7.さまざまなホルモンを作る。
気持ちを落ち着かせる幸せホルモンとして知られているセロトニン。その90%は、脳ではなく腸で作られているという。
「ある種の腸内細菌が直接、セロトニンを作っていることが分かってきました。セロトニンだけではなく、やる気に火をつけるドーパミンやノルアドレナリンといったホルモンを作り出す腸内細菌も存在しています」(江田先生)
もちろん、これも腸内環境が良好な条件での話。
8.がんのリスクを下げる。
最近のトピックのひとつが、腸内環境と乳がん。
「腸内細菌の多様性が低い人は乳がんのリスクが高いといわれています。通常、腸内細菌は女性ホルモンのエストロゲンを代謝・分解します。ところがその働きが期待できず、エストロゲンの作用が強くなりすぎて、乳がんを引き起こす可能性があるのです」(江田先生)
その他、腸内環境の悪化が、肝臓がんなどのリスクにつながるという怖い事実もあり。
9.さまざまなビタミンを合成する。
腸内細菌は、分かっているだけでもホルモンや水素ガス、さまざまな代謝産物など、カラダに有益な物質を作り出している。なんとカラダの働きを助けるビタミンさえも合成しているという話。
「腸内細菌はビタミンKなどの微量栄養素を作り出します。ビタミンKは肌の健康をサポートするビタミン。一方、腸内環境が悪くなると、脂肪に溶けやすいビタミンA、D、Eなどの吸収率が低下してしまいます」(江田先生)
10.イライラや不安感がなくなる。
お腹の痛みを伴った下痢や便秘が続く過敏性腸症候群。はっきりとした原因は、まだ不明…。
「ただ、ストレスの影響が大きいことは繰り返し報告されている事実です。消化管で起こるさまざまな働きの情報が脳に伝わり、脳がストレスを感じることで腸の働きが乱れます。腸からの刺激は、不安、恐怖、イライラといった私たちの感情に直接訴えかけてくるのです」(福土先生)
腸が健やかなら、脳と心も健やかということ。
笠岡誠一先生 文教大学健康栄養学部管理栄養学科教授、管理栄養士。製薬会社、国立健康・栄養研究所、アメリカ国立衛生研究所を経て現職。研究テーマのひとつは食物繊維の栄養生理学。
福土 審先生 東北大学大学院医学系研究科 行動医学教授、東北大学病院心療内科科長。アメリカ消化器病学会マスターズ賞受賞。脳と腸の相関関係の研究と過敏性腸症候群治療の第一人者。
江田 証先生 江田クリニック院長。日本消化器病学会専門医。米国消化器病学会のメンバーも務める。毎日、国の内外から訪れる200人近くの患者を内視鏡で診察、治療に当たるカリスマ医師。
※『anan』2018年7月25日号より。取材、文・石飛カノ ©PeopleImages
(by anan編集部)
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