“自己肯定感は、アップダウンするものではなく、安定させるもの”というのがシリコンバレー式の考え。そのメソッドと、安定した自己肯定感を育てるためにすぐに実践できるワークや行動習慣をレコメンド。
シリコンバレー式、しなやかで強い本当の自己肯定感の身につけ方。
多彩な企業が集まり、イノベーティブなものが次々生まれるアメリカのシリコンバレー。日本で育ち、アメリカに移住したホリスティックライフコーチの宮崎直子さんによると、「それは人との比較ではなく、一人ひとりの個を尊重し、多様な価値観のあり方を認めているから。また、本当の意味で、ありのままの自分を受け入れる=自己肯定感の高さが、情熱のままに自由に生き、新しいチャレンジに繋がっているから」と話す。
一方、国際的に見て日本人は自己肯定感が低い人が多いといわれるが、そこには社会的背景が。
「謙遜の文化が根付いていることや、他人の気持ちに寄り添うことを重視するあまり、自分の気持ちを後回しにする国民性も要因のひとつ。また、長時間労働があたり前で、自己肯定感が育つといわれる子供の頃に家族と過ごす時間が長くとれないことも一因だといわれます。ただ生きる軸を自分に取り戻すことは、大人になった今からでもできます。難しく考えずに、自分に寄り添い、世界一の親友になるだけでいい。安定的な自己肯定感を手に入れることができれば、無用な恐れがなくなり、自分の意思を尊重しながら行動できるようになるので、自分の本当の夢の実現にも繋がっていきます」
【周りの影響を受けやすい“他人軸”】
自分より他人の視点からものを考えてしまい、その結果、自分の意見や本当にやりたいことを犠牲にしがち。すると、ストレスが溜まりやすくなるだけでなく、自分に自信がなくなり、人生に対する満足度が下がる傾向に。
【自分の意思で行動できる“自分軸”】
“自分がどうしたいか、どうありたいのか”を基準にすると、知的好奇心の赴くままに考えて行動できるようになる。すると自分に自信が持て、自分自身の可能性がぐっと広がる。心にも余裕が生まれ、人生の幸福度も増してくる。
自己肯定感を揺るがす主な要因と解決策!
ありのままの自分を無条件に受け入れることは、実は誰もができること。しかし、多くの人と関わりながら生きているとそれが難しい場合も。そこで自己肯定感の脅威になりやすい主な要因と、陥った時の考え方を指南。
【要因】人の評価が気になる→【解決策】気にしない
人の評価を行動の動機にする必要はない。
他人が下す評価は、自分ではコントロールできない。不可能を追い求めている限り、安定した自己肯定感は手に入れられない。「ゼロからプラスの加点法のみで、自分で自分を評価するように癖をつけましょう。また、自分を常にけなしてくる人とは距離を置くのも手」
【要因】人と比べてしまう→【解決策】比べない
競争するのではなく、マイペースに楽しむ。
人より優れた人生やキャリアを築くことだけが生きる意味ではない。「常識にとらわれる必要はありません。それに誰かにできたということは、自分にだってできる可能性があるということ。何歳になっても人は成長できるので、比べずに自分のペースで邁進しましょう」
【要因】失敗することに恐怖心がある→【解決策】成功の途中
失敗は成功の途中経過である。
失敗や成功に振り回されていると、心まで疲弊してしまう。「結局失敗というのは、今の目標に到達しなかっただけで、もう少し時間をかけたり、方法を変えれば成功する場合も。失敗があるからこそ成功に繋がっていくと考えれば、失敗を恐れることもなくなります」
【要因】不確定要素が心配→【解決策】今できることをする
今の状態で何ができるかを考えよう。
トラブルや不運なことなど、どうすることもできないことはある。「自分の身に降りかかったことを嘆くのはやめ、今の状態で何ができるかを考えることから始めて。できないことではなく、できることに目を向けると、思いがけないチャンスが巡ってくることも」
宮崎直子さん ホリスティックライフコーチ。シリコンバレー在住歴25年。アメリカで修士号を取得し、アラン・コーエン氏のもとでトレーニングを受ける。著書に『鋼の自己肯定感』(かんき出版)。
※『anan』2023年7月19日号より。イラスト・kame 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)