今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
宙をみつめる
今週のさそり座は、もう1つの現実を今ここに重ねていこうとするような星回り。
『芭蕉野分して盥に雨を聞く夜哉』(松尾芭蕉)は、前年の冬に当時の大都会・日本橋から、隅田川の向こう岸である深川の庵に隠棲して初めての秋に詠まれた一句。
作者の心の奥深くにあったのは心細さやみじめさではなく、むしろ憧れの漢詩人たちと同じ侘しい境遇にどっぷりと浸ることのできたよろこびであり、この隠棲そのものが漢詩の世界のパロディという高度かつ真剣な遊びだったのだと言えます。
あなたもまた、これはという仮想世界に思いきり浸っていくつもりで過ごしてみるといいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
木々の梢の触れあい
今週のいて座は、独りでありながら、他者と深く結びついていることを発見していこうとするような星回り。
20世紀後半にハンナ・アーレントという女性の哲学者は『人間の条件(後に敢行された母国語であるドイツ語版では『活動的生』)』において、人間の「活動的生活」は「労働」と「仕事」に加え、「活動」という3つの要素が折り重なるようにして存在しているとした上で、「活動」をめぐって次のように述べています。
「活動actionとは、物あるいは事柄の介入なしに直接人と人との間で行われる唯一の活動力であり、多数性という人間の条件、すなわち、地球上に生き世界に住むのが一人の人間manではなく、多数の人間menであるという事実と対応している。」
あなたもまた、みずからがコミットするべき同胞とは誰なのか、そして彼らとはいかなる内なる思いによってつながっているのかを確認していくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
率直に公開しよう
今週のやぎ座は、自分を大きく見せるような真似の一切を打ち捨てていこうとするような星回り。
『手に何もなく秋晴を歩くこと』(富安風生)という句のごとし。戦時中のように武器を手の取ることを迫られることもなければ、若い頃のように欲張ることもなくなって、最低限必要なものを必要な分だけ携えることができるようになった。
そのありがたみを確かめるかのように、句は音節的には「手に何も/なく秋晴を」で切れており、まず手元に、そして彼方にと視線を天地にめぐらせつつ、スッとみずからの歩みを配置させていくのです。
あなたもまた、平凡に見られることを恐れず、静かな道を淡々と歩いていくべし。