう?」でした。それほどまでに、二宮さんの達観した思考回路と、〝誰かに喜んでもらうこと〟にフォーカスした生き方が印象的だったのです。
これまでに『MAQUIA』には2度ご出演いただいていますが、取材では「基本的に僕、自分のことに興味がないので」と話しながら、淡々と的確に、ユーモアを交えながら答えてくださいました。ただその思考の深淵にたどり着くには、取材する側も試されることを感じていました。
本書では、「信頼できる人って、ほんのわずかしかいない」と語っていた二宮さんが、信頼を預けたことがわかる編集者との対話から紡がれているため、「ここまで語ってくれるの!?」と驚くような率直な言葉が溢れています。実際、取材会でも、多くの編集者やライターからは、「信頼関係はどう築かれたのか」「どうしてここまで本音を語ったのか」といった質問が相次ぎました。

この本は、肩書きや立場以前に、一人の人間として魅力的な二宮和也さんの解像度をぐっと高めてくれます。そしてその俯瞰した目線の根底にある温かさに、きっと多くの人がまた惹かれるはずです。
この本が、MAQUIAと同じ集英社から発行され、世に送り出されることを、心から誇りに思います!ぜひ、手に取っていただけたら嬉しいです。

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