スキンケアやメイクアイテムって毎日使うものだから、なるべく肌への負担は少なく、自然の恵みをやさしく取り入れたい……そんなニーズから今は「オーガニックコスメ」も溢れている時代です。「オーガニック表記があれば安心」と思って愛用する方もきっと多いはずですが、実はいまの日本にはオーガニックコスメを認定する基準がありません。「オーガニック」と書かれていても過信は禁物……そもそもオーガニックとは? そして本物をどう見極めたらいいかのポイントをご紹介します。
湊亜弥子
「オーガニック」という言葉、どのように捉えていますか?
食品やコスメ業界でさまざまに汎用される「オーガニック」というワード。「有機」「オーガニック」と謳われている商品は、一般のものよりなんとなく安心安全で、肌や体の健康にも良い印象を受けます。もちろん、原料や製造プロセスを厳選して作られるこだわりのプロダクトもたくさんありますが、「オーガニック表記」のすべてが信頼できるわけではありません。なぜなら、日本では残念ながら、コスメについてのオーガニック認定基準がまだ存在せず、表記も自由だからです。
海外と日本では、こんなに違う「オーガニック」の定義
そもそも「オーガニック」の定義とは、農薬や化学肥料を使わず、遺伝子操作をしていない「有機栽培農法」のこと。オーガニックコスメは有機栽培による植物を原料に、保存料などケミカル成分に頼らず作られた製品を指します。食品のオーガニック規格には、2000年からスタートした「有機JAS認定」があり、農林水産省が定める厳しい品質基準や表示基準をクリアした信頼の証になっていますが、化粧品にはそうした規格も法律もないため、各メーカーが自社基準・自社判断で「オーガニック」と謳うことができます。それは例えば、全成分の0.1%、一種類でも天然ハーブや天然ミネラル成分が入っていれば、「オーガニックコスメ」「ナチュラルプロダクト」と表記してOK。残りの成分には化学物質が大量に配合されていても、製品開発に動物実験を繰り返していても、それでもオーガニック商品のカテゴリーになるわけです。
いっぽう、イギリスやドイツ、フランス、オーストラリアなど、「オーガニック先進国」ではしっかりとしたオーガニック認証基準が設けられ、それを満たさない商品は「オーガニック」と表記することはできません。フランスの「COSMEBIO」や「ECOCERT」、ドイツは「BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)」、イギリスは「Soil Association(英国土壌協会)」、イタリアは「ICEA」、オーストラリアの「ACO」など、世界的に信頼される団体が認証を行い、それぞれクリアするには厳しい条件ながら、認証を受けたオーガニックコスメブランドは数多くあります。EU諸国の上記5団体は、バラバラだった規格内容を取りまとめ、2010年に新しい世界統一基準として「COSMOS(COSMetic Organic Standard、コスモス認証)」も制定しています。
日本でオーガニックコスメを買う時の選び方
日本にはまだ明確な判断基準がないけれど、本物のオーガニックコスメを使いたいなら、まず「オーガニック」「ナチュラル」というキャッチだけで判断するのはやめてみましょう。気になるアイテムがあれば、メーカーのHPなどで「石油を原料とした合成成分、合成防腐剤や合成着色料などを使っていないか」「植物由来の原料のうち何%が有機栽培か」「遺伝子組み換え成分を使用していないか」「動物実験を行っていないか」などを確認して、購入する前にちょっと吟味してみてください。とはいえ、全成分チェックでその真偽を見極められればいいですが、カタカナや英数字で書かれた成分名は、チンプンカンプンという人も多いはず。それならば、前述の海外オーガニックコスメ認証を受けたアイテムを選ぶことをオススメします。
人と、自然と、動物もにやさしいコンセプトで、農薬や化学肥料に頼らず、自然の摂理に沿って丁寧に作られるプロセス、そして太陽・水・土地・大気といった自然との調和も大切に……それが本来あるべきオーガニックコスメの在り方。純粋な自然の恵みを豊かに享受するために、これからは本物の自然派コスメを日常に取り入れてみてください。