働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、丸山晴美さん。
今回のお悩み「2024年から始まる新NISAって? 今までとの違いは?」
これまでつみたてNISAをやっていたのですが、2024年からNISA制度が変わり、新しいNISAが導入されると聞きました。これまでの制度との違いは何ですか? 具体的にどのように変わるのでしょうか?(30代/福祉系・サービス業)
新しいNISA制度とは?
2024年1月からNISAが新しい制度(=新NISA)に変わります。
新NISAを簡単に説明すると、これまでのつみたてNISAと一般NISAが合体したようなイメージです。この2つの口座で投資ができるのは2023年12月までです。
新NISAになると、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になり、非課税保有期間(※1)は無期限化。そして、非課税保有限度額の総枠(※2)の上限は1,800万円(※3)となります。
このうち、満額の1800万円の枠をフルに利用するためには、最低でも600万円はつみたて投資枠で運用する必要があります。残りの1,200万円は、つみたて投資枠でも成長投資枠でも投資可能ということになります。
また、年間投資枠はつみたて投資枠で120万円、成長投資枠は240万円ですので、年間上限は合計360万円、満額の1,800万円を目指したいという方は、つみたて投資枠と成長投資枠を併用していきましょう。
すでに一般NISA口座やつみたてNISA口座を開設済みの方は、今利用している証券会社で自動的に新NISA口座が作られるので、新たな手続きは不要。
つみたてNISA口座の場合、つみたて投資枠の方で自動的に開設され、成長投資枠も併用できるようになります。一般NISA口座で設定されたものは、一部対象外となる銘柄の場合は積立設定が自動解除されます。
※1 非課税保有期間の無期限化に伴い、現行のつみたてNISAと同様、定期的に利用者の住所等を確認し、制度の適正な運用を担保
※2 利用者それぞれの非課税保有限度額については、金融機関から一定のクラウドを利用して提供された情報を国税庁において管理
※3 簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能)
新NISAのメリットと注意点
まずは、非課税保有期間に限度が無くなったことがメリットといえるでしょう。
また、つみたて投資枠の投資対象商品は現行のつみたてNISAと同様ですが、成長投資枠は上場株式・投資信託等(※4)でフレキシブルに運用することができます。
整理・監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外した上場株式・投資信託等(※4)が対象なので、比較的自由度が高いといえるでしょう。
投資信託に投資をする際は必ず目論見書があります。これはどのように投資していくのかといった運用方針が書かれていますので、リスクとリターンを考えつつ、自分の投資スタンスと合致するのか必ず目を通すようにしましょう。
成長投資枠は株式だけに投資かつ、企業を分散させないなど場合によってはリスクが高くなるので注意。株式投資をするなら自分で企業分析などをして投資をすることをおすすめします。その際、金融マーケットの情報や企業分析がされているなど、トレードツールが豊富な証券会社を選ぶと良いでしょう。
また、投資に慣れていない人は、ひとつに多額の投資をせず、地域分散やリスク分散するようにしましょう。長期・積立・分散がポイントなので、積立をしながら分散投資をするのが良いと思います。
※4 金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買への勧誘行為に対し、金融庁が監督指針を快晴し、法令に基づき監督及びモニタリングを実施
併用可能になった「成長投資枠」やったほうが良い?
成長投資枠は一気に買わないといけないイメージがありますが、意外とそんなことはありません。
現状のつみたてNISAでの人気の投資信託は、米国株式メイン(S&P500)の投資信託や、全世界株式(オールカントリー)ですが、そればかり積み立てているとそれが逆にリスクになることも。選択肢が多いのが成長投資枠なので、株式ばかりではなく他の投資信託と組み合わせると、よりリスク分散できます。
「投資はしたいけど何から手をつけたらいいか分からない」「口座は開設したのに、何もしていない」という人は、ロボットアドバイザー投資を利用するのも良いでしょう。
ロボットアドバイザー投資とは、プログラミングとAIを活用して、投資に関する診断やアドバイス、運用をしてくれるサービスのことです。
ロボットアドバイザー投資は、つみたて投資枠では手数料はゼロで、成長投資枠では1%なのでトータルの手数料は0.6%程度です。
また、投資をする際は手数料にも注目しましょう。9月30日からSBI証券と、10月1日から楽天証券が国内株式の取引手数料が無料化(※5)されました。どちらももともと口座開設手数料や管理手数料は無料で、人気のあるネット証券でもあります。国内株式の取引手数料が無料になる=利益が出やすいともいえます。
※5 SBI証券は、取引報告書など交付書面を「電子交付」に設定することが条件。楽天証券では新たな「ゼロコース」に変更することが条件となります。
令和のマネーハック85
新NISAは従来よりもメリットたくさん! これを機に「成長投資枠」も活用し、リスク分散をして賢く投資をしましょう。