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子どもの失敗は大きな成長になる。手を差し伸べずに見守るために必要なのは“信じ続けること”

「子どもに失敗をさせることは大切なこと」それがわかっていても、失敗するとわかっていて、それを黙って見守るのはなかなか難しいものです。今日は、うちの娘が通うスクールのスタッフ(先生とは言わないのです)がしてくれる見守りについてお話します。

頭が真っ白になっても、その子の立ち上がりを待つ

舞台の上で、当時小学2年生だった娘の動きが、ぴたりと止まった。

この日はプレゼンテーションの日。数ヶ月かけて学んできたことを、生徒や保護者に向けて発表をする。

1年生の頃から、もう何回もプレゼンの場には立っている。娘が通うスクールでは全生徒が1年の頃から、年に数回のプレゼンテーションを行うのだ。

娘はこのプレゼンが大好きだった。
緊張はするけど、何日も前からスクールでも家でも何度も練習をして本番に望む。

準備は万端のはずだった。1年生のときでさえ、止まってしまったことはなかったのだから。

だけどいま、娘はひと言もしゃべれずに呆然と前を向いて立ちすくんでいる。

30秒が、5分にも10分にも感じられる時間。

見学している生徒も、保護者も、スタッフも、誰もなんの声もかけません。
舞台からは、みんなの安心させるような笑顔だけが見えるはず。

この場にいる全員が思っているのはひとつ。

「さあ、レジリエンスを発揮しようぜ!」

失敗はレジリエンスを発揮するチャンス!

娘が通っているスクールは、いわゆる公立小学校とは少し違っています。
「与えられた知識を覚えるのではなく、発見を楽しみ、調査し、もやもやがあれば自分で考え、人とコミュニケーションしながら探求していく」
ひとクラスたった9人からなる小さなスクールです。

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こうした理念のもと、スクールでは大人でもびっくりするようなイベントやカリキュラムが年間通して目白押しです。
娘が頭を真っ白にしてしまったプレゼンテーションもその中のひとつ。

このスクールの教育理念はカリキュラムだけに反映されているわけではありません。
スクールが何よりも大切にしている9つのスピリットがあります。
その中のひとつが「レジリエンス」。

レジリエンスとは「回復力」や「しなやかさ」と訳されます。困難が迫ったときに、そこから立ち直る力。粘り強く、再び挑戦する力を指します。

大人だってそうですが。
失敗をしてしまったとき、そこから立ち直るのにはどうしても、時間がかかります。

失敗している子どもたちの姿を見ると、ぼくはいつも「バネ」を思い浮かべます。
倒れ込んで、しゃがみこんでしまっているとき。
それは、バネがググっと力を蓄えている状態。そのときに、大人がぬるっとバネを伸ばしてしまったら。子どもは蓄えた力で跳ね上がることができません。

立ち上がるまでにかかる時間は、数分かもしれないし、数日かもしれません。もしかすると数年かかることだってあるかもしれない。
バネが壊れてしまわないように、手を差し伸べる必要はあるかもしれませんが、しっかり自分の力で跳ね上がるのを見守ることが必要なのだと思います。

さあ、レジリエンスを発揮しようぜ!

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舞台上で娘が立ちすくんで数分が過ぎた。この間、スタッフの誰も娘を舞台から下ろそうともしなかったし、ほとんど声をかけることもなかった。
ただ、彼女が立ち上がるのを待ち続けていた。
じつはこの光景。スクールではよく見かける光景だ。その子の様子を観察しながら、長いときは本当に5分以上も待ち続ける。

何も起こらないまま時間がすぎる。
次の出番を待っていた舞台上の同級生が、心配そうに寄ってきて小さく声をかけたり、肩を叩いたりしている。

大人が声をかけなくても、こうして子どもたち同士で助け合おうとすることができる。
この立ちすくんでいる時間は、娘がレジリエンスを発揮するチャンスなだけではない。周りの子どもたちにとってもオーナーシップを発揮するチャンスでもあるのだ。

数分がんばった。だけど、娘は呆然としたまま、舞台を降りることになった。

そして、次に発表する子が出てきて、プレゼンは再開された。

その間に、娘が何を考えていたのかはわからない。スタッフが声をかけてくれたのかどうかも、わからない。
だけど、最後の子の発表が終わったあと、娘はもう一度舞台上に現れた。

「さっきは失敗しちゃったけど」
と言いながら、今度はいつも通りに元気よくプレゼンを終えた。

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