木村俊夫(キャリアコンサルタント)
資格を取得すれば、現在の仕事でも就職先でも有利になるのは周知の事実。でも世の中には資格がたくさんありすぎで、どの資格を勉強したらいいのかわからなくなることってありますよね。「どの資格に需要があるの?」「資格取得の難易度は?」中には、「どの資格がお金を稼げるの?」なんて率直な疑問もちらほら。気になる資格の実情について、キャリアコンサルタントの木村俊夫さんに聞いてみました。子育て中の女性にうれしい、家でも活用できる資格についても教えていただきましたよ。
■資格と仕事の関係性とは
◇資格が就職・転職に与える影響って?
企業の採用活動において資格保有者がどのように扱われるかですが、実態は様々であると言わざるを得ません。ただ、資格という基準で、よりほしい人材を見極めようとする面はもちろんあります。「やる気はもちろんだが、ある程度の知識は持っておいてほしい」などと考える場合は、自己申告よりも資格の有無を基準にするのです。
ある企業の実例だと、募集要項には資格の有無を問いませんと書いていても、応募者が多い場合は資格者の方を面接に呼ぶケースが多いという話を聞いたこともあります。
資格を持つことが就職や転職に与える影響ですが、私は3点考えています。
☆専門性のアピールができる
自分は何ができるのかを客観的に伝えることはとても難しいものです。しかし、資格を取ることで、試験団体によって客観性が担保されます。見ず知らずの人に、「この人はこういう力を身に着けているんだな」とわかってもらう手段となります。
☆継続学習の意欲を表現できる
たとえば、家庭に入って仕事をしていない期間に資格を取っているならば、学ぶ意欲や目的意識を持った人である、とのアピールがしやすくなります。主張は簡単にできても、根拠まで明示するのは難しいですよね。資格を取ったということが、学ぶ意欲の根拠となり、目的意識が高く、継続学習ができる自分をアピールすることができるのです。
☆自分の自信につながる
資格を持っていない自分より、資格を持っている自分の方が、人前でアピールするときに「素の自分」で立てるようになります。キャリアコンサルティングの現場では、自分に自信が持てず、就職活動をする自信もないとおっしゃる方と多くお会いしてきました。しかし、資格を勉強し、さらに取得まで至った人は、それが自信になり、意欲的に就職活動に臨めるようになる可能性があります。
資格を取ることはゴールではありません。資格を通して自分が一歩踏み出せるようになることが大切なことなのです。
◇女性が「資格」を取るメリット
女性が資格を取ることのメリットには、資格を通して自分に向き合う時間が作れること、自分に自信を持ち、社会とのつながりを作れることがあります。
☆資格を通して自分に向き合う
無数にある資格のうち、その資格に興味を持ったのはなぜでしょうか。そこに、自分のやりがいや大事にしているものが隠されています。「好きだと思っていたことが、資格を学んだことで本当に好きなんだと実感できた」という声や「やってみたらおもしろくて開業にまで至った」という成功例も聞いています。
☆社会とのつながりを作れる
出産や育児をする中で、「自分は何もできないし何もしていない」といった自己効力感が低くなる方がいます。できることを客観的に認識できるのが資格ですから、資格を取ることをきっかけに一歩踏み出す勇気が湧き、結果活躍されているという方もいるんです。
また、専業主婦の方からよく聞くのが、家族以外とあまり接点がないということ。それが、資格取得をきっかけにweb上のコミュニティに参加したりと、たくさんの居場所を感じることにつながったという声も聞いたことがあります。
■高収入が期待できるおすすめの資格
高収入の基準は人それぞれかと思います。今回は、アルバイトやパートではなく、自分の専門性を発揮できる職種といった観点でピックアップします。特に、在宅で独学でもある程度学べるものを中心に見ていきましょう。
◇ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーとは、お金の面から、人生の計画を立てる専門家です。日本FP協会または金融財政事情研究会が主催する試験に合格する必要があります。
☆ファイナンシャルプランナーのおすすめポイント
ファイナンシャルプランナーは、自分のライフプランを見直すなど、収入以外の面での効果も高い資格です。この資格は保険業界の窓口など、生活とお金に関わる分野の専門家として活動できます。また、知識が多岐にわたるので自分の生活経験の中から、得意分野、専門分野を深め、アピールできます。
◇日商簿記
日商簿記は、財務の面でお金の動きを知れるようになる資格です。日本商工会議所の試験に合格する必要があります。
☆日商簿記のオススメポイント
日商簿記は、特に働く女性にオススメの資格です。経理の仕事は、会社であればどこでも需要があります。そして、お金の流れがわかるようになることで、財務面から提案や報告を作成できたりと、今の仕事に活かせる面も多くあります。
また、自宅で仕事をする場合、確定申告などの面倒な手続きが必要になることも。その際には、簿記の知識がとても役に立ちます。