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一級建築士が教える! 選んではいけない「1人暮らしの間取り、物件」と注意点

インテリア

春から念願のひとり暮らしをスタートさせる予定のみなさん、そして親御さん、準備はいかがですか? 積極的に進めたいものの物件探しや間取り図の見方など、わからないことだらけですよね。一級建築士のリクドウさんが、絶対に選んではいけない「ひとり暮らしの間取り、物件」と注意点をお伝えします。

一級建築士が教える! 「地震に強い賃貸物件」の特徴

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間取りについていろいろお伝えしてきましたが、次は、地震大国日本において命を守るために知っておいて損はないことをお話します。大きなポイントは、建物の構造と築年数、耐震工法、そして立地。それぞれの基本的な説明をしていきますね。

建物構造:火災にも強いRC造がおすすめ!

建物構造はおもに次の4種類に分けられます。

地震に強い構造はどれだと思いますか? 正解は、後に説明する耐震基準をもとに設計されていれば、どれも差はなく、構造にこだわることはありません。ただSRC造は、高層ビルなど大規模な建物に多く、単身者向けの賃貸物件ではほとんど見られませんので、ここでは例外と考えると、地震による二次災害に多い火災にも強いという点で、RC造がおすすめと言えます。

築年数:2000年以降に建てられた築22年以内のものがベスト!

なぜこの数字を出したかというと、1995年に起きた阪神淡路大震災を教訓に、2000年に建築基準法が改正されたからです(2000年基準と呼ばれます)。地盤に合った基礎工事の徹底、接合部や耐震壁の配置バランスの強化などが追加されました。

え、じゃあ築23年以上はアウトなのかと言ったら、そうではありません。耐震基準法の歴史は、大きく3つに分けられまして、2000年基準が最新なんですね。その前は、1981年に改正されており、これは新耐震基準、それ以前は旧耐震基準と呼ばれています。このうち2000年基準と新耐震基準で建てられたものは、次の内容を満たしていると言えますが、旧耐震基準で建てられたものは保証されていません。

「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」(1981年に改正された建築基準法の新耐震基準より)

ですので、新耐震基準で建てられた築41年以内のものがまぁ安心、より手堅くと考えるなら2000年基準で建てられた築22年以内のものが望ましいと言えます。

耐震工法:一番は免震だが、集合住宅はほとんどない!

建物の倒壊や破損などを防ぎ、地震に耐えるための工法を言います。種類と地震の強い順番は次の通り。

詳しい話は複雑になるので割愛しますが、使われている漢字を見てもらえればおおよその見当がつくと思います。耐震は揺れに耐えられる(でもがっつり揺れます)、制震は揺れを制する(それでも揺れは感じます)、免震は揺れから免れる(ゼロではないがそこまで感じません)、ですね。建物の倒壊は3つとも防げるには変わりありませんが、室内の破損を防げるのは免震と思ってください。免震は病院や公共施設などに多く、一般の集合住宅ではあまり見られません。

立地:関東在住ならば武蔵野台地がいいとは限らない

最後は立地ですね。職場から〇分以内とか駅近とか細かい条件は人それぞれあると思いますが、もっと視野を広げて地盤を見ることもけっこう重要だったりします。関東在住であれば、武蔵野台地が比較的しっかりしていると言われています。ですが、最新情報によると武蔵野台地すべてが強いというわけではなく、地盤が弱い場所も存在することがわかりました。

また、昔沼だったり川だったりした場所は基本地盤が弱いと考えられますので避けてもいいでしょう。一概には言えませんが、住所に「沢」や「谷」など水辺を連想させる地名がついているところもちょっと意識してもいいかもしれません。国交省のサイトなどを参考に調べることをおすすめします(※)。

※国土地盤情報検索サイト”KuniJiban”

https://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/

©Lesia_G/Getty Images

※2022年3月5日配信

一級建築士がおすすめしない! 1人暮らしの部屋

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命を守る建物の基準をお伝えしました。次は、物件に戻ります。ひとり暮らしの賃貸で人気のものといえば、コンクリ打ちっぱなしですよね。確かにスタイリッシュな部屋づくりができておしゃれです。ですが、けっこうタチが悪いコンクリ壁もあるんです。その特徴をお話します。

いくつかあるデメリットのなかでも、最大なのは断熱性の低さ。外気にかなり左右されやすいんですよね。ですから、冬は寒く夏は暑い。しかも、コンクリは一度熱を持つとなかなか冷えないという特性があり、夏は灼熱地獄に近い状態になり得ます。

冬は、ヒーターでようやく部屋が暖まったとしても、外気との差で結露が発生しやすく、つまるところカビが好む環境になりやすいです。カビは多くの人にとって不快極まりないイヤな存在ですよね。健康を害する恐れも出てきます。

つまるところ、光熱費はかかるし、快適性もかなり低い。これらが、タチの悪いコンクリ壁に限って言えるデメリットです。が、ある条件をクリアしているものであれば、話は別なんですよ。

それはですね、断熱施工の有無にかかっているんです。しっかり施工してあるものは、先述したデメリットを心配する必要はありません。しかも、コンクリには防音性が高いというメリットがあるんです。集合住宅の悩みのひとつに、騒音がありますよね。それも難なくクリアです。但し、コンクリ壁の断熱施工はおもに外壁側で行うことが多いですが、見た目ではわかりにくい。ですから、必ず不動産屋さんに聞いて、絶対にきちんとした回答をもらってください。

また、外断熱は年月が経つと効果も低くなるので、メンテナンスの確認もしましょう。それが面倒なら、築浅物件がベターでしょう。まとめますとズバリ、

「コンクリ壁の部屋でも、外断熱されていないものは絶対におすすめできません!」

©Carlina Teteris/Getty Images

※2022年3月5日配信

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