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日本の患者数は約1000万人?知ってるようで知らないEDと予防のために今できること|医師が解説

年齢を重ねた男性にとっては不安のひとつでもあるEDについて、泌尿器科医師に解説してもらいました。

勃起障害(ED: erectile dysfunction)とは、満足な性行為のために十分な勃起が得られない、あるいは維持できない状態のことをいいます。年齢を重ねると発症しやすくなりますが、40歳未満でも1-10%で認めるとの報告があります(*1)。日本での患者数は約1000万人と推定されており(*2)、少子高齢化が進む今の日本においては今後更にEDに悩まされる人が増えてくる可能性があります。私たち泌尿器科の外来でも、「昔みたいに大きくならない」「硬くならなくなった」といった悩みで定期的に患者さんが相談に来られます。「自分もいつ勃たたなくなるかわからない…」そのような不安を感じたことのある方も多いのではないでしょうか。でも、大丈夫です。実は勃起のメカニズムやEDの原因について知ることで、ED予防として今からできることがあるのです。この記事を読んで一緒に勉強していきましょう。

勃起のメカニズム

勃起のメカニズムについてはご存じでしょうか。陰茎の陰茎海綿体には筋肉があり、まずはそれが緩むことで血液の流入がおこります。そして、海綿体洞というスペースが血液で充満し、さらにそれによって陰茎からの流出血管が圧迫されることで血液が貯まり勃起が完成します。端的に申し上げると、陰茎の中にたっぷりと血液が充満する事で勃起が完成し維持されるのです。

原因と予防

海外からの報告によると、EDのリスク因子としてわかっているものとして、加齢、糖尿病、肥満、運動不足、心血管、高血圧、喫煙、テストステロン低下、慢性腎臓病、下部尿路症状、神経疾患と11の因子があります3。先ほど陰茎にたっぷりと血液を送ることで勃起が起こると述べましたが、血液を送る役割をしているのは血管ですよね?喫煙、高血圧、糖尿病は全身の血管を痛めてしまうことが知られており、その状態が続くとやはりEDになりやすくなることが知られています。大前提として血管が健康でないとうまく陰茎に血液を運ぶことができずEDの原因となり得るのです。逆にEDの患者さんの心電図をとったら、5-56%で異常を認めたという報告もありますので、EDは全身の血管の異常のサインかもしれないということを頭に入れておきましょう。「ED予防のために今のうちから何かできることは無いか?」と考えるのであれば、いわゆる生活習慣病の予防と同じように日々の食事や運動習慣を見直すことが最も重要であることが分かりますね!

EDの治療

最も一般的な治療法は皆さんご存じのバイアグラ®(一般名:シルデナフィル)の内服です。他に、レビトラ®(バルデナフィル)やシアリス®(タダラフィル)といった薬剤もあり、効果の即効性や持続時間などで使い分けることがあります。これらの薬剤はいずれもホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬という成分を含んでおり、これによって陰茎海綿体筋が緩み勃起を促進するのです。

たまに、ネットで海外から安価に入手したED薬を内服している方がおられますが、容量が国内のものと異なることや品質不良なことがあります。受診するのが恥ずかしいからといってネットで安易に海外の商品を購入し、偽造薬品を内服したことで命の危険がある事もあります。必ずお近くの泌尿器科に受診して専門家に相談しましょう。

まとめ

EDは男性であればだれでもなり得る疾患です。いくつになっても元気でいたいという思いはどんな男性でも抱く思いですので、その思いに対して恥じる必要はありません。今回は病態について簡単に理解できるように血管性EDをメインにお話しいたしましたが、他にも薬剤性のEDや男性ホルモンが不足することによるEDなどいろんな種類のEDがあります。自身の努力だけでは予防しきれないEDも多いので、少しでも不安になったら一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献
1.    Shamloul, R. & Ghanem, H. Erectile dysfunction. Lancet 381, 153–165 (2013).
2.    英二丸井. わが国におけるEDの疫学とリスクファクター. 医学のあゆみ 201, 397–400 (2002).
3.    日本性機能学会 & 日本泌尿器科学会. ED診療ガイドライン. (リッチヒルメディカル, 2018).

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