③就寝前のスマホやパソコンを避ける
スマホやパソコンのブルーライトは脳を刺激して覚醒させる作用があるので、就寝前の使用は避けましょう。目から光の刺激を受けると脳が昼間と錯覚して睡眠ホルモンのメラトニンを減らし、睡眠の質が低下します。就寝する2時間前にはスマホやパソコンは触らないようにし、どうしてもやむをえない場合は、画面の色設定を暖色に変更しましょう。
④寝具・服装・部屋の環境を整える
睡眠の質は、寝具、服装、部屋の環境でも左右されます。
朝起きた時に首がこっていたり腰が痛かったりする方は、枕が高くマットレスが硬いといえます。まくらの高さやマットレスの硬さをチェックしてみましょう。
服装は普段着るようなシャツやジャージではなく、通気性の良いパジャマを着るのがベスト。通気性の良いコットン生地や手触りの良いシルクは、パジャマ生地におすすめです。
また、エアコンや扇風機、除湿機などを使用して、快適な温度や湿度にしましょう。エアコンの設定温度は、夏場は25℃前後、冬場は20℃前後に設定するとよいでしょう。
⑤睡眠に働きかける漢方薬を飲む
漢方薬のなかには「不眠」への効果が認められているものがあり、実際に心療内科や婦人科でも処方されています。漢方薬は、不眠などの更年期症状の原因となる血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の体調の根本改善を目指します。
不眠の対策には「自律神経の乱れを整え、睡眠の質を改善する」「いらだちや興奮を鎮めて寝つきを良くする」「血流を良くして中枢神経の機能を回復し安眠に導く」「ホルモンバランスの乱れを整える」といった漢方薬を選びます。
<更年期の不眠におすすめの漢方薬>
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすくイライラや肩こりのある方に。のぼせ感(ホットフラッシュ)がある方の更年期障害や、不眠症などに用いられます。
・柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
イライラや動悸がある方に。更年期神経症や不眠、精神不安が気になる方に向いています。
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
神経が高ぶってイライラしている方に。怒りやすく、更年期障害や不眠が気になる方に向いています。
漢方薬は症状だけでなく、体質にも目を向けて選択しなければなりません。体質に合わないと副作用を起こしたり、効果があらわれなかったりするからです。自己判断ではなく、医師や薬剤師、漢方医などの漢方薬に詳しいプロに相談することをおすすめします。
教えてくれたのは…薬剤師 碇 純子先生
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人に漢方薬で健康になってもらいたいという想いから、症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談できるオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。あんしん漢方(オンラインAI漢方)はこちら
編集/根橋明日美