セックスレス大国と言われる日本。ある調査では、1カ月以上セックスをしていない夫婦は約半数を超えると言われています。レスであることを完全に受け入れているならいいのですが、レスである人の多くは、レスであることにモヤモヤした気持ちを抱いています。そこで今回は、女性医療クリニックLUNAグループ理事長・関口由紀先生に、40代からのセックス事情についてのお話を聞きました。
教えてくれたのは……関口由紀先生
医師、「女性医療クリニック・LUNAグループ」理事長。
医学博士、経営学修士(MBA)、日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医、日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医。著書は『セックスにさよならは言わないで:悩みをなくす腟ケアの手引』など多数。
『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター)
著者:関口由紀
定価:1,760円(税込)
セックスは、40歳からがいい!
――先生の著書『セックスにさよならは言わないで』には、「性欲の減少は、健康問題に直結。いくつになってもセックスができる体でいることが健康と若さを保つ上でとても大切」とあります。しかし、多くの40代女性は性欲が衰え始めているという認識を持つ人が多いようなイメージがあります。
それは、みなさんの認識が間違っています。セックスは40歳からがいいんです。
――えっ! そうなんですか?
男性は、性欲が高い時期、15歳くらいまでにマスターベーションにより自分の性感帯を学習します。こうされると気持ちがいい、こうすると射精するということがわかっている。でも、15歳の女性で自分が気持ちいい場所をわかっている人はまずいません。性交渉の経験があっても、自分にとって何がいいのかはわからずにしているという人がほとんどです。女性は、自分がどうされると気持ちいいかということが学習しわかってくるのが、だいたい30代後半ぐらいなんです。
――40歳からがいいというのは、そういう意味なんですね。
いろいろなタイプの人がいますが、1回で跳び箱が飛べる人もいれば、何度も練習が必要な人もいるように、40歳くらいまで定期的な性生活を送っていれば、そのあたりから自分の身体のことがよくわかってきて、セックスが良くなるという人が多いです。
――ということは、40歳頃からより良い性生活が送れるということになりますね。でも、「更年期」や40代という現実に、もうそういったこととは関係なくなると感じている人のほうが多いように思います。
「これからだ!」と思っている人もたくさんいるのでは? こればかりは個人的な問題なので、どう感じているかはそれぞれだと思いますが、身体の機能的なことで言えば、40代は、生殖能力という点では急速に落ちていきますが、それ以外は上がっていく一方ですよ。
更年期は性的意欲の低下には繋がらない
――生殖能力以外は上がる一方!? どういうことでしょうか?
更年期というのは、だいたい45歳から55歳の約10年の間に、女性ホルモンが急速に衰える時期のことです。この10年の間に、女性ホルモンはアップダウンを繰り返しながら10分の1まで減ります。そのため、自律神経失調症や、めまい、火照り、不眠などの症状に悩まされたりしますが、ほとんどの症状に慣れていきます。55、6歳になればその症状も落ち着きますし、最近はホルモン補充でケアする女性も増えてきたので、更年期が性的意欲を下げるということは関係ありません。
――女性ホルモンが減ると、性欲がなくなるのでは? というイメージがあるのですが。
性的意欲は、男性ホルモンに依存するんです。更年期で女性ホルモンは10分1になりますが、男性ホルモンは4分の3になるので相対的に男性ホルモンが優位な状態になるんです。それにより、性的意欲がアップするという人もいます。
また、更年期を過ぎていれば、妊娠の心配がなくなり性的意欲がアップするという場合もあります。最近は、更年期以降の女性の性病が増えたというデータもあるのですが、それはやはり、性的意欲がアップし、性行動が増えたことにより起こり得ることなのかなと思います。
その症状、もしかしたら「GMS」かも?
――なるほど。それは個人差が大きいですよね。もちろん、性的意欲が落ちる人もいますよね?
落ちる人もいます。この時期に性的意欲が落ちる原因となるのが「GMS(閉経関連尿路生殖器症候群)」というものです。これは、50代以降の女性の2人に1人が抱えていると言われている病気。この「GMS」により、40代以降の女性たちのクオリティオブライフは低下していると言われています。
――その「GMS」は、性的意欲減少にどのような影響があるのでしょうか。