温泉時間の合間に楽しめる、ご当地楽「飛騨の匠体験」では、曲木のバッグハンドル作り&精油ブレンドを体験。「手業のひととき」では、HIDA(飛驒産業)の工場特別見学と、729通りから選ぶスツール作りにも挑戦しました。LOCARI編集部が実体験でレポートします。
「界 奥飛騨」は、温泉×飛騨木工を深掘りできる宿
飛騨の匠の心と技に触れて、滞在の余韻がぐっと濃くなる
雪景色を眺めながら温泉に浸かるだけでも、十分すぎるほど癒される「界 奥飛騨」。でもこの宿の魅力は、それだけではありません。飛騨の伝統文化や民藝に触れられる体験が滞在中に充実していて、温泉時間の合間にこの土地ならではの手仕事の世界に触れられるんです。
館内のトラベルライブラリーや、お食事の時間に使われている椅子には、世界に向けた日本発の家具ブランド HIDA(飛驒産業) で揃えられていて、木の手ざわりや匠の技術を日常の延長で自然と体感できます。
ライブラリー内にあるHIDAのベストセラー「CRESCENT アームチェア」は、飛騨の伝統的な曲木の技が生きていると聞いてびっくり。普段何気なく触れていた椅子にも、職人の工夫が詰まっていることを実感しました。
ほかにも、飛騨の木工にまつわる展示や体験がさりげなく散りばめられていて、歩くたびに小さな発見があるのも魅力のひとつ。
そこに「ご当地楽」や「手業のひととき」といったアクティビティが重なり、自分の手で木を曲げたり、木目を選んだり、香りをブレンドしたりと、実際に体験することで日本の技術の素晴らしさを実感できるのも「界 奥飛騨」ならでは。ここからは、実際に参加したアクティビティを紹介します。
まずはご当地楽「飛騨の匠体験」へ
曲木×風呂敷で、旅の相棒になる「バッグハンドル」作り
ご当地楽「飛騨の匠体験」では、飛騨を代表する木工技術「曲木(まげき)」に触れられます。
曲木とは、水と熱、蒸気でやわらかくした木材を、型を使って曲げる加工技術のこと。しなやかなカーブが美しいだけでなく、強度も出せるのが特徴だそうです。木を曲げるためには、山で伐採した木をあえて乾燥させ、水分を含ませて蒸し、乾燥させて形を定着させるという工程が必要で、水分量のコントロールが仕上がりの鍵になるのだとか。
体験で使うのは、木の板と土台。まっすぐな板を半円の木の型に乗せ、少しずつ曲げていき、風呂敷とセットで使えるバッグのハンドルに仕上げます。熱湯に入れてやわらかくなっているとはいえ、これがなかなか難しい。パキッと折れてしまわないよう力の入れ方に気をつけながら、じわじわ曲げていくのがコツです。
ハンドル部分ができたら、レンジで温めて乾かして仕上げへ。「界 奥飛騨」オリジナルの風呂敷をハンドルに通したら完成です。
ご当地楽「飛騨の匠体験」
1300年以上にわたる飛騨の匠の歴史に触れる、「飛騨の匠体験」。実際に木を曲げて、界オリジナルの風呂敷を結んで使う曲木のバッグハンドルを作ります。木の手触りや香りを感じながら、飛騨の木工技術を体験いただけるひとときです。
・期間 : 通年
・開催時間 : 毎日午後より開催
・所要時間 : 30分
・対象 : 年齢制限なし
・定員 : 各回12名
お部屋で仕上げるアドバンスグッズ「紙やすり」と「蜜蝋ワックス」
完成後に用意されているのが、仕上げのアドバンスグッズ「紙やすり」と「蜜蝋ワックス」。お部屋に戻ってから、バッグハンドルをさらに磨き上げられます。木の表面を少しずつ整えていくと、触れた瞬間にわかるほど手ざわりが変わっていくのが楽しい!
※このプログラムは、「手業のひととき」をご予約された方限定となります
最後に蜜蝋ワックスをのせると、木の表情がふっと深まって、しっとりとした質感に。手をかけたぶん愛着が増していくのが嬉しくて、持ち帰ったあとも大切に使いたくなりました。
「界」では、それぞれの施設オリジナルの風呂敷がアメニティとしてもらえるのも嬉しいポイント。ハンドルを付け替えて館内のちょっとしたお出かけに使うと、それだけで旅気分が高まります。次に別の「界」を訪れたときに風呂敷を付け替えて楽しむのも通な楽しみ方。
曲木の余韻のまま、次は“香り”をブレンド
飛驒産業が飛騨の樹木から抽出した精油で、旅の思い出の香りを自宅でも
曲木のバッグハンドルを仕上げたら、次は“香り”で旅の余韻を持ち帰る時間。飛驒産業が飛騨の樹木から抽出した精油を使って、自分好みにブレンドオイルを作りました。
ベースになるのは、スギ木部、スギ枝葉、ヒノキ枝葉など。枝葉は家具に使えないものも多いそうで、飛騨産業の企業理念として「木々を余すことなく使いたい」という想いから精油が生まれたと聞いて、香りだけじゃなくそこにあるストーリーまで含めて好きになりました。
香り選びのコツは、相性のいい香りは香りの系統が隣り合う系統の中から組み合わせるとまとまりやすく、柑橘系を足すとバランスが整いやすいのだとか。
私は寝る前に使いたい気分だったので、夜におすすめの香りを軸に、レモンとスイートオレンジ、イランイランをプラス。さらに、飛騨の樹木の香りからニオイコブシやコウヤマキをメインにして、華やかなベルガモットやゼラニウムを1滴加えました。
完成した香りは、森林浴みたいな落ち着きのあるベースに、花の華やかさをほんの少しプラス。「静かな夜」と名付けました。
旅から帰ってからも、夜は自宅でディフューザーに垂らして香りを楽しんでいます。ふわっと香るたびに癒されるのはもちろん、奥飛騨の余韻までよみがえります。
「手業のひととき」で、HIDA(飛驒産業)の工場へ
世界に向けた飛騨発の家具が生まれる現場を特別見学
次に体験したのが、手業のひととき「匠の心と技にふれる、ひとつだけの家具づくり」。「界」が2021年から大切にしている、職人や生産者の方々の“舞台裏”に触れられるご当地文化体験です。
このアクティビティでは、「界 奥飛騨」から車で1時間位の場所にある老舗家具メーカー「飛驒産業」を訪れ、木工家具ブランド HIDA のものづくりを特別に見学できます。木材の選定から加工、組み立て、仕上げまで、HIDAの家具が出来上がるまでの一連の流れを、現場の空気ごと見れるのが貴重でした。
中でも印象に残っているのが、曲木の工程。目の前で職人さんが機械を使って木をしなやかに曲げていく様子に、思わず見入ってしまいます。曲木のバッグハンドル作りを体験した直後だったからこそ、工程のひとつひとつがより深く刺さりました。
遊朴館 HIDA GALLERYで、世界に1つだけのスツール作りに挑戦
端材から選ぶ、わたしだけの組み合わせ
工場を見学したあとは、HIDA(飛驒産業)の家具づくりで生まれた木材の端材を活用して、オリジナルスツール作りへ。
スツールに使える端材は、ホワイトオーク・ウォルナット・ビーチの3種類。それぞれ木目の表情や色味が少しずつ違い、選び方次第で仕上がりの雰囲気ががらっと変わります。HIDA(飛驒産業)の製品づくりでは避けられる黒い斑点のような模様も、ここでは“その木ならではの個性”として楽しめるのがいいところ。
スツールに使う6つのパーツを自分好みに組み合わせられるので、組み合わせは最大729通り!「どの木を合わせよう…」と悩むのも楽しい時間。
手をかけた分だけ、愛が増す♡
組み立ての工程では、脚(3本)と脚をつなぐ部材(貫/ぬき)を組み合わせ、やすりで表面を整えながら少しずつ形にしていきます。パーツがぴたりとはまった瞬間の気持ちよさと、完成が近づくワクワク感。手を動かしているうちに、さっき工場で見たものづくりの景色が頭の中で繋がっていくのも楽しかったです。仕上げは塗装をたっぷり塗って完成!
完成したスツールには、このプラン限定の塗装と刻印入り。旅の記念として持ち帰って、家でも楽しめるのが嬉しいポイントです。木のあたたかさと、座ったときのフィット感まで心地よくて、すっかりお気に入りになりました。
手業のひととき「匠の心と技にふれる、 ひとつだけの家具づくり」
飛驒産業での工場見学、オリジナルスツール製作体験
・期間 : 2025年12月1日~の毎週火曜日・金曜日で通年開催
・開催時間 : 10:30 AM~12:30 PM(工場見学:30~45分、スツール製作体験:1時間30分)
・対象 : 大人
・料金 : 1名あたり20,000円(税込)
・定員 : 4名
・集合場所 高山市内飛驒産業施設(工場見学:飛驒産業第一工場、製作体験:遊朴館 HIDA GALLERY)
・申し込み期限 : 7日前まで
ランチは、遊朴館 HIDA GALLERY内の「CAFE & TABLE 工」へ
スツール作りのあとは、同じ施設内にある「CAFE & TABLE 工」でランチ。木に囲まれた温もりある優しい雰囲気。家具や作品を眺めながら、身体に優しいごはんが楽しめます。この日は、「豚の梅肉煮と飛騨やさいの焼き浸し」と、「国産鶏と飛騨の肉厚椎茸のソテー バルサミコ醤油風味」をオーダー。
しっかりご褒美感のあるメイン
「豚の梅肉煮と飛騨やさいの焼き浸し」は、岐阜県産の瑞浪(みずなみ)ボーノポークをじっくり煮込んだ“梅角煮”が主役。肉の旨みと脂の甘みがしっかり感じられて、噛むたびにおいしさが広がります。煮卵と切り干し大根のサラダも添えられていて、味も食感もバランス◎。梅角煮は味がしみしみで、口に入れた瞬間ほろっとほどけるやわらかさ♡
「国産鶏と飛騨の肉厚椎茸のソテー バルサミコ醤油風味」は、お醤油の香ばしさに、バルサミコの甘みと酸味がほんのり重なるチキンソテー。肉厚の椎茸は弾力があって、まるでステーキみたいな食べごたえです。噛むとじゅわっと旨みが出てきて、椎茸好きにはたまらない一皿でした。
土からこだわる野菜が主役。やさしいのに満足感◎
野菜のおいしさにも感動!土づくりからこだわって育てているという「スギ山水」のお野菜が使われていて、フレッシュで野菜そのものの味が感じられました。副菜のサラダは、春菊と切り干し大根にレモン胡椒がきいていて、春菊のほろ苦さとレモンの酸味がすっきり。
酵素玄米と、こも豆腐の味噌汁が沁みる
ご飯は、高山の農家さんから仕入れた玄米を発酵させ、大豆を混ぜた酵素玄米。もっちりしていて、噛むほど甘みが出て美味しかったです。お味噌汁は、高山の伝統風の「こも豆腐」を使った一杯で、きのこの旨みがきいたやさしい味噌味に、冬瓜のフルーティーな甘さと食感が重なります。ほっとするのに印象に残る味で、最後まで大満足でした。
作品を眺めるだけでも楽しい、感性が整うギャラリー
館内には、HIDA(飛驒産業)の家具に合う器やインテリアが並びます。さまざまな作家さんの作品が並んでいて、見ているだけでも楽しい空間。
さらに、「界 奥飛騨」のライブラリーラウンジにも置かれていたアロマオイルの販売も!種類が豊富なので、香りを試しながらお気に入りの香りを見つけてみて。
「界 奥飛騨」は、手仕事に触れるほど余韻が深まる宿
雪景色を眺めながら温泉に浸かるだけでも、十分に癒される「界 奥飛騨」。実際に滞在してみて感じたのは、ここは“泊まる”だけで終わらない宿だということでした。
曲木のバッグハンドル作りで木に触れ、紙やすりと蜜蝋ワックスで手ざわりを育てる時間。飛騨の樹木から生まれた精油をブレンドして、好きな香りをつくる体験。
そして「手業のひととき」では、HIDA(飛驒産業)の工場で家具が生まれる工程を目の前で見て、端材からスツールを形にしていきます。体験を重ねるほど、館内で何気なく触れていた椅子の丸みや木の質感まで、見え方が変わってくるのが面白い!飛騨木工の世界がぐっと身近になります。
持ち帰ったバッグハンドルやスツール、香り。旅から戻った後も、ふと手に取ったり香らせたりするたびに、奥飛騨の静けさがよみがえります。温泉で癒されて、手仕事に触れて、この土地の文化を知る。「界 奥飛騨」で、飛騨の匠の心と技にふれる旅を、ぜひ体験してみてくださいね。
ライター YUUKI