無料の会員登録をすると
お気に入りができます

陽光が降り注ぐ 中央に設けた吹き抜けが家族の一体感を生み出す

コロナ禍において家族で一緒に過ごす時間が増えたHさん一家。日々の暮らしの中で、中央に設けた吹き抜けがさりげなく家族をつないでいる。

起伏に富んだ、東京・大田区の閑静な住宅街。近くには富士山を望めるスポットもある高台の一角に、Hさん夫妻と5歳になる娘さんは暮らす。偶然出会ったというこの土地は、幅員約6mの広めの道路に面した角地。開放感があり、交通量も少ない静かな環境が気に入ったという。
「兵庫県出身で、静かで落ち着いた住宅地で育ったため、東京によくある狭小3階建てや家に囲まれている環境が苦手だったんです。ここは最寄りの駅から静かな街並みが続き、家と家の距離もゆったり取られています。道路幅と街の雰囲気で決めました」(ご主人)。
“リビングに家族が自然に集うような家”を求めたHさん夫妻。角地で開放的な土地の特性を活かしつつ、その要望に見事に応えたのが建築家の山本浩三さん。敷地面積に対する建築面積や床面積の割合から熟慮し、1階にLDKを配置し、その上部に大きな吹き抜けを設けるプランを提案した。
「この敷地は、建ぺい率50%ですが、角地のため10%加算され、合計60%になります。容積率は100%なので、1階に敷地面積の60%を確保すると、2階は残りの40%になる。これ以上の床は無理でも、20%の吹き抜け空間なら作れるのです。そのため、住空間としては120%を確保できるというわけです」(山本さん)。
敷地のほぼ中央に大きな吹き抜けを設け、それを囲むように玄関や駐車スペース、バルコニー、各居室など生活のあらゆるパーツを配置した。玄関から一続きのLDK、さらにリビング階段にすることで、家を出入りする家族がリビングに自然と集まってくる。また、吹き抜けを介して、どこにいても家族の気配を感じられる家となった。

picture

玄関を入るとすぐに大きな吹き抜けをもつ開放的なLDKにつながる。現在、左上の壁にかける絵画を探しているそう。

picture

リビングに座るとバルコニーの開口を通して空が見える。シーリングファンで空気を循環。

picture

2階のワークスペースからLDKを見下ろす。1階と2階での会話も自然に生まれる。

picture

幅員約6mの道路に面した角地にゆったりと建つ。「真新しいものより古くて味のあるものが好き」というご主人の愛車は、32年前のランドクルーザー。

「1階のリビングは明るさが十分取れるのか心配でしたが、採光も通風もしっかり考えて造っていただきました」(ご主人)。
南側のバルコニーの大きな開口をはじめ、プライバシーを守りながらも光と風を導くよう計算して窓が配置されているため、リビングはもちろんどこにいても明るく心地よい空間となった。
「道路幅があり、建ぺい率も低いため、家と家との間に距離ができることで、自然光や風がたっぷり入ってくるのです」(山本さん)。
1階は広々としたワンルームにこだわったご主人。柱を立てず、華奢な手すりの片持ち階段にし、抜け感を意識した。
すっきりとしたステンレスキッチンは奥さまの希望で対面式に。
「料理をしながらこの広い空間を見渡せたら気持ちいいと思いまして。娘が遊んでいるのも見えるし、2階で仕事をしている夫にも気軽に声をかけられますね」。
バルコニーで洗濯物を干していてもリビングの様子が見え、リビングにいる娘さんからはママの姿が見えるため、安心感もある。小さな子どもへ配慮した造りになっている。

picture

抜け感にこだわったご主人の強い希望で、約22畳のLDKには柱を設けなかった。その分、天井や床下に太い梁を通し、強度を保っている。

picture

リビング階段は片持ちタイプに最低限の手すりを付け、軽やかに仕上げた。ダイニングの真鍮の照明は『ニューライトポタリー』。「経年変化を感じられるものが好き」というご主人が最初から決めていたそう。

picture

シャープなステンレスキッチンは『サンワカンパニー』。奥の窓から光と風が入る。「コロナの外出自粛期間中は娘とよくお菓子を作っていました」と奥さま。花やグリーンを娘さんと一緒に活けることもあるそう。

picture

レッドシダーの天井が窓の外まで延び、広さを強調。「寝室の窓からバルコニーの上、右側の窓下のラインと一直線につながっているのが美しくて好きです」と奥さま。

picture

この夏はバルコニーが活躍。「初夏にはバーベキュー、真夏には子どものプールを出して遊びました」。道路からの視線を気にせず楽しめる。

picture

ワークスペースの奥に位置する子ども部屋。カラフルなディスプレイが可愛らしい。

picture

ウォーキングクローゼットには寝室からとワークスペース側の2か所から出入り可能。夜遅くなったときなど、寝室を通らず着替えができる。

picture

寝室の上には、勾配天井を活かした大型収納がある。寝室と同じスペースほどあり、「なんでも詰め込めて便利です」とご主人。

Hさん一家がここで暮らし始めたのは昨年の12月。新型コロナウィルスが話題にもなっていないときである。外資系広告代理店でクリエイティブディレクターとして活躍するご主人は、以前は毎晩のように帰宅が遅かったそうだが、現在はほぼ毎日在宅勤務に。2階のワークスペースで1日のほとんどを過ごすという。
「家の設計を考えているときは、こんなにこのワークスペースを使うとは思っていませんでした。ここからは1階が見渡せて、目の前のバルコニーで遊ぶ娘の姿も見えます。家族を常に感じられ、毎日気持ちよく仕事をしています」。
コロナ禍において家族で一緒に過ごす時間が増えたHさん一家。
「くしくも娘との時間が持てるようになりました。家族とつながりながらも仕事には集中できるため、結果的に良いワークライフバランスになっていると感じますね」と話すご主人。その充実した表情から、“新しい生活”がより豊かな時間をもたらしてくれたことが伝わってくる。これからも一層家族の絆を深めていかれることだろう。

picture

機能満載の『ハーマンミラー』のアーロンチェアに座り、仕事に集中。お絵描きをしている娘さんと並んで仕事をするのが、嬉しいひととき。

picture
オリジナルサイトで読む
記事に関するお問い合わせ