☆ポジティブフィードバックの場合
「○○さんは入社してからこの1年間で、わからないことがあると自分で調べた上で私に質問してきたり、資格を取得するための勉強をしたり、新商品の知識を得るために人一倍努力したりしてきましたね。それが今、仕事を進める上で視野が広がり、お客様への信頼にもつながっていると思います。
私は○○さんのそういう行動をみていて、とても頼もしく、うれしく思っていました。○○さんはこの1年間のそうした行動を振り返ってみて、自分ではどう思いますか?」
というように「行動」に対して「具体的」に「Iメッセージ」で伝え、「本人はどう思っているか」を確認するようにします。
☆ネガティブフィードバックの場合
「○○さんはとても仕事も速いし、資料の作り込みにも力が入っていますね。段取りもいいし、計画的に仕事を進められていると思います。
ただ、○○さんの資料はボリュームがありすぎるためか、読むのが大変で、ポイントがわかりづらいと私は感じています。お客様に説明する際のパワーポイントも、半分くらいの枚数になるともっと伝わると思います。
○○さんはこの資料を半分の枚数にするとなると、どこをどう変えると伝わるものになると思いますか?」
基本はポジティブフィードバックと同じですが「事実」を述べた上で、「私はこうしてほしい」ということを伝えるのがポイントです。
このように正しいフィードバックがされると
自分のことをキチンと見ていてくれた。
自分の能力を評価してくれた。
自分のことを信頼、信用してくれている。
自分をもっと伸ばそうと思ってくれている。
というかたちで伝わります。本人のやる気、モチベーションを高めるだけでなく、自己効力感が高まり、2人の間の信頼関係も深まります。
◇やってしまいがちなNGフィードバック
やってしまいがちなNGフィードバックを紹介します。
☆人と比較する
・「同期の○○さんと比べると、ずいぶん遅れているんじゃない?」
・「あなたの年次だとこの位はできるよね」
という「人との比較」を用いた言い方は本人を否定し、傷つけることになります。
結果、自己肯定感やモチベーションが下がることにつながり、最悪は「恨み」の感情も出てきてしまいます。
☆他者のせいにする
・「みんな言ってるよ」
「みんな言っている」という言い方は、他者のせいにして「私はこう思う」という言い方を避けています。これではフィードバックされた方も「誰が言っているの?」と周囲にも不信感を持つことにもなり、圧力をかけることにもなります。
☆批判的な言い回し
・「やらなきゃあなたが損することになるよ」
「あなたが損する」と言い方は、「あなたのために」言っているかのようにみせかけて「私に迷惑をかけないで」ということが含まれており、批判的な言い回しです。
☆具体性に欠ける
・「結果にコミットしてもらわないと困る」
「結果にコミット」という曖昧な表現では何をどうすればいいのかわからず、具体性に欠けます。「何をどうしてほしいのか」とIメッセージで伝え、「あなたはどう思っているか?」「どこまでやれそうか?」ということを確認するかたちをとりましょう。
■上手なフィードバックの効果は絶大!
日々のビジネスシーンや研修会の場で、効果的なフィードバックができるようになると、部下や後輩との関係がよくなるだけでなく、相手の能力を引き出し、モチベーションを高め、結果、業務効率も生産性も上がっていきます。是非この機会に今までの部下や後輩への接し方を見直し、効果的なフィードバックの仕方を身につけて下さい。
(工藤倫子)