日本からハリウッドまで、さまざまタイプの若手俳優が台頭している今日この頃ですが、その後ろには、各国のネクストブレイク候補もまだまだたくさん控えているところ。そこで今回は、現在公開中の話題作『最初で最後のキス』から、青田買い必至のイケメンをご紹介します。それは……。
イタリアの新星リマウ・グリッロ・リッツベルガー!
【映画、ときどき私】 vol. 170
リマウくんは、本作のオーディションで2000人以上の候補者のなかから選ばれたシンデレラボーイ! インドネシア人の父とオーストリア人の母を持つハーフということもあり、どことなくエキゾチックな雰囲気が魅力です。
劇中では、新たな里親に引き取られる同性愛者の男子高校生という難しい役どころにチャレンジし、映画初出演とは思えない存在感で注目を集めています。今回は、初来日を記念して、リマウくんに直撃してきました。
ロレンツォはかなり個性的な青年ですが、演じるにあたって不安はなかったですか?
リマウ ロレンツォは演じるには楽しい役だったから、難しさを感じることは特になかったよ。それに、彼は俳優にとっても、観客にとっても自由を与えてくれる存在だといえるんじゃないかな。
ただ、ロレンツォには重みが必要だったんだ。それは、決して彼が重い人間ということではなくて、歪んだ社会の犠牲者であるということを伝えなければいけないという責任。そういうメッセージを届けないといけない部分に関しては難しかったといえるかな。それをうまく表現できていたかは僕にはわからないけど、みなさんに伝えられていたら成功しているということだと思うよ。
撮影から3年が経過し、一気に大人っぽさが増したリマウくん。
これまでを振り返ってみて、この作品に出演したことがいまの自分に影響を与えていることはありますか?
リマウ もちろん、それはたくさんあるよ。やっぱりこの役を演じたことで、いろいろと教えられたことがあるし、何よりも自分の世界が広がったんだ。
人生において、いろいろな色やニュアンス、そして可能性をこの映画によって知ることができたから、僕はまだ21歳でこれからどうなるかはわからないけど、今後の大きなきっかけにはなったと思うよ。
撮影中はご自身もちょうど役と同じくらいの年齢でしたが、実際はどんな高校生でしたか?
リマウ 僕は理系の高校に行っていたんだけど、反抗的なところとそうではないところとがミックスされたような高校生だったかな。映画を撮っているときは学校に行けなかったんだけど、その間も勉強に対する気持ちを持ち続けることができたから、無事に大学へも行くことができたんだ。
ロレンツォも勉強ができるタイプだったけど、彼に比べると僕のほうがもうちょっとマジメな高校生だったかな(笑)。
劇中でみどころのひとつは、ロレンツォがつらい状況を乗り切るために、妄想のなかでダンスをし始めるというシーン。
踊っている姿もステキでしたが、もともとダンスは得意だったのですか?
リマウ いやいや、この作品の前はまったく踊ったことがなかったから、最初は木の棒みたいに固まってたよ(笑)。今回は、ルカ・トマシーニというイタリアでも有名なダンサーが振り付けてくれたんだけど、マドンナやマイケル・ジャクソンの振り付けもしていた優秀な人なんだ。彼のもとで1か月間練習して、やっとできるようになったくらいなんだよ。
では、ご自身が困難にぶつかったときに意識的にしていることはありますか?
リマウ ロレンツォと同じで、踊ることを想像しているかな。というのは冗談で、僕は踊らないよ(笑)! 僕の場合は、未来を想像すること。つまり、「自分がどんなふうになりたかったか」というのを思い出そうとすることなんだけど、そうすると自分が変わっていくのを感じられるんだ。そういう意味でも、やっぱり夢を持つというのは大事なことだと思うよ。
3歳のときにイタリアに移住したそうですが、異国で育つことに苦悩したことはありませんか?
リマウ 僕は生物学的にはインドネシアとオーストリアの血が流れていて、文化的にはオーストリアとイタリアという背景だから、この複雑な状況に最初は苦しんだこともあったよ。というのも、母親が移民としてイタリアに来ていたから、「イタリアは自分の居場所じゃない」という意識が強かったんだよね。でも、逆にそれが力にもなったし、そのおかげでいまでは中と外の両方から見るという2つの視点を持つことができるようになったんだ。
そういう部分をうまく使えているかはわからないし、アイデンティティの問題を解決できているわけではないから自分が何者かはいまでもわからないけど、目の前には人生が広がっていて、「どんなことが起きるんだろう」と考えるだけでいまは幸せを感じられているよ。
そういう心境が影響したこともあり、現在はローマ大学で哲学科に通っているというリマウくん。
将来は俳優として生きていくのか、それとも哲学の道を進むことも考えていますか?
リマウ もちろん俳優をやっていきたいと思ってるよ。ただ、この先はどうなるかはわからないから、自分の考えとしては、まず力が続く限り両方をやっていくということ。いまは決断を遅らせているところもあるけど、そのときが来たらどちらかを選ぶつもりだよ。