9月に入り敬老の日が近づいてきました。おじいちゃん、おばあちゃんへのお祝いにぴったりなのはやっぱり老舗のあんこ菓子。今回紹介するあんこ菓子は、名古屋の老舗「美濃忠」の「おぐら金時」です。
9月に入り敬老の日が近づいてきました。おじいちゃん、おばあちゃんへのお祝いにぴったりなのはやっぱり老舗のあんこ菓子。今回紹介するあんこ菓子は、名古屋の老舗「美濃忠」の「おぐら金時」です。
自家製餡で作られるお菓子が人気の老舗和菓子店
美濃忠は160年以上の歴史をもつ、愛知県を代表する老舗和菓子店です。尾張藩御用の菓子屋を勤めた桔梗屋から暖簾分けされ、安政元年(1854年)に名古屋城下和泉町(現在の丸の内)で創業したことに始まります。職人こだわりのあんこ菓子は、羊羹を中心にすべてが自家製餡で作られ、今や地域を越えて愛される名作ぞろいです。
中でも「おぐら金時」は30年以上も売れ続くロングセラー商品で、製法は今も変わらず、多くのあんこ菓子好きを虜にする人気の商品です。栗を羊羹で包んだおぐら金時は、ひと言でいえば栗羊羹と言えるかもしれません。その製法は実にシンプルで、その分、職人の技が光ります。
大納言小豆の魅力が完璧なまでに引き出された栗羊羹
まず、あんこは粒が割れないように、丁寧に炊いていきます。使用する小豆は、北海道産大納言100%で、ふっくら大粒の豆感を存分に愉しむことができます。腹割れするとあんこがどろっとしてしまい、良い食感が得られません。粒の形がそのまま残るよう、丁寧に作られていることがよくわかります。
そして、羊羹の原液づくりにもこだわりがあります。寒天には、岐阜県産の天然糸寒天を使用。これを湯でといたものに、砂糖の中でも最も純度の高い白ザラ糖を加え、攪拌しながら、先程の大納言小豆あんを混ぜ合わせ煮詰めていきます。
それをパッケージに流し込み、そこに栗の甘露煮をまるまる一粒入れて冷やし固めるのですが、この栗の甘露煮もまた洗練された独自製法により作られています。蜜漬けを繰り返し、丹念に蒸篭で蒸し上げられることで、栗の風味を損なうことなく、心地よい柔らかさとなり、食べる人の気持ちをうっとりさせてくれます。
栗と大納言の相性のよい美味しさが凝縮された和菓子
美濃忠のおぐら金時は味・食感ともに実に繊細で、大納言小豆あんと栗の甘露煮の見事なまでの調和は、類稀なる職人技を、文字通り噛みしめて味わうことができます。もはや、おぐら金時は栗と大納言小豆の美味しさがぎゅっと詰まった小宇宙であり、ひと口であんこ菓子の真髄を愉しむことができる贅沢な逸品と言えるでしょう。