今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
だんだんうねりになっていく
今週のかに座は、人生の後先についてぐーっと思い巡らせていくような星回り。
『桃食ひしあと吹く風に身をまかす』(村越化石)という句のごとし。作者は10代でハンセン病にかかり、中年を過ぎてから全盲になるも俳句に終生打ち込み、「魂の俳人」とも呼ばれた人。
掲句は80代後半の最晩年に詠まれたものですが、不思議なくらい衰えを感じさせません。風に吹かれながら桃のゆたかな水気で潤いを取り戻したわが身の快さに、しばし目を瞑って陶然となっている。
あなたもまた、自分がいなくなった後の景色をふっと思い描いてみるべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
コント:ムーミン一家
今週のしし座は、「家族」というものの在りようや形をめぐって、ありきたりな固定観念から脱していこうとするような星回り。
フィンランドの作家・画家トーベ・ヤンソンによる『ムーミン』シリーズ。ムーミン一家は家族の形がその時々で流動的なのですが、そうして住人が増えたり減ったりすることについて、なぜどうしてなどといちいち説明もありません。
それは言い換えれば、固い絆で結ばれた安定的な関係の“ふり”をしていないどころか、不安定な大人の姿や関係の移ろいやすさがそのまま示されていた訳です。
あなたもまた、「父だ」「母だ」「子どもなのだから」などと定形的な役割に自分や相手を固定しようとするのではなく、もっと流動的な仕方で身近な人間関係を捉え直してみるといいかも知れません。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ちょっとの塩梅
今週のおとめ座は、頭では解き明かすことのできないちょっとした神秘が、身の内からこぼれ出してくるような星回り。
『兎にも亀にも内緒冷し瓜』(星野麥丘人)という句のごとし。なぜ他でもなく「兎」と「亀」なのかもよく分からないが、こう表現されてしまうと、本当にそういう情景が展開されているように思えてくるから不思議です。
俳句というのは、決して出てこないようなちょっとした発見だったり、ちょっとしたわけのわかんなさにこそ、俳句の本質としての俳諧味が宿るものなのかも知れません。
あなたもまた、自分なりに「ちょっと」の塩梅をつかみ直していくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自分の情動くらいは
今週のてんびん座は、他者の模倣ではなく、自分が欲しているところのものに従っていこうとするような星回り。
90年代初頭に発表された社会学者・上野千鶴子の「恋愛病の時代」では、「恋愛病は近代人の病いだ」と記述されています。
一昔前には当たり前とされた「経済的に自立できない女」と「生活的に自立できない男」の相補的な「結婚」の無理や不自然がますます加速化し、崩れつつある今、私たちは再びただの「個人」として、「恋愛したい(愛されたい)」と深く渇いているだけなのでしょうか。
あなたもまた、自分は渇いているだけなのか、それとも何かを欲しているのか、改めて自問してみるといいかも知れません。