お気に入りの喫茶店がある。それだけでその街がぐっと身近に感じられるのはなぜだろう。歴史ある喫茶店には、その街の文化が垣間見えるもの。美味しいコーヒーを飲みながら、奥深い京都の空気を感じよう。
カーディガン¥44000/CABaN(キャバン代官山店)、ブラウス¥9900/SHIPS any(シップス エニィ 渋谷店)、パンツ¥27500/rag & bone(ラグ & ボーン 表参道店)、バッグ¥101200/eb・a・gos(エバゴス)、ソックス¥2860/PANTHERELLA(真下商事)、シューズ¥26400/Catworth(グラストンベリーショールーム)
フランソア喫茶室
昭和の文化人が憧れたフランスに想いを馳せて
フランスの自由な思想や文化に憧れ、日本にも自由に語り合える場所を、という想いのもと1934年に創業。多くの文化人が集った当時の姿がそのまま残る、有形文化財指定の喫茶店。豪華客船のホールを思わせる店内には、店名の由来ともなったフランスの画家、ジャン=フランソワ・ミレーの作品のほか、創業者が買い集めた名画が並ぶ。
京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184
075-351-4042
10:00~22:00/無休
イノダコーヒ 本店
京都のコーヒー文化に触れる優雅な朝を
創業当時の姿を残す旧館(左側)と、町屋造りの本館(右側)が合体した独特の店構えの本店。オリジナルブレンド「アラビアの真珠」は、ミルク、砂糖を加えて提供されるのがイノダ流。社交場の役割を担った創業当時、討論中にコーヒーが冷めてしまいミルクと砂糖が混ざらない……なんてことを避けるために生まれたのだとか。
京都府京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140
075-221-0507
open: 7:00~18:00/不定休
進々堂 京大北門前
カルチェ・ラタンの風が吹く開放的な空間
重厚な存在感を放つ長机と長椅子は工芸家の黒田辰秋氏に依頼したもので、90年以上もの間ここを訪れる人々の時間を見守り続けている。同店のお手本となったのは創業者が留学していたパリの学生街カルチェ・ラタンのカフェ。学生たちが自由に勉強や論議をする姿を思い浮かべて京都大学そばにつくられた空間には、心地よい趣が滲む。
京都府京都市左京区北白川追分町88
075-701-4121
11:00~18:00/火・祝日 定休
喫茶 ソワレ
幻想的な空間で楽しむ宝石のようなゼリーポンチ
フランス語で“夜会”、“素敵な夜”を意味する店名の通り、一歩足を踏み入れると夜の夢の世界に入り込んだよう。木彫刻などの華やかな装飾は、フランスの田舎の教会をイメージ。幻想的な青い光の中でキラキラと輝くゼリーポンチや、コースターやコーヒーカップに描かれた東郷青児氏の儚げな美人画に、乙女心をくすぐられる。
京都府京都市下京区西木屋町通四条上ル真町95
075-221-0351
13:00~19:00 ※土日は~19:30/月 定休(祝祭日の場合は翌日休)
photograph_Taniguchi Daisuke
styling_Kitagawa Saori
hair & make_Onishi Akemi
model_Ksenia, Julia
edit_Shibata Moe〈KIP Inc.〉
design_Kawai Hiroyasu〈VIA BO, RINK〉
FUDGE vol.224 2022年3月号より