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池上彰さん、「お金の使い方」は「生き方」そのものです

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2020年3月に発売し50万部を越えるヒットとなった、池上彰さん監修の本「なぜ、僕らは働くのか」。

「将来、何になったらいいだろう――」そんなふうに考え始める小学校高学年からをターゲットにした本は、子どもたちだけでなく大人にとっても、「なぜ今、自分はこの仕事をしているのか――」と改めて考えさせられるきっかけとなった。

それから3年、再び池上彰さんが子どもたち、そして私たちに投げかけたテーマは、「お金」について。

今年3月に、“君が君らしく生きるために伝えておきたいこと”として出版された「僕らの未来が変わる お金と生き方の教室」について再び監修に携わった池上 彰さんに聞いてみました。

目次

★ Topic① あなたにとって人生に必要な「サムマネー」は?
★ Topic② キャッシュレス時代の今だからこそ、子どもにお金の実感を!

Topic① あなたにとって人生に必要な「サムマネー」は?

“働き方”は、人生の多くの時間を費やするだけに“生き方”を示すものです。そして、「働き方」=「お金の稼ぎ方」ですし、同様に「お金の使い方」も、人の生き方を示すものなんですね。

アメリカの喜劇王のチャーリー・チャップリンは、こう言いました。「人生には三つのものがあればいい。希望と勇気とサムマネー(少しのお金)」と。さて、あなたにとって「サムマネー」とはいくらですか?この「サムマネー」は、人によって異なるのですが、それこそが生き方なんです。

もちろん、お金がないと生きていけないし、暮らしていけない。でも、お金に左右されるほどつまらない人生はありません。結局、とてつもない巨万の富を得ても、人生を楽しいと感じられない人、不幸な人はいるわけです。一方で、そんなにお金はないけれど、お金がないからこそ、ほんのちょっとの贅沢で幸せな気持ちになる、そういうことってあるわけですよね。

食事に行った時、お品書きに“時価”とあるものを頼むのは、お金があればできるけれど、それを一人で食べても楽しくない。だけど、家族や気の置けない友人たちと回転寿司に行ってワイワイやっていると、こちらのほうが楽しかったりしますよね。

それから、デパートに行って服を買おうとする時、普通は値札を見ますよね。お金持ちになると、値札を見ないんですって。これこそが本当のお金持ちなのでしょうけれど、それって楽しいのかしら? と思うんです。あれもこれも買えちゃうよりも、限られた予算の中で「どうしようかな……?」と考えるのがショッピングの楽しさではないでしょうか。「こっちのほうが自分に似合う」とか、どんな服を選ぶかだけでも自分の生き方を考えることになりますしね。

お金の使い方って、そういうことなんです。

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Topic② キャッシュレス時代の今だからこそ、子どもにお金の実感を!

最近ではクレジットカードやPayPayなどのスマホ決済、Suicaなどを使用することが多く、現金を手にしない日も多くなりました。

そうすると、子どもたちにとっては、“お金”というものが極めて抽象的なものになっちゃいますよね。キャッシュレス社会だからこそ、あえてお小遣いやお年玉をお札や硬貨といった形で渡すことが必要かもしれません。お金はこうやって消えていくんだよ、と実感として伝えることです。

そして、来年はお札の肖像が変わりますよね。「津田梅子って、どんなことをした人だか知ってる?」「渋沢栄一っていう人はね、日本のたくさんの会社を作った人なんだよ」と、ここから歴史を知るきっかけになったり、「イギリスでは、これまではエリザベス女王が硬貨の象徴だったけれど、これからはチャールズになるんだよ」とか、世界にも目が向けられますよね。そんなところからも、世の中のしくみを学ぶことができます。

それから、「Tポイントやdポイントってお得感があるけれど、それはその会社にあなたが何処で何を買ったかという情報が全部行くんだよ。つまり、プライバシーをその値段のポイントで売っていることなんだ」と、今は、ポイントの割引をすると共に、その会社は“情報”という利益を得ているなど、そんなお金の知識を教えていくことも大切でしょう。

「お金の使い方」を知ることは、自分にとって幸せに生きる方法を知ること。それを知ると、お子さんやあなたの未来が変わるかもしれません。お金は、あなたの人生を豊かなものにするかもしれないチケットのようなもの。だから、自分で選択して幸せな使い方をしてくださいね。それが、私から皆さんへのメッセージです。

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『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』¥1,870(Gakken)

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インフレやデフレ、仮想通貨、年金や税金、投資から資本主義と格差、幸福感までお金にまつわるさまざまなテーマを、マンガとイラストでわかりやすく池上流に解説した一冊。子どものみならず、大人も「へぇー!」と唸る充実した内容で大ヒットを記録中。

撮影/平井敬冶 取材/河合由樹

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