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[本から学びが広がる]多様性社会に向けて「隣人」を学ぶ本3冊をセレクト

学び方にはいろんな種類があるものの、いちばん手軽にスタートできるのは読書。多様性が叫ばれる世の中でまず何を知ったらいいのかと迷う人には、こちらの本から入るのがおすすめ!

自分の中の常識や刷り込みが刷新されていく一冊!

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『ヘルシンキ 生活の練習』
朴沙羅著 筑摩書房
北欧での生活ってさぞかし素敵だろうな……という期待感をいい意味で裏切る本書。カルチャーショックとも呼べる作者のエピソードの数々に、読みながら目を丸くして衝撃を受け続けました。どちらの国がいい・悪いということではなく、海外生活の体験談を通して、多様な価値観や世界観を知ることができます。他者を認めるには自分のありようや、心の動きを深く観察することが大切だと気づかされた本でもありました。(鈴木美波さん)

メキシコ移民の姿から見えてくる風景がある

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『マンゴー通り、ときどきさよなら』
サンドラ・シスネロス著 くぼたのぞみ訳 白水Uブックス
アメリカの豊かさを求め、メキシコ国境を越えた移民の物語。魅力は文体、そしてスペイン語で希望を意味する少女の軽やかな語りと感性です。隣人との距離が近くて住人の入れ替わりが激しく、世間からは治安を心配されるマンゴー通りのアパート。主人公一家をはじめ、人々のエピソードが断章形式で書かれます。著者の目は困難を乗り越えた移民などの社会的な弱者を見つめています。小説から「学ぶ」ことも多いはず。(江南亜美子さん)

経済成長すれば、みんな一緒になる?

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『ブルースだってただの唄 黒人女性の仕事と生活』
藤本和子著 ちくま文庫
1980年代、アメリカで暮らす黒人女性に聞き書きをした一冊から伝わってくるのは、平等や多様性といった言葉が隠し持っている暴力性。もちろん、その言葉はとても大切な言葉なのだけれど、それだけを言っていればなんとかなるって感じがどんどん強くなってきてしまった昨今。著者は、耳をすまして、聞くことで、わたしたちを変えもする、と書いています。相手のアイデンティティに配慮のない身勝手な振る舞いがまだまだ続いています。(武田砂鉄さん)

撮影/kimyongduck 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2022年2月号掲載

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