今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
謎を育む
今週のさそり座は、ありきたりの仕方ではない方法で自身を新しくしていこうとするような星回り。
ベンヤミンは1939年に書いた「セントラルパーク」という断章のなかで、既に唯一の例外をのぞいて、現代社会には本当に新しいものは何も残されていないのだと書いていました。
人間にとって死は絶対的に不可解なものであり、恐れと同時にどこかで気になって仕方のないもの。だとすると、死の疑似体験としての<新しさ>とは、すなわちこの不可解を思い出すことであり、自身の根源的な無知に立ち戻るということでもあるはず。
あなたもまた、<新しさ>を突き詰めた先で人が必ず行き着くであろう大いなる謎の前で立ち尽くし、そこで自分の存在が根底から一新されていくのを感じていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
喉の奥から飛び出てくるもの
今週のいて座は、こういう語感がいいやという感覚を思い出していくような星回り。
『闇夜(やみのよ)のはつ雪らしやボンの凹(くぼ)』(小林一茶)という句のごとし。
掲句には田舎調のリズムがあり、諧謔(かいぎゃく)がある。何より、こういうジーンと染み渡るような寒さ、まったき暗闇というのは、江戸のような開けた平地のものではなく、山に囲まれた土地のもの。そういう寒い闇に裸体でさらされているボンの凹、そこにひやりと雪片がさわって、思わず喉の奥から言葉が飛び出してきたわけです。
あなたもまた、自分の発する響きがどんなものになっているか、改めて確かめてみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
欠如の原理
今週のやぎ座は、頭の中のアイデンティティなどよりも確かなモノがそこにあるのだと、思い当たっていくような星回り。
哲学者のミシェル・セールは、皮膚と皮膚が接触するところに<魂>が生まれるのであり、唇をかみしめ、額に手を当て、手と手を合わせ、括約筋を締めることでそれは初めて可能になるのだと捉えていました。さらに皮膚を通して<魂>をさらすゲームの中でこそ、人は自分の存在そのものに触れていくことができるのだとして、次のように述べています。
「もし君が身を救いたいと思うならば、君の皮膚を危険にさらしなさい」
あなたもまた、ゆっくりと真綿で絞めつけるように<わたし>を消していこうとする被膜をなんとか引き裂き、誰か何かに思い切って直接触れてみるべし。