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フラれることが理想の形。結論の出た2つの恋[いちばんすきな花#10]

恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、フジテレビ木曜ドラマ『いちばんすきな花』を毎週考察&展開予想するコラムです。“男女の間に友情は成立するのか?”をテーマに、違う人生を歩んできた4人の男女が紡ぎ出す“友情”と“恋愛”を描く同作。それぞれの価値観を持つ4人が考える“本当に大切なもの”とは――。

※このコラムは『いちばんすきな花』10話までのネタバレを含んでいます。

©フジテレビ

4人の名前が四季にちなんでいたわけ

春木椿(松下洸平)、潮ゆくえ(多部未華子)、佐藤紅葉(神尾楓珠)、深雪夜々(今田美桜)、この4人がそれぞれ春夏秋冬にちなんだ名前である理由も今回明らかになりました。

ゆくえと椿の会話で「春が春なのは桜が咲くからじゃない。一年中春の花が咲いていたら春は春じゃなくって、他の3つの季節があるから春は春」という言葉がありました。

この4人も、それぞれ全く性格や気質が違うから椿は椿だし、ゆくえだし、紅葉だし、夜々なのです。

みんな同じじゃ四季はこない。個性があるからそれぞれの季節のいいところが際立つのだと。そんな風に、一人一人の個性を生きづらさや悩みも含めて、まるっと受け入れてくれるのがこのドラマがじんわり心に染みる理由ですよね。それを私たちに伝える表現の一つとして、彼らの名前が四季にちなんでいたのですね。

4人が美しく映える、人間関係の花束

©フジテレビ

椿の弟が花束を作りながら言っていた「大事なのは組み合わせ。好きな花だけ集めたからっていい花束にはならない」という言葉。この4人もそう。人間関係に難を抱え、誰かの好きな花にはなれず、選ばれることの少なかった人生だけど、そんな4人が集まることで、最高の花束が生まれました。

きっと今が人生で一番楽しくて、一番輝いているに違いありません。自分の居場所が見つからない人も、理想や好み、思い込みから目を外してみたら、自分が思ってもいなかった場所に、そんな風に自分が生き生きと輝ける組み合わせの可能性が隠れているのかもしれませんね。

夜々がフラれることこそ夜々の理想

©フジテレビ

椿に一度フラれた夜々でしたが、今回再度アプローチをしていました。しかし夜々はいつも直情的で、ちょっぴりタイミングが悪い。前回も時期尚早なタイミングで気持ちを伝えていましたが、今回は手料理を作り、一口食べたタイミングで「私って可能性ないですかね?」とアプローチ。

こんなに答えを急がずとも、もう少し長い目でアプローチしてもいいのに。

あとは、答えは変わらないにしても、せめてご飯を食べ終わった後で気持ちを伝えたらいいのになぁと。もちろんうまくいけばいいですけど、そうじゃなかった時、違う気持ちや気使いが頭をぐるぐる回り、せっかく作ったご飯なのに味だけを素直に楽しめなくなってしまいます。

空気は持ち直していましたが、「ない」というはっきりとした椿の答えにより、改めて夜々の恋はしっかりと終わりました。

美人がゆえに、外面だけ見て中身を見ようとしない男性から好意を受け続けてきた夜々の恋がこんな風に終わるのは、椿がちゃんと夜々の内面を見て判断をしてくれたという証明です。夜々がフラれることは、ある意味夜々の求めていた理想の自分の一つでもあるのが皮肉ですね。

とうとう終わった二つ目の恋

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一方の紅葉もゆくえにとうとう気持ちを伝えました。しかしこちらも玉砕。「弟みたいな感じ?」と紅葉が聞くと、「紅葉は紅葉って枠でしかないよね」と答えます。これも、人を無理やり型にはめるような、一方的にカテゴライズすることを嫌うゆくえらしい答えだな、とほっこりしました。

紅葉という人間をしっかり見てくれているからこそ、弟っぽいとか、幼馴染とか、画一的な表現には当てはめられないし、ゆくえにとっては「紅葉は紅葉」でしかないのでしょうね。

自虐フルスロットルな慰め方のクセ

その結果、恋愛でバランスが崩れることもなく、親友として引き続き、関係を続けていくこととなった4人。

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そんな中、紅葉は小説の表紙のイラストを手がけ、みんなが喜んでたくさんの本を買ってくれる一方で、イラストに対するネットでのコメントに心を痛めていました。

「小説の内容と合っていない」などといった、イラストそのものに悪意はないであろう感想。しかしそれは紅葉の心にはグサグサと刺さります。

そんな紅葉に、「婚約指輪は(婚約破棄で)ゴミになった。だから他人の指輪見ると指にゴミつけてんなーって思う」「ポイントカード忘れたことを後悔する人もいるのに、ゴミ箱に捨てる人(椿)もいる」と、同じ物でも人によって受け取り方や価値はそれぞれ、ということを自虐フルスロットルで伝えてくれる椿と夜々。

2人らしい優しさに加え、その後同じ話で慰めようとしてくれるゆくえ。この小気味いい会話のテンポの良さもこのドラマの見どころですよね。

私たちの固定観念をぶっ壊してくれるドラマ

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