はじめまして。大人のための絵本コンシェルジュ ・もりた まみです。
お互いの想いを分かち合いたい。自分の大切な想いを言葉という形にして大切な人へ届けたい。でも言葉にして伝えることに戸惑う方へ、大切な人とのコミュニケーションツールに絵本の力を借りることを提案しています。
私は、絵本は大人だからこそ十人十色の解釈ができ、子ども以上に楽しめるツールだと思っています。届けたい想いにぴったり合う絵本と一緒に大切な人へ言葉と想いを届けるお手伝いをできればうれしいです!
今回は、仕事・ライフスタイルと変化の多い、働くアラサーの女性が感じている身近な悩みに沿った絵本を紹介します。この記事を読んだあなたに寄り添う1冊が見つかりますように……。
他人とくらべなくていい。今の自分に自信が持てる絵本
同期の出世や友達の結婚。お祝いしたい気持ちはあるのに、周りの変化に心が追いつかなかったり、自分だけ置いていかれている気持ちになったり、他人と比べて自信がなくなってしまうことってありますよね。そんなあなたにおすすめする1冊がこちらです。
『とべ!ちいさいプロペラき』小林さち(福音館書店)
誰かとくらべて心が落ちつくどころか、焦りが先行してしまい、思ったように動けない。そんな悩みを抱えているアラサー世代と同年代のこの絵本。素朴な絵と色使いがとても懐かしく親しみを感じさせてくれます。
主人公のプロペラきは大きくて何でも完璧 に見えるジェットきと小さな自分をくらべます。すっかり自信を失い落ち込こむプロペラきですが、経験豊富なジェットきからすてきな言葉をもらいます。そして次の日には胸を張り、力いっぱい大きな空へ飛びたつストーリー。
その時、絵本の中で自信をなくしたプロペラきへ、ジェットきが教えてくれたすてきな言葉は
「ひろい そらでは ぼくらの おおきさのことなど わすれてしまうよ」
空とくらべたら、どんなに大きく感じても、私たちは小さな存在。だからこそくらべてなんていないで、そのとき自分にできるベストを出す。本当に大切なことは自信をもって飛び出すことかもしれません。
出世・結婚・出産、それもまたすてきな人生だと思います。しかし、それはあくまで他人の人生であり、あなたの人生ではありません。今は焦ってしまっても、あなたのベストを尽くしていれば、いずれは自信がつき、プロペラきのように自分の羽で羽ばたけるのではないでしょうか。
変化も自分の一部。年齢を重ねることが楽しみになる本
アラサーと呼ばれる10年の中でも25歳と34歳では多くの面で違いはありますよね。時代が変化し進んでいることは、現場を回す世代の私たちはよくわかっています。でも自分の年齢に精神面が追いついていない感覚はありませんか? 年齢という数字に頭と心が追いつかずに悩む。そんなあなたにおすすめする1冊はこちら。
『絵描き』いせ ひでこ(理論社)
年齢と共に外見や肩書きばかりが変化して、精神面の変化がわからず落ち込むことってありますよね。でもそんなあなたに「人生これからだ」と声をかけてくれるのが、この絵本の見開きにある画家・V.ゴッホの言葉です。
「旅(人生)の目的はやがてわかる。“粗い写生が下絵になり、やがて完成した絵になるように”」
この本は絵描きが旅の中で感じることを丁寧に描いた1冊。私たちも絵描きのように、まっしろなキャンバスに壮大な人生を描いている途中。目標に向かって突き進む人も、まだ見えないゴールに向けて歩んでいる人も日々を積み重ねています。
その間に美しい場面もあれば、もう見たくない風景、何度も塗り重ねた色の変化、まっしろな部分といろんな下絵がありますよね。どの下絵も全部引っくるめてあなたそのもの、あなただけのものです。
年齢を重ねることで、身体的にも精神的にも変わっていきます。しかし、それも全てあなたの人生。過去を振り返った時に、こんな絵を描いてたのかという感覚で人生を楽しんでみると、いつの時代の自分も受け入れられるようになるのではないでしょうか。
正解なんてない。とことん自分の“しあわせ”と向き合える本
アラサー時代は一生の中でも、特に人生の分岐点となるイベントが多いように思います。仕事、趣味、結婚、出産などイベント全てを自分が満足いく形で選ぶことはなかなか難しいかもしれません。選ぶもの、捨てるものを見て、私の判断は正しいのか、もし反対を選んでいたら将来が大きく変わるのかも……と悩みは尽きないですよね。でもどんなに悩んでも、忘れてはいけないことが何かをこの絵本は教えてくれます。
『しあわせの島へ』マリット・テルンクヴィスト(徳間書店)
主人公の女の子は水平線を目指していかだに乗ります。旅の途中で「しあわせの島」という看板に興味が湧き、しあわせの島を見に行きます。そして、いろんな人がそれぞれに住むしあわせの島と出会いました。島に住む人々はそれぞれが「ここがしあわせの島だ」と言いますが、彼女はどの島もしっくりきません。さらに先に進むと女の子を待つ島にも出会いますが、別れもあり、水平線の最後には誰もいない島に辿り着きます。それこそが彼女の求める、何をするにも全部自分で考える「しあわせの島」だったのです。
彼女はこの島に辿り着くまでに、自分の“しあわせ”は何かと悩み、自分の“しあわせ”を考えることを続けたからこそ、彼女だけの「しあわせの島」を見つけることができました。選択肢が多い今の社会だからこそ、自分はどこを目指せばいいのだろう……と悩んでしまうこともあると思います。しかし、「他人のしあわせ=あなたのしあわせ」ではありません。たくさん自分を優先して、たくさん悩み考えた先にあなただけの「しあわせの島」と出会えることを願っています!