占術研究家の水晶玉子さんが、東洋の占術を用いて導き出した今年の傾向や性質とは? 運気が変わる旧暦の2月から好運の流れにうまく乗るために、どんな心づもりでいればよいか、過ごし方のヒントも伝授します。
開運キーワード1:癸卯(みずのとう)
自分自身とじっくり向き合い、“濾過する”ことが開運への道。
十干(じっかん)と十二支を合わせて、60の周期で循環する「干支(かんし)」によると、今年は「癸卯」。十干の10番目の「癸」と、十二支の4番目にあたる「卯」の組み合わせになります。癸は、小さなものを測量するという意味で、雨や雫の象徴。卯は新しいものの息吹を表しています。昨年の干支は「壬寅(みずのえとら)」で、同じ水でも海の象徴だったので、いろんなことが混沌として、うねりが激しい一年でしたが、今年は世の中の状況も落ち着き始め、様々な方向性が少しずつ定まってくる一年になるでしょう。
ただし癸は、十干の10年サイクルの最後にあたり、’24年から新しい周期に入るため、今年はその転換前となり、“終わるものと始まるものが錯綜する一年”になります。癸は、古いものを整理して次へ進むという意味を持つので、これまでの変化や混乱を経て、海水を濾過してきれいな飲み水を作るようなイメージで、不純物を取り除き、今後の自分に必要なものだけを抽出していくことが大切になります。ライフスタイル、働き方など、選択肢が増えてきているからこそ、自分の中で優先したいことを今こそ考えるべき。新しい時代を支える苗木を育てる水を作るために、1年かけてじっくり整理整頓を行いましょう。
一方で、日本に脈々と受け継がれてきた文化や芸術など、伝統的なものにもいま一度目を向けて、学んでみることも開運に繋がります。そうすると次の時代に残したいもの、もっと大事にしないといけないものが自ずと見えてくるからです。
雨や雫の一粒一粒は小さな水滴ですが、集まって清流を作り、大河の水源となるように、一日一日を大切に、丁寧な暮らしを心がけてみて。それが新しい時代をどう生きるかのヒントになります。
開運キーワード2:卯(うさぎ)
小さな積み重ねが大きな幸せに。“継続”が力になる年。
十二支は、春夏秋冬の4つの季節に分けられ、寅、卯、辰は春を表します。昨年の寅年は早春で、冬の名残もあり、雪解けの水が濁流になったり、春一番が吹いたりと、荒れやすい一年でした。’23年の卯年は、春の中間で、まさに春爛漫! 自粛ムードからようやく解き放たれ始め、人の気持ちも和らぎ、やっと春の兆しを感じられる、ポカポカ陽気の穏やかなムードに包まれる一年になるでしょう。
卯年は、ウサギが跳躍する姿から、飛躍・向上の年といわれています。一匹一匹は小さいですが、繁殖力が強い動物なので、小さな力が集まることで大きなパワーになる可能性を秘めています。だからこれまで努力を惜しまず続けてきたことや準備してきたことがあれば、芽を出し、やがて実を結び始めるでしょう。どんな小さなことであってもコツコツ積み重ねていけば、大きなことを成し遂げられるので、継続が力になる年です。
また卯の文字は、植物の芽の最初に出てくる2枚の葉「双葉」を表しています。また、開かれる扉をかたどっていて、扉をこじ開けていく新しい力を表しているため、ムーブメントが起こりやすく、草が一気に繁茂するように、何か大ブームが起こったり、みんなが飛びつくようなものが生まれるかもしれません。だから時代の流れや変化を敏感にキャッチできるよう、情報のアンテナを張り巡らせておきましょう。
意中の人や、距離を縮めたい人がいれば、積極的にアプローチしてOK。ウサギは、穏やかな性格と繁殖能力の高さから家内安全や子孫繁栄のシンボルとされます。一つに固執せず、ぴょんぴょんと跳びはねながら、自分が温かい気持ちになれる人を探していくと、人生を変えるような大きな出会いに繋がるかもしれません。
開運キーワード3:四緑木星(しろくもくせい)
旅行や交流が盛んになる年。しかし迷いやすいので要注意。
九星気学は古代中国の占術「九星術」が日本でアレンジされた占術で、一白水星・二黒土星・三碧木星・四緑木星・五黄土星・六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星の9つの星から成り立ちます。’23年の中宮(真ん中のポジション)となる四緑木星は、成熟した樹木を表すので、樹木が青々と生い茂るように、穏やかな気運が高まり、平和や対話・コミュニケーションが重視される年になるでしょう。
ここ数年の行動制限によって、私たちは自由に旅行や交流を楽しむことができませんでした。昨年後半から少しずつ日常が戻ってきて、様々なイベントが復活してきたように、今年は、海外にも渡航しやすくなりそうです。旅行や交流が盛んになるので、新しい出会いも増えます。だから今年は、いつも以上に社交的になり、活発に移動することを楽しむと、いろんなご縁が繋がっていくでしょう。特に南東の方角に良い出会いがありそうです。
ただし注意すべきこともあります。四緑木星は、風を意味する星でもあり、自由さ、移り気などを表します。状況も気持ちも変わりやすく、不安定で優柔不断になりがちなのが玉にキズ。出会いがたくさんあり、様々な情報が入ってきて、誘惑も多いため、何か一つに定めることができず、迷いやすいかもしれません。
しかしすぐに決断しなくて大丈夫。その場の雰囲気や人の意見に流されることなく、辛抱強く、じっくり丁寧に選んでいきましょう。迷いやすく、不安定な年であるということが先に分かっていれば、慌てることなく、対処できるはずです。’24年は三碧木星が中宮に入り、新しいものが芽生え始める年なので、その種になりそうな出会いやチャンスをこの一年でたくさんつかんでおきましょう。
開運キーワード4:井宿(せいしゅく)
ひとりの時間も大切に。深掘りすることが幸運のカギ。
平安時代に空海が中国からお経の形で日本に持ち帰った、27宿に分かれる「宿曜経(すくようきょう)」をベースにしたオリエンタル占星術によると、’23年は井宿の年になります。
昨年は浄化と刷新を象徴する「参宿(しんしゅく)」の年で、大きな出来事が相次ぎ、声の大きな権力者に流されやすい年でした。しかし井宿は、個々が持つパワーが重要視され始めるため、静かに考える時間を持つことが必要な一年になります。
井宿はその字の如く、井戸を表します。井戸は深く掘ることで、水脈を探しあてて作るので、“深掘り”が開運のキーポイントになります。興味を持ったことや学びたいと思ったことがあれば、とことん追求していくと、新しい可能性が広がります。
また井戸から水を汲み上げるように、失ったものや大切なものを取り戻すことも大事になってきます。手放すのは簡単ですが、たとえば自分の欠点や苦手だったことにも目を向けてみましょう。井戸の水は、毎日桶を落として、水を汲むことで、生活に役に立つ水を得るもの。だから苦手なことも毎日反復することで道が開けてきます。ひとりでコツコツと学んだり、作業したりすることでツキを呼び込みやすくなります。
毎日続けると、自分自身を信じられるようになり、大きな自信に繋がります。自信は、周りの人から褒められることでつく場合もありますが、本当の自信は自分でしか勝ち取れません。だから嫌なことや苦手なことも、期限を決めてでもよいので、とりあえずやってみること。井戸の中は狭いけれど流されずに考えるのに最適な場所なので、井宿の年は、地道にコツコツやることに向いています。ひとりで考える時間を設けて、己を知ることが、新しい時代を開く原動力にきっとなるでしょう。
水晶玉子さん 占術研究家。西洋、東洋の枠を超えて研究。オリジナルのオリエンタル占星術は、高い的中率で支持を得ている。『水晶玉子のオリエンタル占星術 開運暦2023』(集英社)が発売中。
※『anan』2023年1月11日号より。イラスト・津村仁美 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)