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増加するセックスレスの悩み。心の専門家に聞く、レスとの向き合い方

最近漫画やドラマで話題を集めている「セックスレス」。これまでタブー視されていたパートナー間の問題について、マキアオンラインでアンケートを募ったところ、およそ7割もの人たちが悩んだことがあると回答。その中でも特に多かったお悩みについて、臨床心理士/公認心理師のみたらし加奈さんにアドバイスを頂きました。

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悩んでいるのはあなただけじゃない。マキア読者の約7割がセックスレスの経験ありと回答

オンラインで実施したアンケートで、「したいけどしてもらえない」「誘われても断ってしまう」「夫をそういう目で見れなくなった」など、実にさまざまなお悩みが寄せられました。状況はさまざまだけど、共通していたのは「解消したいけどどうしたらいいのかわからない」という思い。そのモヤモヤを晴らすべく、セックスレスの原因や男女間の温度差などについて、みたらし加奈さんに伺いました。

お話を伺ったのは

臨床心理士/公認心理師
みたらし加奈さん
大学院卒業後、総合病院の精神科に勤務。専門家と共に性被害や性的同意に関する情報を発信するNPO法人『mimosas(ミモザ)』の代表副理事も務める。現代ならではの若者の悩みに寄り添った心あるアドバイスが人気で、WEB媒体をはじめあらゆるメディアで活躍する。著名人のYouTubeチャンネルにも多数出演。

中には離婚して楽になれたという人も。経験者はセックスレスをどう乗り切った?

アンケートでは様々な悩みが寄せられ、「感情を全てぶつけ合い、大泣きしながら話し合った」「自分が割り切ることで楽になり、セックスを求めなくなった」「いくら掛け合っても会話すらできず、離婚することに」など、問題との向き合い方はさまざま。しかし一番多かったのは「どうしていいのかわからない」と一人で悩んでいるケース。

「セックスレスと一言で言っても、カップルによってその問題の重さはそれぞれ。どうしてもセックスをしないということにフォーカスしがちですが、まずはお互いの関係性の上でセックスがどれだけのウェイトを占めているのかを理解し合うことが大切だと思います。『アセクシュアル』という性欲を抱かないセクシュアリティも認知されはじめているように、パートナーシップにおいてセックスが絶対というわけではないというケースも増えています。ただもちろん離婚の事由にもなることなので、まずはお互いが『セックスレス』に対してどう考えているか、話し合うことから始めてみましょう」(みたらしさん)

セックスがしたいのにしてくれない…。パートナーに愛されているのか不安でいっぱい

お悩み1:なかなか誘ってくれない夫をその気にさせる方法は?

「結婚して3年目。セックスも最後にしたのは半年ほど前…。私はセックスしたいのですが、断られるのが怖くて自分から誘えません。さりげなく夫をその気にさせる方法はないでしょうか?」(30歳・OL)

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セックスについて気軽に話せる関係性を築いて

「自分から『したい』と伝えられないということですが、もしかしたらセックスに関して話すことに恥ずかしさや気まずさを抱えているのかも。セックスを重たいテーマだと感じているとなかなか口に出すのが難しいと思うのですが、性欲は食欲と睡眠欲に次ぐ人間の欲求。『今日ご飯食べる?』と同じくらいのテンションで『今日しない?』と言えるのが理想的ですよね。パートナーに気持ちを伝えるのが難しいのであれば、お互いの性欲の差がふたりにとってどれだけストレスになるのか、一度振り返ってみた上で話し合うことが大切かも。その上で『したい』気持ちを伝えれば、突破口が見つかるのでは。セクシーな下着やロマンティックな映画より、あなたの素直な言葉こそがパートナーを動かすかもしれません」(みたらしさん)

お悩み2:パートナーにとってもはや空気? まだまだ女として見てほしいのに…

「勇気を振り絞ってパートナーを誘っても断られるばかり。もう女として見てもらえないのかと思うとつらくて仕方ありません。諦めて気持ちを切り替えるしかないのでしょうか?」(30代・OL)

つらい感情をまずは受け入れて、大切に向き合って

「セックスの誘いを断られると、自分自身を拒否されたような気持ちになってつらいですよね。そう感じるのは当たり前のことなので、まずはその気持ちを大切にしてあげてください。その上で、なぜパートナーがしたくないのか聞いてみてもいいと思うんです。その場合、『どうしてできないの!?』と感情的に責めるのではなく、『セックスできないのは寂しいけど、あなたの気持ちを尊重したい。もしよければ、どうしてしたくないのか教えてほしい』と歩み寄るのがポイントです。セックスをしなくても愛情がなくなったと決まったわけではありません。たまたまその日は疲れていてしたくなかったのかもしれないし、年齢と共に性欲が低下してきている可能性もあります。恋人や夫婦間のパートナーシップは年齢や一緒にいる年月と共に変わっていくのが自然。お互いの価値観と向き合いながら、その時々で心地いい距離感を見つけられるといいですね」(みたらしさん)

お悩み3:妊活したいのにセックスレス。周囲の妊娠報告に落ち込みます

「お互いに子供が欲しいと話しているのに、夫は『いつか、そのうち』私は『今すぐ妊活!』と温度差があり、排卵日を伝えてもセックスは数ヶ月に1回。毎月生理がくるたびに落ち込むし孤独な気分に。年齢的にもとても焦ってしまい、子供と幸せそうに笑う家族を見るたびに悲しくなります」(36歳・会社員)

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開いた温度差をどこまで縮められるか、一度相談を

「実は温度差を埋める話し合いは、本来とても難しいんです。例えば空調の温度でも、18℃がちょうどいいという相手と24℃がちょうどいい自分、リビングを何度に設定するのかを決めるには、まずお互いの体のバロメーターの話も含めて納得できる折衷案を導き出さなくてはいけません。ここでスムーズに『じゃあ21℃にしてみよう』となればいいけど、人によっては『どうしても24℃じゃなきゃダメなの!』という人もいるでしょう。その場合、パートナーがそれに合わせてくれないのであれば、24℃を心地いいと思う別の人を探すのも一つの方法ではあると思います。妊活に関しても、一方が『子供がいる家庭は幸せ』と思っていても、もう一方は子供のいる未来に異なる価値観を持っている可能性があります。育った家庭環境などが影響することもあるので、ギャップが生まれてくるのは仕方のないこと。出産・育児の希望は相手に押し付けられるものではないですし、一過性の問題ではないので、自分たちで結論を出すのが難しければカップルカウンセリングなどを受けるのもおすすめです」(みたらしさん)

お悩み4:一度断ったことがきっかけで…

「疲れていたため一度セックスを断ったら、それ以降誘ってもらえなくなってしまいました。私から誘っても全く応じてくれず、『お前が悪い』とまで言われる始末。どうすればよいのでしょうか?」(32歳・販売員)

「NO」を責めるのはお門違い。あなたは悪くありません

「セックスの誘いを断るのは悪いことではないですし、愛情表現はセックスだけにあらず。そもそも『したくない』という気持ちは誰からも責められるべきものではないですし、そんな日があるのは当たり前です。『嫌だと思ったら、同じことをやり返す』というのはヘルシーなコミュニケーションではありません。ただもしこれからもそのパートナーと一緒にいたいと思っているのなら、『傷ついたことは、できるだけ言葉で伝えてほしい』と話してみるのも一つの方法。それでも難しそうなら最終手段。『あなたがそういう態度なら、私ももう話さないからね』と伝えたら、その理不尽さに気づくかもしれません。また、パートナーが意地になっている場合、あなたに余裕があれば後ろからぎゅっとハグしてみるのもおすすめ。相手は折れるタイミングを逃してしまっただけの可能性大なので、話せるきっかけをお互いに作ってみて」(みたらしさん)

お悩み5:セックスはできないのにマスターベーションはできるの!?

「私とのセックスは断るのに、マスターベーションはしている様子。性欲があっても私とはできないの?なんで?とイライラします。この怒りはどう処理するべきですか?」(40歳・インストラクター)

怒りは「二次感情」。一時感情を見極めて対処を

「『他の対象に興奮した』と思うと、浮気のように感じてつらいですよね。イライラするのもわかります。怒りとは、嫉妬や悲しみなど、きっかけとなる感情から生まれる二次的な感情。しかし、一次感情を認識する前に怒りが爆発してしまうことがほとんどなので、多くの人は怒りだけを相手にぶつけがちに。これはセックスレス以外の問題にも言えることですが、怒りを感じたらまず一次感情を掘り下げてみましょう。なぜこんなにイライラするのか、それはパートナーが別の人間に性欲を抱いたのが悲しかったから?セックスに応じてくれなくてつらかったから?その気持ちを整理して、怒りに発展した過程を伝えることが大切です。性的欲求には、必ずしも恋愛的感情が伴うものではありません。ただセックスではなくマスターベーションがしたかったというだけだったという可能性も」(みたらしさん)

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