最近ドラマや漫画などに取り上げられる機会が増え、ぐっと身近な問題となっている「セックスレス」問題。マキアオンラインで特定のパートナーを持つ120名を対象にアンケートをとったところ、およそ7割もの人が悩んでいることが判明! ひとりでは解決できないセックスレスについてのお悩みを、産婦人科医・高橋怜奈先生に伺いました。
セックスレスとは、特定のパートナーとの間で1ヶ月以上性生活がない状態のこと。実はこのセックスレス、男女の共働き化や現代社会のストレス増加により年々増えているのだそう。セックスレスを題材にしたドラマや漫画が話題を集めるようになり、SNS上で悩みをシェアしやすい時代にはなったけれど、やはりまだまだ誰にも相談できず、自分の中にとどめてしまいがち。マキアオンライン調べでは、特定のパートナーがいる人120名にアンケートをとったところ、約7割の人が「過去に悩んでいた」「今まさに悩んでいる」という回答が。
MAQUIA調べでは3人に一人がセックスレスに悩んだ経験があると回答
アンケートに協力してくれた20代後半〜40代の女性120人のうち、約8割近くの人が「セックスレスに悩んでいる」「過去にセックスレスに悩んだことがある」と答えた。その期間や悩みの深さは人それぞれだが、「10年以上セックスレスが続いている」「離婚を考えたこともある」という人も少なくなかった。
「子供が欲しいけどそもそもセックスができません、など、セックスレスについての相談は結構多いです。セックスレスの原因は、女性側の性交痛、家事育児や仕事によるストレス、ホルモンバランスの乱れなどさまざま。改善したいなら、その原因を知って対処法を探ることが大切です」(高橋先生)
セックスができない理由の1位は「タイミングがあわない」
「お互いしたいのに、子供がいたり仕事が忙しかったりでなかなかできない」「お互いがしたい! と思えるタイミングが減った」など、タイミングが合わないという理由が1位に。2位は「相手のことは愛しているけど、性欲が湧かなくなってきた」「キスやハグだけで満足なので、その先はもういいかな」と、そもそも性欲がなくなったという回答が。そのほかにも、「産後子供中心の生活になり、夫も男というよりパパという立ち位置に」「パートナーの愛情が感じられず、セックスに応えられなくなった」「いつからか濡れにくくなり、セックスするたび痛みを感じるように」など、さまざまな回答が。
お話を伺ったのは
産婦人科医
髙橋怜奈先生
渋谷文化村通りレディスクリニック院長。東邦大学医療センター大橋病院、月経困難症専門外来担当医師。ベリーダンサー、元プロボクサー。婦人科検診の様子や女性の体について詳しく語るYouTubeチャンネルが人気。
一般的にセックスレスとはどういう状態?
特に多かったお悩みに対して、専門のドクターが女性のメカニズムに基づいて説明してくれた。「セックスレスとは、病気など特別な事情がないのに、1か月以上特定のパートナーとの性交渉がない状態を指します。付き合いが長いカップルや子供のいる夫婦などを中心に増えている悩みではありますが、その状況に不満や違和感がないのであれば、特に問題視する必要はありません。どちらかが不満を持ち、ストレスに感じているのであれば何かしらの対策が必要になってきます」(高橋先生)
お悩み1:私はしたいのに彼は「NO」、男女の性欲のギャップはどう埋める?
「勇気を出して誘っても、『疲れているから』と断られ続けています。昔は疲れていても求めてくれたのに、私に女としての魅力がなくなったのでしょうか?」(30歳・会社員)
「オーガズムだけならマスターベーションでも得られますが、心のつながりを確認するためにも、セックスはとても大切な愛情表現。その回数が減ると、自信がなくなってしまうのは当然だと思います。ただ、男女ともにオーバーワーク傾向にある現代社会では、夫婦の時間が満足に取れないのが現実。あまりに疲れていると、男性もなかなかセックスをする肉体的、精神的余裕がなくなってしまいます。また、女性と同様に男性にも更年期があり、それにより性欲が低下してしまう場合も。ホルモン補充などで解決できるケースもあるので、まずは『なぜしたいのか』『なぜしたくないのか』を話し合ってみて。したくないという結果だけでなく、なぜしたくないのかを理解すれば、できなかったときの精神的ダメージが軽くなるはず」(高橋先生)
お悩み2:長年連れ添ったパートナーを性的に見れません
「以前はときめいていたはずなのに、夫はもはや家族。好きではあるけどセックスしたいと思えなくなりました。誘われても断ってばかりで、いつか浮気されるのでは…と、不安に」(26歳・会社員)
「動物学的にも、一緒にいる時間が長くなるほど恋愛感情が低下するということがわかっています。出会った頃の気持ちを永遠に持ち続けることは難しいので、旅行に行ってみたりラブグッズを使ってみたり、ちょっとした変化を取り入れてみては? 女性は妊娠をきっかけにホルモンバランスが変わり、性欲が低下することもあるので、そういう時はハグしたり二人で食事をする時間を決めるなど、セックス以外のコミュニケーションを取ることもおすすめです」(高橋先生)
お悩み3:彼の持久力がない、マンネリしてつまらない
「セックスしても彼が早々に果ててしまいオーガズムまで辿り着かない…。毎回正常位しかできないのもフラストレーションに。ちょっとでも持久力をつける方法はある?」(30歳・パート)
「早漏とは、お互いが満足しないうちに男性がオーガズムに達してしまうこと。ペニスへの刺激に弱いのであれば、泌尿器科に相談をしてみるのもいいと思います。また、早漏とは別にオーガズムを経験したことがない女性も多いので、そういう人はまず自分自身でどこが気持ちいいのか、実際に触りながら探ってみてほしいです。オーガズムは一度経験するとそれ以降も感じやすくなりますし、気持ちいい場所を相手に伝えることでお互いに気持ちのいいセックスをできるようになりますよ。産後の膣の緩みが気になる人は、骨盤底筋体操や膣ハイフなどの美容医療を検討するのもひとつの手です」(高橋先生)
お悩み4:出産後は相手を受け付けなくなる?
「パートナーのことは愛してるのですが、出産以来性欲がどこかへ行ってしまいました。そろそろ2人目が欲しいと考えていますが、性欲が湧かず2年もしていないのに本当に授かれるのでしょうか…?」(会社員・26歳)
「妊娠、出産は女性のホルモンバランスが大きく変わるタイミング。それにより性欲が低下するのは全く不思議なことではありません。これは一過性のものなので、授乳が終われば妊娠前の状態に徐々に戻るはずなのですが、それはあくまでホルモンの話。人の心は複雑なので、この授乳期にどれだけパートナーとの関係を良好に保てているかどうかでその後セックスをしたくなるかしたくならないかが大きく変わると思います。女性は妊娠と同時に母性が芽生え、自然に子供優先の生活に変化していきますが、男性が父性を備えるのは、人によっては出産後しばらくしてから。もちろん個人差はありますが、このギャップからパートナーに不満を抱くようになり、スキンシップが減ってしまうというカップルが多いです。妊娠を希望しているのであれば、なぜセックスをしたくないのかを相手に伝え、関係性を見直す必要があるかも」(高橋先生)
お悩み5:したいけどできない…加齢に伴う「性交痛」が辛い
「加齢のせいなのか、しばらくしていなかったせいなのか、挿入が痛くてセックスどころではありません。以前に比べて濡れにくくなった気も…」(40歳・保育士)
「濡れにくいのであれば、ジェルなどの潤滑剤を使って挿入時の摩擦を緩和するとこもできますが、40代後半になると更年期に向けてホルモンが低下して萎縮性膣炎を起こしたり、子宮内膜症による癒着や子宮筋腫による圧迫感で痛みを感じることがあります。処女膜が硬くて伸びない処女膜強靭症の可能性もあり、それぞれ対処法は異なるので、痛みを感じるのであればまず婦人科に相談を」(高橋先生)