働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、FP(ファイナンシャルプランナー)の丸山晴美さん。
今回のお悩み「節約のモチベーションを保つには?」
常に節約を心がけていても物価高で出費がかさみ、イヤになってしまいます。どうしたらモチベーションを保てますか?(30代前半/営業事務)
節約のモチベーションを維持するのは難しい?
日々節約を心がけて生活をしていても、この物価高でなかなか貯蓄につながらないと、モチベーションが保てなくなるのは仕方のないことです。とはいえ、ここで散財してしまいダイエットのリバウンドのように逆戻りしてしまうのは、もったいないですよね。今一度、節約をしてお金を貯める目的を考えてみてはいかがでしょうか。
節約傾向が続いている状況
株式会社ロイヤリティマーケティング「第61回Ponta消費意識調査2024年10月発表(※)」によると、冬のボーナスの使い道として「貯金・預金」が減少傾向ながら、11年連続で1位となっています。
また、同調査では消費者の節約傾向として、「節約したい」派は66.8%となり、前回調査より0.1ポイント減少していました。とはいえ、節約傾向は続いています。
節約はなんのためにするのか?
節約は日ごろのお金をやりくりして、出費を減らすことです。しかし、それだけではその効果が分かりにくくなってしまい、モチベーションを保つことが難しくなってしまいます。
大切なのは、やりくりで浮いたお金をどのように貯めて、貯めたお金で何をするのか、目的や目標を立てることなのです。
「貯金・預金」の用途は老後の生活への備えがトップ
前述の調査の中で、「貯金・預金」の用途(複数回答可)で最も多く回答があったのが、「老後の生活への備え」62.6%で、続いて「将来の消費への備え」(住宅購入、子供の学費など)45.3%、「収入の変化への備え」30.8%、「病気や災害への備え」25.2%でした。
このことからも分かるように、目的や用途を決めてお金を貯めることもモチベーションを保つ一因となるでしょう。
節約のモチベーションが保てなくなる原因
節約のモチベーションのモチベーションが保てなくなる原因はさまざま。私自身の経験や、相談者の方のお話しで多かったものを挙げてみました。
「お金が貯まったと思ったら、大きな出費で貯まったお金が消えてしまった」
せっかくお金が貯まってきたと思ったら、家電が壊れて買い替え費用に充てて、振り出しに戻った気持ちになった。
「他人との生活を比較して、自分の生活がみじめに思えた」
友人や同僚などが旅行へ行った、○○を購入したといった話の中で、自分の生活と比較してみじめに思えた。
「節約にこだわるあまり、やりたいことができずに生活が楽しめなくなった」
何を買うにも安いものを選んだり、旅行に誘われてもお金が減ってしまうと思ったりするなど、お金を使うことに罪悪感を持ってしまうようになった。
「目標数字を達成してしまい気が抜けてしまった」
100万円といったキリの良い数字が貯まり、それ以上貯めるモチベーションが無くなってしまった。
このようにモチベーションが保てなくなる原因はさまざまですが、自分自身がどのようなときに保てなくなるのかを考えてみましょう。ここからは私自身も行っているモチベーションを上げるいくつかの方法を紹介します。
モチベーションを上げる5つの方法
1.目標を決める
例えば、5年後に住宅購入するための頭金を1000万円貯めるといった、「いつまでにいくら貯めるのか」を明確にすると節約をする目的が明確になります。
ただ100万円貯めるという数字上の目標よりも、具体的に○○のためにと目標を決めると良いでしょう。
2.「貯蓄ノート」を付けて資産額を見える化する
毎月の貯蓄額を記入して、累計貯蓄額がどんどん増えることで、がんばろうとやる気が出ます。
3.「目的別」とは別に「特別費」の貯蓄をしておく
せっかく目的のために貯めていたお金を、家電購入といった別の用途に使ってしまうと、モチベーションが下がる原因に。目的のための貯蓄とは別に、「特別費」として、高額かつ突発的な出費に備えた貯蓄があると良いでしょう。
4.記憶に残るお金の使い方をする
節約に贅沢は禁物と思われがちですが、時には贅沢をして外食へ行ったり、旅行へ行くなどリフレッシュをすると良いでしょう。
贅沢がダメではなく、ムダがNG! ムダを省いて、貯めたお金でお誕生日などイベント時にはちょっと贅沢をするなど、メリハリをつけると、節約でお金が使えない、人と比べて何もできていないといったネガティブな気持ちになりにくくなるでしょう。
5.節約をゲーム感覚で楽しむ
1日1,000円生活をしてみる、5,000円レジャープランを考える、節約できたら「買ったつもり」で貯金する、一駅多く歩いて電車賃を貯金する……など、ゲーム感覚で楽しんでみるのも良いですね。