おふたりにとっても思い入れのある食べ物はありますか?
松坂さん 僕はオムライスが好きですね。というのも、おばあちゃんがたまに実家に来たときに作ってくれたオムライスがおいしくて。おふくろの味というよりは、おばあちゃんの味みたいですけど、食べるとそういう懐かしい感じになるんです。
斎藤さん 僕はシュタイナー教育の少し変わった小学校に通っていたので、当時としては早かったんですけど、マクロビを取り入れていたんです。それもあって、普通のお菓子を見たことがなく、おやつがなんと玄米パンと煮干し(笑)。だから、友だちの家で初めてカップラーメンをひとくち食べたときには、反動であまりにもおいしく感じてしまったこともありました。いまはなかなか食べる機会がないですけど、僕にとって思い出の味は玄米パンと煮干しです。
そんな個性豊かなおふたりは、2017 年もさまざまな作品で私たちを魅了し続けてくれましたが、今後もますます期待が高まるところ。現在放映中の朝ドラでの活躍はもちろん、本作を皮切りに今年も主演作の公開が続々と控えているのは松坂さん。
松坂さんにとっては30代を迎える節目となる年ですが、どんなふうに過ごしていきたいですか?
松坂さん 30代でもこの仕事を続けていくためには、どんどん間口を広げていかないとさまざまな作品ができないだろうと思っていたので、20代後半からはそれまでやったことのないような作品だけでなく、いろいろな監督や共演者の方とお仕事をしました。それによって30代になったときに、その出会いというものが大きく作用するだろうなと思ったからなんです。
だから、20代で窓をバーッと開ける感じというか、風通しを良くして下地を作ってから30代に入ろうと心がけました。もちろん、ひとつひとつをものすごく真剣にやってきましたが、30代を迎えるためにやってきたところはありますね。なので、今後はその “色” により深みを出せるような作業に徹していけば、それが40代にもつながると思っています。
ちなみに、プライベートにおいて20代で挑戦しておきたいことはありますか?
松坂さん VR体験です(笑)。いつでもできると思うんですけど、まだなので本当にやりたいんです。だって、子供の頃に描いていたいろんな妄想を叶えてくれるってすごいことですよね? 将来的にはロンドンの街並みをパディントンと一緒に歩けるとかもあったらおもしろいと思います。
いっぽうの斎藤さんは、国内外の作品への出演をはじめ、長編初監督作『blank13』を手掛けたり、クレイアニメのプロデュースをしたり、移動映画館を企画したりと、とにかく多角的に映画と向き合った一年。
そのうえで、今後どのようなスタンスで仕事をしたいと考えていますか?
斎藤さん 僕は自ら飛び道具的なプレーヤーを目指しているところがあるので、固定したひとつのイメージをめがけてはいないんです。ただ、数年前に『昼顔』と出会ってから、一部の人に持っていただいたイメージがあって、それがロッククライミングでいうひとつのつかまる石になっていると思っています。
つまり、それがひとつあると、次はどこに手を伸ばそうかとなり、そこを軸に考えられるんですよ。そのイメージがあるから、フラットなスタンスでいろんなところに飛んで行けるし、遠くへ飛んだようにも映ってくれたりするのはおもしろいなと。
イメージを確立してみんなにつかませる人と、そこから逃げ続ける人と2パターンありますが、自分は後者寄り。そうすると、いろいろな映画の現場を体験できますし、海外の作品も含めて、変わった動きをすることができると僕は思っているんです。カラオケでいつも同じ曲を歌うんじゃなくて、下手でもいろんなジャンルを歌えたほうが楽しいじゃないですか。そういう感じです。
最後に、2018年の目標としていることを教えてください。
斎藤さん 去年は権利フリーのクレイアニメを作ったり、自分の監督作の公開に際して劇場の現状にも痛いほど直面したりと、いままでとは違うアングルで映画に触れられた年でした。そのなかで、映画を初めてプロデュースした友人から非劇場でも公開したいと相談を受けたんです。僕が手がけている移動映画館ではお寺や体育館などいろいろな場所で上映してきたので、その経験を生かして友人に協力できたらと思いました。なので、今年の新しいチャレンジとしては、ニーズのある場所に劇場をどう提供できるかという部分で、ほかの作品を支えるような動きをしたいと思っています。
あとは、シンガポールでエリック・クー監督の作品に出演したことがきっかけで、アジア6か国で作るアメリカのケーブルテレビ放送局HBOのオムニバス企画に日本の監督として参加することになりました。他のみなさんは巨匠と言われている方々ですし、日本ではありえないことでしたが、このテンポ感についていかないと今後海外に関わる仕事を続けていけないなと感じたんです。
ひとつ作品を作ったことで思いもよらない展開となりましたが、これは俳優業だけだと見られなかった景色。ひとつの映画に向き合うことで、新しい現場や新しい作品が生まれるということがここ数年で起きてきているので、この流れは止めたくないですし、俳優が記念で映画を撮ったということにもしたくはないので、これからも戦い続けたいなと思っています。
インタビューを終えてみて……。
どんなことにも気さくに答えてくださるだけでなく、パディントンも顔負けなほど紳士的な松坂さんと斎藤さん。女性たちからは思わずため息がでそうなステキな2ショットですが、日本映画界には欠かせない存在であるおふたりは、2018年も私たちの心を掻き立ててくれることは間違いなさそうです。まずは、そんなおふたりの魅力あふれる声に癒されてください。
これで笑顔にならない人なんていない!
誰もがワクワクせずにはいられないエンターテイメントが満載でありながら、人と人との絆の温かさも感じさせてくれる本作。笑いあり涙ありの決定版として、新しい年の幕開けにはぴったりの一本です。大切な人の手を取って、劇場に向かってみては?
ストーリー
ロンドンでの生活にも慣れ、ブラウン一家とともに楽しく暮らすパディントン。そんななか、大好きなルーシーおばさんの誕生日のプレゼントとして、世界で1冊しかない飛び出す絵本を買うことを決意し、アルバイトを始めることに。
ところがある日、その絵本が盗まれたうえに、その場に居合わせたパディントンが逮捕されてしまうのだった。はたして、パディントンはブラウン一家の力を借りて無実を証明することができるのか。そして、飛び出す絵本の秘密を知り、怪しい動きを見せる落ち目の俳優ブキャナンとの対決の行方は!?