小豆のやさしい甘さ、派手さはないけれど心温まる姿かたち。さりげない贈りものの代表格に挙げられるのが、あんこのお菓子。丁寧に作られた日本の伝統のスイーツは、気の置けない友達はもちろん、目上の方に差し上げるシチュエーションにもぴったり。楚々とした上生菓子から季節限定の羊羹まで、4人のあんこ好きたちに“間違いなし”の逸品を選んでもらいました。
季節が伝わる美しい上生菓子を手みやげに。 空也 上生菓子 6個入り¥1,800(税込み) [エディトリアルデザイナー・茂木隆行さんSelect]
銀座の並木通りに70年近く店を構える、和菓子の名店。「最中が有名ですが、上生菓子の詰め合わせもとてもおいしく、美しい。ひとつひとつに季節が感じられて、自分自身もいつも楽しみにしています」。写真は詰め合わせの一例で、右が胡麻求肥、左は蒸し菓子の浮島。季節で中身は変わり、11月からは白あんを黄身あんの練り切りで包んだ、瓢箪型の「黄身瓢」などが入る予定。上生菓子は日によって売り切れることもあり、電話で早めに予約を。東京都中央区銀座6-7-19 TEL:03・3571・3304 10:00~17:00(土曜~16:00) 日・祝日休
甘酸っぱい果実とあんの幸せな取り合わせ。 果匠 正庵 あんず大福 8個カゴ入り¥2,000 [ブランディングディレクター・福田春美さんSelect]
うっすらと透けて見えるオレンジ色もきれいな、小ぶりの大福。あんずとあんを一緒に包むのではなく、まずあんずを餅で包み、その餅であんを包む。このひと手間をかけることで果実の甘酸っぱさと粒あんのほどよい甘さの双方が際立ち、あとを引くおいしさに。工夫を重ねて編み出されたお菓子は、20年来のロングセラー。「あんずとあんこの量も、黄金比と呼びたいくらい完璧なバランス。私の差し入れの定番です」。バラ売りもあり、1個¥200。東京都渋谷区広尾1-9-20 TEL:03・3441・1822 10:00~19:00(日・祝日~17:00) 無休
辛党もきっと気に入る、塩気のきいた最中。 中里菓子店 揚最中 6個入り¥1,236(税込み) [料理人・坂田阿希子さんSelect]
パリッと揚げた厚みのある塩味の皮で、甘みの強いあんこを挟んだコクのある最中。「ごま油の香りとあんこ、塩気がとてもよく合っていて、止まらなくなるおいしさ。ぱりぱりとした食感はみんな好きですし、甘いものが苦手な人にも気に入ってもらえると思います」。この「揚最中」のほか、黒糖風味のもっちりとした皮の「南蛮焼」も人気。取り寄せ可。東京都北区中里1-6-11 TEL:03・3823・2571 10:00~18:00(土・祝日~17:00) 日曜休 大丸東京店にも店舗あり。午後は品薄になることも。早めの来店がおすすめ。http://nakazato-kashi.jp
ふくよかな竹皮の香りに包まれた、この時季だけのお楽しみ。 京菓子 岬屋 竹栗蒸 1本(約19cm)¥2,500 [『森岡書店』店主・森岡督行さんSelect]
「季節感を伝えられるのも、和菓子の手みやげのいいところ。秋は何といっても栗羊羹です。今の時季だけ作るお店が多いのですが、なかでも岬屋のものは別格のおいしさです」。竹皮で包んで蒸し上げたあんの中には、自家製の栗の蜜煮がぎっしりと。「あんと、栗の調和が素晴らしい。表面に竹の皮目が付いた様子も風情があります。手に入れづらい品だけに、手みやげにするといっそう喜ばれます」。販売は11月初旬まで。2日前までに電話で予約を。東京都渋谷区富ヶ谷2-17-7 TEL:03・3467・8468 9:00~18:00 日・月曜休
茂木隆行さん エディトリアルデザイナー。お菓子や料理のレシピ本を中心にブックデザインを手がける。撮影現場への差し入れは、甘いものが定番。
福田春美さん ブランディングディレクター。日本が誇る小豆の名産地・北海道の生まれ。Instagram(@haruhamiru)にはおいしいものがたくさん登場。
坂田阿希子さん 料理人。本誌ほかメディアで活躍。「お正月はお雑煮とおしるこが一緒にテーブルに並ぶ」という家に育ち、小さい頃から大のあんこ好き。
森岡督行さん 期間限定で一冊の本を販売する『森岡書店』店主。展覧会への差し入れは、どら焼きや最中など比較的日持ちするあんこ菓子を選ぶことが多い。
※『anan』2018年11月7日号より。写真・市原慶子 スタイリスト・大谷優依 取材、文・新田草子
(by anan編集部)
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