今年9月より「キットカット」の一部商品が紙パッケージに生まれ変わりました。プラスチックごみ削減に向け、ネスレ日本が意気込みを語りました。
Asami Togi
キットカットが「脱プラスチック」へ
この秋、ネスレ日本が販売する「キットカット」の大袋タイプ5種の外装が、プラスチックから紙製に変わりました。
キットカットは日本のチョコレート市場シェアトップの商品。その外装が紙製になれば、年間約380トンものプラスチックの削減になると見込まれています。
紙製になったのは外袋のみで、個包装はプラスチックのまま。
個包装を紙製にする試みもありましたが、製品が空気に触れやすくなり品質劣化が進んでしまうなどの問題がありました。
いずれは梱包素材すべてをリサイクル可能なものにするため、今後も研究を重ねていくそうです。
「実は、コストは上がってしまうんです」
ネスレ日本の竹内雄二・コンフェクショナリー事業本部マーケティング部長は、「シェアが高いということは、いっぱい売れているということ。つまりプラスチックごみをたくさん出しているということ。そこに我々は責任をもち、お客さまに解決方法や選択肢を提示しなければならない」と話します。
また、紙パッケージに変更したことで製作コストが上がったことも打ち明けました。
「コストが上がって収益が圧迫されたとしてもやるべきだと判断しました。それだけ強い決意と意思をもってやっています」
100%リサイクル可能にするために
ネスレ日本が掲げる目標は、2022年までに個包装含めた全梱包素材を100%リサイクル(もしくはリユース)可能にすること。
現状の技術では個包装を紙製にすることができないため、まずは単一素材のプラスチック梱包材を開発し、リサイクル可能な素材に切り替えることを目指します。
「消費者のみなさんに環境問題に取り組んでいただくには、楽しく行動するきっかけが必要です」と竹内氏。
そのきっかけの一つとして、紙パッケージを便箋代わりにすることを提案しています。
この日、会場を訪れた記者たちには紙パッケージを使った折り鶴が配られました。そこには「本日はありがとうございました!」というメッセージが。
「脱プラ」がブランド価値になる
竹内氏は、プラスチックごみ削減に向けた取り組みを「ブランドの未来にも、地球の未来にも繋がること」だと説明します。
「ネスレが消費者にとって、一緒に社会問題を解決してくれる、未来を良くしようと考えてくれる、そんなブランドだという新しい価値を作りたい。紙パッケージの取り組みは、そのための小さな一歩です」