「なぜか仕事が終わらない」という人は、能力やスキルではなく、効率の悪い“段取り”によって時間をロスしている可能性が大。当たり前に行っていた作業のやり方を見直して、小さな時短を積み重ね、スキルアップやプライベートに使う時間を増やしましょう! 「30分早く帰るための仕事の段取り術」を“時短の先生”のセールスコンサルタント・伊庭正康さんに聞きました。
“当たり前”を疑えば仕事の効率は劇的アップ!
仕事のスピードが遅い…。要領が悪い…。上司にダメ出しされてばかり…。そんな理由で毎日残業続きという人も、いつもの段取りを少し変えるだけで、定時に帰ることが可能に。そのキーワードとなるのは、“ディスラプション”。
「ディスラプションとは、今までのルールを壊し、新しい常識を作っていくことを意味する言葉。仕事のスピードは、“当たり前を疑う量”で決まります。すなわち、小さなディスラプションの繰り返し。“当たり前のように作成している会議の資料は本当に必要なのか”“この打ち合わせはスカイプで済ませられないのか”。実際に段取りのいい人は、こうやって重箱の隅をつつくように、どんなことでも常に“これは本当に必要か”という目で見たりしています。昔ながらの習慣や職場のルールを見つめ直し、徹底的にムダを省いていくことで、仕事のスピードは格段に上がるのです」(セールスコンサルタント・伊庭正康さん)
ここでは、そんなムダをなくすための7の具体策をレクチャー。明日から早速、実践してみて。
小さなムダも徹底的に省く。
【必要以上に“やり方”にこだわらない】
やり方や完璧さへのこだわりは、ただの自己満足にすぎない。「段取りのいい人はやり方よりも目的にこだわります。目的が達成できれば、やり方はたいして重要でないと割り切ることも大切。例えば、打ち合わせに使う形式ばかりの資料作成。別に資料を作らなくても、口頭で説明すれば十分な場合も。労力に見合わない努力はしないこと」
【移動のスキマ時間を使った分だけ早く帰れる】
仕事が速い人はエレベーターの待ち時間ですらムダにしない。「スキマ時間にスマホを見たり、ゲームをしたりするのはもったいない行為。30秒~5分もあれば、メールの返信や整理整頓を、5~10分のスキマ時間には、電話打ち合わせや企画書の作成など、できることは実にたくさんあります。これらの小さな積み重ねが、段取りの大きな差に」
【記憶がホットなうちに少しでも作業を進める】
打ち合わせの内容をどれだけメモしていても、後から見返すとはっきりと思い出せないもの。「メモに頼ることは思った以上に危うく、思い出すという時間的ロスが大きいもの。打ち合わせなどでの決定事項は、記憶がホットなうちにほんの少しでも作業を進めておくと記憶に定着。それから少し時間が経っても、さほど難なく思い出せます」
【リサーチでは満点の情報を深追いしない】
あっという間に数時間が経過してしまう情報リサーチ。それでいて、特に成果がない場合も。「リサーチに時間がかかる人は、これよりもっといい情報があるはず…と完璧を求めがち。時間を節約するためにも、最初に“何の情報が必要か”を決めること。その目的をクリアする内容なのであれば、たとえ60点の情報でもよしとしましょう」
【打ち合わせは“終わり”を具体的に想像して臨む】
気がつけば、会議や打ち合わせでダラダラと話し込んでしまう…という人も多いはず。「打ち合わせは真剣勝負の場。段取りよく進めたいのであれば、必ずゴールを決めてから本題に入ることが大切です。ゴールというのは“終わる時間”と“決める内容”。この2つを具体的に決めておけば、延長やタイムアップを防ぐことができます」
【文章を“イチから打つ”という発想をなくす】
メールや文章作成も段取りよくスピーディにこなしたいもの。「パソコンの単語登録の機能に、単語ではなく、文章を登録してみてください。例えば、“お世話になっております”を“おせ”で登録。資料作成時もテンプレートを使い回したり、社内の連絡メールは件名に用件を書いてしまったり、使える機能は徹底的に活用して時間節約を」
【音声入力でメール作成の時間を減らす】
メール作成の時間を節約するには、音声入力という手も。「スマホには音声入力機能が搭載されています。技術が進化した今、誤変換も少なくなったので、ちょっとしたメールの返信なら音声入力で十分対応可能。これを使えば、パソコンを開けない時や歩いている時のスキマ時間も有効活用できるように。抵抗がない人はぜひ挑戦を」
伊庭正康さん セールスコンサルタント。リーディングカンパニーを中心に、営業スキル、リーダーシップ、時短に関する講演や研修を年200回以上行う。近著に『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)。
※『anan』2019年4月17日号より。イラスト・STOMACHACHE. 取材、文・菅野綾子
(by anan編集部)