小日向るり子
私たちが人の印象を判断するときに、いったい何をもってそのように感じるのでしょうか。
大きく分けると快・不快ですが、それ以外に実際に話をしていなくても「優しそう」「怖そう」など、さまざま感情を相手に対して抱いていますよね。
実はその判断材料には声のトーンも関係しているのです。今回は声のトーンでわかる心理や人に与える印象のちがいを解説していきます。
声のトーンで心理がわかる?
獣の威嚇する声を思い浮かべてください。ほとんどの方がその低く唸る響きに恐怖を感じると思います。
一方で、アニメ番組でのヒロインの女の子の高い声に恐れを感じる人はいないですよね。むしろ、かわいい、守ってあげたい、という感情が湧くと思います。
人には音のトーンによる察知能力がある
これは、低い唸りをおびたトーンは「野獣=敵、脅威」を連想させ、高い声には「子ども=愛くるしい、守るべき存在」を連想するといったかたちで、人には音のトーンによる本能的察知能力が組み込まれているからです。
したがって、言い替えると声を出すほうも、心理状態によってトーンが変わることは本能的なものであるといえますし、意図的に声のトーンを変えることで、相手に与える印象を操作できるということになります。
声で聞き分ける心理状態5パターン
では、具体的に声のトーンは人のどんな心理状態を表しているのでしょうか。
(1)声のトーンが高くなるのは理性を失った怒り
ドラマなどで突然恐いものを見た際に「キャーッ」と声をあげるシーンがありますが、こうした叫び声に代表されるように、人間が理性を失った際に叫ぶ声は高くなります。
したがって、怒りの言葉が高いトーンの場合は理性を失っている証拠です。特に、もともとの声が高い女性の場合は顕著にあらわれます。
(2)声のトーンが低くなるのは理性がある怒り
逆に、怒りの感情でいっぱいだが、それを理性で抑制して話す時のトーンは低くなります。怒っている際に声のトーンで理性的に怒っているのか、そうでないのかある程度は判断できます。
(3)女性が急に声のトーンを高くするのは甘えたい感情
前述しましたが、女性の高い声は本能的に「子ども」を想像させます。
女性が彼におねだりする際などに自然と声のトーンが高くなるのは、無意識に子どもを演じて男性の父性を刺激しているのです。
(4)声のトーンが安定しないのは緊張している状態
声のトーンが安定しないというのは、声がうわずったり擦れたりする状態です。これは身体全体が緊張しているということ。
緊張によって筋肉が硬直したり、身体に震えがきたりすることによって声にも表れるのです。
また、緊張すると口内が乾いてしまうので、それによって声が出にくくなるということもあります。
(5)高いトーンが続く場合は楽しんでいる状態
興奮状態のときは理性のタガが外れますので、声が高くなる傾向にあります。
したがって、いつもより高いトーンで会話が続いているとしたら、それはその場を楽しんでいる状態です。デートなどで相手の気持ちを探る際のひとつの目安となりますね。
声を使い分けて好印象を残すには?
感情を表す声のトーン。これは、周囲に与える印象にも深くかかわっています。
この「声」を効果的に使って、好印象を残すテクニックとは? 会話のときに少し工夫するだけで、コミュニケーションがよりスムーズになるはずです。