何かあるとすぐ落ち込む、嫌な方向ばかり考えてしまう…。漢方薬剤師の大久保愛先生によると、そういったネガティブ思考の人は、ある部分が弱く、またいまの時期、特にそのような傾向が強まるとのこと。そこで、簡単に「幸せ体質」になれる効果的な方法をお聞きしました!
文・大久保愛
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 26
幸せを感じにくい人の傾向は…
突然ですが、あなたはラッキーガールですか? 何かが起きた時、それを幸せなことだと感じるか、何でもない日常だと感じるか、不幸なことだと感じるかは、人それぞれだと思います。でも、私たちは、物事の捉え方次第でいかようにも感情を変えられる力をもっています。だとしたら、楽しく幸せを感じている時間が人生の中で少しでも長いほうが嬉しいですよね。
例えば、いつも幸せそうに見える人でも、よく話を聞いてみると大して良い出来事が毎日起きているわけではないかもしれません。今を楽しみ、日常を幸せに感じられる能力は、高いに越したことありませんね。
そして、この能力に差ができる理由の一つとして腸内環境があります。お腹が弱かったり便秘ばかりしている人は、幸せを感じづらい傾向にあります。さらに、今の時期は漢方医学的にも気候的にも自律神経を乱しやすくお腹の不調を感じ、悲しさや内向的な思考を感じやすい時期でもあると考えることができます。
そこで、今週は毎日がワクワクな幸せ体質になれる食薬習慣について紹介していきます。
自然の変化が体調に影響している
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
今週は、幸せ体質になりましょう
秋になると漢方医学では、悲しみや孤独を感じやすくなると考えられています。しかし、秋といえば過ごしやすい気候で、食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋と楽しみが盛りだくさんです。ひとりでうつうつとしているのではなく、今までやったことのないことにチャレンジして、新しい趣味を見つけたり、今まで経験したことのないことを開拓していけたら楽しそうですね。
雨の日もありますが、気温も比較的安定しているので、新しいことを始めるには良い時期だと思います。ただ、この時期の特徴として漢方医学的に『陰虚燥結(いんきょそうけつ)』といって腸の乾燥によるコロコロ便などの便秘になりがちです。意識して腸活を取り入れ、善玉菌優位の腸内環境を取り戻さなければ、ミネラルやビタミンB群などの吸収が低下し、精神的にもネガティブになっていく可能性があります。
そして、今週は新月を迎えるため、栄養補給に最適なときでもあります。そこで、今週は食物繊維を補いながら、ミネラル、ビタミン、タンパク質など心の栄養をしっかり取り入れて幸せ体質になる食薬習慣をとりいれていきましょう。今週食べるとよい食材は、【高野豆腐入りハンバーグ】です。
今週食べるとよい食材・料理:高野豆腐入りハンバーグ
腸内環境が荒れている時には、幸せを感じさせるセロトニンなどの物質や心と体に必要な栄養素であるミネラルやビタミンB群が不足しやすくなります。そこで、食物繊維を含み腸内環境を整えながら、必要な栄養素を一度に取ることができる高野豆腐入りハンバーグがおすすめです。
高野豆腐
高野豆腐は、豆腐を凍らせて解凍し脱水したものです。そのため、乾物で日持ちはするのに食物繊維も多く、タンパク質やミネラル、ビタミンなどの栄養素がぎゅっと凝縮されている食材です。保存がきくので、お豆腐を使うよりも便利な面も。タンパク質や食物繊維が欲しい時には、煮物だけではなく炒め物や味噌汁などにも相性が良く活用しやすい食材でもあります。
ひき肉
豚でも牛でも鶏でも合挽きでもどのお肉でも大丈夫です。お肉全般には、タンパク質、ビタミン、鉄分などのミネラルがバランスよく含まれています。高野豆腐で腸内を整えながら、ひき肉で栄養の補充をしていきましょう。
アレンジ方法
高野豆腐をすりおろし、粉状にします。これを普段のハンバーグを作るときのパン粉の代わりに使用すると栄養価がグンとアップしたハンバーグを作ることができます。
高野豆腐はあまり購入する機会がないかもしれませんが、これをきっかけに日持ちしてアレンジしやすい高野豆腐を常備食材に昇格させてみてはいかがでしょうか。そして、栄養価抜群のハンバーグを食べて幸せ体質になりましょう。
information
大久保 愛 先生
アイカ製薬株式会社代表取締役・漢方薬剤師。
昭和大学薬学部生薬学研究室で漢方を学び薬剤師免許を取得。その後、中国で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び資格を取得。漢方相談、調剤薬局、エステなどの経営を経て商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。