頭では理解していても、心がついていかず、そのもどかしさにどうしようもない気持ちになる。そんな経験はないだろうか。映画『生きてるだけで、愛。』は、そんな思いを抱えた男女を生々しく描いた映画。
趣里さんが演じるのは、感受性が豊かすぎるゆえにメンタルに問題を抱える寧子。菅田将暉さんは、そんな彼女と同棲中の恋人・津奈木を演じている。
趣里:脚本を読ませていただいた時、自分自身先が見えなくて辛かった時期に、エンタメに救われたように、もしかしたらこの作品も、そうやって誰かの心に寄り添えるのかもしれないって思ったんです。寧子は精神的に不安定な自分を自覚しながら、不器用でも必死に前に進もうとしている人。そこがすごく愛おしくて…。
菅田:僕は、趣里ちゃんがすごく気合入っているって聞いたんで、それならぜひやりたいって思ったんです。
趣里:ちょっとちょっと…(笑)。
菅田:いや本当に。それにこの作品が白でも黒でもないグレーなものを描いているのもいいなと感じていて。
趣里:自分とはアプローチの仕方は全然違うけれど、寧子のもどかしさや葛藤はすごく理解できるよね。
菅田:うん。ただ、同棲してから3年が経っていて、津奈木はどこかで寧子に期待しながらも、真っ正面から向き合うことを諦めているんです。だから、津奈木が変に優しく見えなければいいなとか、毎テイク考えることの多い作品ではありました。
趣里:寧子としても、強く出てみたり、引いてみたり…菅田さんのお芝居に影響される部分も多くて、演じていて楽しかったです。あと、撮影に入ってすぐ、菅田さんが「自由にやってね」って言ってくれた言葉も本当にありがたかった。
菅田:そんないいこと言ってたんだ(笑)。でも、この作品では寧子が自由でいることが一番だから。やりながら思ったのは、津奈木が結局どんな人かはわからないけれど、寧子と一緒にいれば、想定していない未来が見える気がしたのかもな、と。
趣里:寧子は津奈木といると自分のダメな部分を自覚させられる一方で、それでも受け入れてくれる彼に依存してもいる。人間関係って、そういうところがあるなって思いました。
菅田:多くの人が身に覚えがあるけれど、目をつぶっていた部分を描いているよね。友達の石崎ひゅーいは、津奈木と自分が似すぎていて、観ていて苦しくなったって言ってたけど。
趣里:自分に置き換えて観ることもできるし、観た後に、友達といろいろ話し合える作品だと思います。
『生きてるだけで、愛。』部屋に引きこもり、時にエキセントリックな言動をとる寧子(趣里)。そんな彼女と同棲する津奈木(菅田)は、仕事への夢も情熱も失い、寧子の理不尽な怒りを、ただやり過ごすばかりで…。11月9日より全国公開。©2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会
しゅり 1990年9月21日生まれ。最近の出演作にドラマ『ブラックペアン』、舞台『マクガワン・トリロジー』など。現在放送中のドラマ『僕とシッポと神楽坂』に出演している。
すだ・まさき 1993年2月21日生まれ。近作にドラマ『dele』。主演映画『アルキメデスの大戦』は来年夏に公開予定。現在放送中の朝ドラ『まんぷく』への出演も決まっている
趣里さん・フリンジセーター¥137,000(PORTS1969/MAISON DIXSEPT TEL03・3470・2100) メッシュスエードスカート¥39,000(IHNN/ブランドニュース TEL03・3797・3673) チェーンリング¥50,000(MARIHA/showroom SESSION TEL03・5464・9975)
※『anan』2018年11月14日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・天津亜紀(趣里さん) 猪塚慶太(菅田さん) ヘア&メイク・笹本恭平(趣里さん) AZUMA(M-rep by MONDO-artist/菅田さん) 取材、文・望月リサ
(by anan編集部)
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