郵便局で実際に遭遇した話です。
当時まだ10ヶ月の息子をベビーカーに乗せて郵便局に行ったときのこと。郵便窓口の順番を待っていた筆者のすぐ近くに保険の窓口がありました。そこでは筆者の母と同じくらいの年齢と思われる女性が、窓口の人に相談をしていました。大きな声で相談していたので、話している内容が聞こえてきます。
「うちの孫、男の子なんだけれど、今半年なの」
その女性は、筆者の息子と同じくらいの孫がいるようでした。私の母と似た境遇なのかも、とつい筆者は興味を持ってしまって、ちょっと聞き耳を立ててしまいました。
孫のために何をする?
「何かと教育費はかかるわよね。大学までって考えるとそれなりに備えておかないとダメだと思うのよ。やっぱり早いうちから学資保険に入っておくのがいいって思ったのよー」
学資保険の加入を検討している方のようです。窓口の担当者の方がプランなどの説明をしています。
孫のために学資保険に入って将来の学費を支援するというのはすごくいいアイディアなのではないかと内心筆者は感動していました。
小さい頃からおもちゃをたくさん買い与えるのもいいこととは思えないし、洋服など実用品をもらえるのはありがたいけれど趣味が合わないこともあったり、いつも心から喜べるものではなかったり。しかも赤ちゃんの洋服なんて、言ってしまえば、大人の自己満足と言ってしまえばそれまで。
なんて素晴らしいばあばだ! と思っていたのですが、その方の会話は思わぬ方向に進みました。
垣間見えた義母の本音
「孫には幸せになって欲しいって思うのよ。お嫁さんは、どうでもいいんだけれどねぇ」
お嫁さんのことを、そんなふうに思っているの!? 筆者自身のことではないのですが、ちょっとショックでした。
「ママは幸せでなくて、その息子だけ幸せなことって、そんな家庭はあるのでしょうか。親が幸せでなかったらそのお子さんも幸せにはなれないと思いますが」
その方に直接問いただしたいくらいでしたが、筆者にはそんな度胸もなく、ただ黙って聞こえていないふりをしていました。
子どもの幸せと親の幸せ
筆者は知らん顔しながら、別のことが頭をよぎりました。
赤ちゃんのお世話に追われていつも必死、一生懸命。あっという間に過ぎていく毎日の中で、筆者自身、赤ちゃんのことしか考えていないけれど、それでいいのかな。ママが幸せでないと、子どもは「幸せ」を知ることができないのでは。
ママの幸せ、自分自身の幸せって何だろう。そのとき初めて真剣に考えられるようになった気がします。
「自分の子が健康で笑顔を見せてくれたら幸せかなあ」
そう考えると、筆者自身ほとんど毎日「幸せ」な生活を送っていることになるかもしれません。離乳食を食べてくれないとか、お昼寝しないとか、家事ができないとか、イライラすることばかりと思っていましたが、実は自分の幸せに比べたら大したことではなさそうです。
郵便局で聞いた会話にとても不愉快な思いでしたが、これから長い子育てをするうえで大切なことを知るきっかけになったように思いました。
文・野口由美子 編集・山内ウェンディ