『発達障害で生まれてくれてありがとう シングルマザーがわが子を東大に入れるまで』
「我が家も発達障害の子どもがいます。この本にある大夢君の幼い頃や小学生時代のエピソードに、我が子の忘れかけていた困った行動や不可解なこだわりや言動を思い出しました。我が子もそうですが、何でそうするのか、またはしたくないのか。当時は言葉にできないことが多かったなぁと。ずーっと後になって『あの時は◯◯◯が嫌だったんだ、だから◯◯したんだ』など、なんでもない時に話してくれたり。妙に記憶力が良くて、幼い頃の言動の解説をしてくれるという時空を超えたプレゼントをしてくれたりもします。あの時、それを知ってたらあんなに怒らなかったのに……落ち込まなかったのに……と、胸がチクリと痛みます。大夢君のお母さんは『大夢は大夢だから』と、チラリと諦めも交えつつ腹をくくってお子さんを育てていたのには頭が下がります。そうでした、そうなんです!! 発達障害児はその子なりのペースがあって、今はできなくてもできるようになる時がくることもある。思いがけず興味のスイッチが入って、グワーッと深掘りを始めることもある。親の仕事は、“子どもを丸ごと受け止める”“その子なりの成長を見守る”そういったことをひっくるめて“腹をくくる”ことかもしれません。子育ての基本に気づかせてくれる本です」Y.Sさん(小5、高1の母)
子どものありのままを、抱きしめよう。わが子をそのまま受け入れることの大切さを問う、地域初の発達障害児を育て上げた母による感動の手記。菊地ユキ・著(光文社)
取材・文/髙田翔子