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[TVで話題]ゲームもスマホも無制限!ロボット博士の「育児で大切なたった2つのこと」

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数々の逆境を乗り越え、ロボット博士として活躍する古田貴之さん。研究のかたわら、育児に没頭したという古田さんは、お子さんに「親の言うことは聞くな」「スマホもゲームもとことんやっていい」と言っていたそう。異色の子育てをした理由は? 古田さんにこれからの時代を生きる子どもたちを育てるヒントをお聞きします。

子どもの『人生を選択する力』ってどう育むの?プロがやってる3つの方法

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古田貴之さん (ふるた・たかゆき)

1968年、東京生まれ。博士(工学)。千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長。「激レアさんを連れてきた。」「徹子の部屋」「ビートたけしのTVタックル」「サンデージャポン」など数々のTV番組に出演する、今、話題のロボット研究者。AIロボットバイク「CanguRo」は世界で最も影響力のある賞「A’ Design Award」でゴールドの上の最高賞プラチナを獲得。福島原発では冷温停止ミッションなど数々の成果を達成したロボットを開発し、すべて無償貸与してきた。一方で、パナソニックロボット掃除機RULOを開発するなど、その発明・開発は多岐にわたる。「天才」と評されつつも190㎝の長身で独特の雰囲気を醸し出す。本人曰く「本業はパパ」。

育児で大切にしている 「たった二つ」のこと

──2人の娘さんは現在、高校生と大学生になりました。

娘たちに、これだけは知っておいてほしいと話したことは二つだけです。一つ目は「嫌いなことは、とっととやめろ」ということ。僕のまわりにはジャンルを問わず世界で活躍している人がたくさんいますが、彼らは皆、好きだからこそ道を究めています。嫌いなことで一流になった人はまず見かけません。娘には「嫌いなことはそこそこでいい。好きなことをがんばれ」と言いました。もう一つは「自分で決める」ということです。子どもはよく親に「これやってもいい?」と聞きますよね。でも、いちいち親の顔色をうかがっていると「ママがいいって言ったから」が物事の判断基準になってしまいます。子どもには、「善悪の判断は自分でしよう」と話しています。

「将来のために勉強を頑張ろう」「周囲に迷惑をかけないようにしよう」。こういった言葉は一見子どものために言っているようですが、我が子が何かやらかしたとき、親の責任になるのは極力避けたい、という気持ちが透けて見えます。ただ、親の期待どおりにいったとしても、その子が死ぬ瞬間まで見届けるのはほぼ不可能でしょう。親の育て方が正しいかどうかは最後までわからない。僕は娘たちに「パパとママの言うことは、絶対聞くな」と言いました。たまたま僕と娘が同じ考えならばかまわないけれど、親の意見に従う必要はない。型にはめて、親の意のままの子育てをする気はないのです。「君たちが死ぬまでそばにいることはできないから、僕がいなくても自分で物事を決められるようにしようね」ということを話しました。

ゲームもとことんやらせた

──娘さんたちが幼いころはどんな子育てをしていましたか?

娘は幼いころからポケモンが大好きで、僕も一緒になってゲームをたくさんやりました。妻は子どもにゲームをやらせたくなかったから「あれは、小学生にならないとできないのよ」なんて言ってごまかしていたんですよね。でも、保育園児だった娘はそんなのウソだと気づいてしまって、おじいちゃんにねだってゲーム機をこっそり買ってもらったんです。ウチの妻は、もうカンカンで、ゲーム機をバキッと二つに折る勢いでした。娘に、「悲しいな。でも大丈夫。アキバのヨドバシカメラはまだ開いている時間だ。壊されたらまた買いに行くぞ!」なんて話したら妻がまた怒り出して……。

──なんだか夫婦関係が気がかりなんですが……。

妻は常識人で僕と正反対の性格なので「何でパパは、ママと結婚したの?」と娘によく言われます。二人の娘を溺愛している僕からしたら、家事や育児を男女どちらがするかでもめるなんて信じられなくて、できることなら全部やりたかったんです。三度の食事を作るのも、寝かしつけをするのも、授乳以外はできることをなんだってやってきました。子どもが小さいころは、泣きわめかれたり、どうしようにも言うことを聞いてくれなかったりすることも多く、さすがに僕も睡眠不足で疲れていると、限界を感じイラッとすることもありました。

でも僕は娘たちのことが大好きですから、そんなときは「おまえの娘に対する愛情は、そんなもんか?」って自分に問いかけていたんです。そして、泣いている娘をぎゅっと抱きしめました。子どもは親に理不尽に怒られたというような経験を、大人になってからもふとした瞬間に思い出すことがあります。育児をするうえでは、そういう心の傷を不用意に作らないことが重要だと思ってやってきました。

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「CanguRo」パートナーロボットとして人をアシストし、移動時には乗り物に自動変形する馬のような存在

「子どもを理系にしたい」 その期待が可能性を狭める

──ゲームや動画を長時間見せるのは抵抗がある。できるならやらないでほしいと思う親も多いです。

なぜ、僕が妻の反感を買っても、「ゲームをとことんやれ」と言うのか。それは、人は好きなことからしか学べないと思うからです。理系科目を嫌いになる人が多い理由をひと言でいうとつまんないからですよね。英語ができれば外国人と話せる。歴史を知れば、京都・奈良に行くのが楽しくなる。でも、数学や物理、化学を使って楽しいことってありますか? なかなか思いつかないんですよね。「どうしたら子どもが理系科目に興味をもちますか?」「理系好きにするには、どうしたらいいですか?」とよく聞かれます。でもそうやって聞いてくる人ほど理系が好きじゃないケースが多いのです。

──ギクッとしますね(笑)。自分自身も理数系が苦手だったから、子どもには苦労してほしくないと思ってしまうようなところがあって……。

だったら、「好きな道に進むためには、どうしたらいいんだろう?」でいいんじゃないですか? たまたま好きな分野が理系だったら、それでいい。理系と文系という区分けは僕の中にないんです。僕は今でこそロボット研究をしていますが、元々は文学も芸術も大好きなド文系で、理系に進むと決めたときには驚かれました。親としては、ジャンルを問わず子どもに色々な世界を見せてあげるのが一番だと思います。娘は、ポケモン数百匹が載った図鑑をボロボロになるまで読み込んでいました。そのせいか、小学校に上がって以降、理科がすごく得意になって百科事典を読むのも大好きになりました。

ポケモンの戦略を考えるには計算も必要だし、図鑑を読むと習っていない漢字も覚えてしまう。学校では調べて書く課題も大好きで、壁新聞やレポートを張り切って作っていました。そんな娘の様子を見ていて思うのはやっぱり人は、「好きなこと」からしか学べないということです。親の価値観で「あれは遊びだからダメ。これなら勉強になるからいい」「本を読むならこういうものを選んでほしい」とより分けるのは子どもの可能性を捨てているのと同じことだと思います。一度、子どもの好きなことを一緒になってとことんやってみたほうがいいですよ。

理系好きにしたいという親は多いけれど、わざわざ理系嫌いにさせているケースも多いのです。多くの子どもは科学実験や工作が大好きです。幼いころはそういった機会も多いのですが、高学年になるにつれて「それよりも学校の勉強をしなさい」と言ってやめさせてしまうことがよくあるんですよね。僕は、いつも言っているのは、「やれと言われて勉強して100点を取るより、自分の力で取った50点のほうが価値がある」ということです。自分で勉強の仕方を考えて、自分でその面白さを見つける。そうやって好きなことを自ら学ぶことでしか勉強は身につかないですよ。僕自身の経験からいっても、好きなことこそが自分の将来を開くというのが実感です。

成績トップになったら未来は安泰か?

──とはいえ、学校の成績や進路が気になるというのが多くの親の本音ですよね。

単なる勉強マシーンにすることならできるんですよ。我慢と忍耐で反復学習と暗記をさせれば成績を上げることはそこまで難しくありません。ただ、みなさんに言いたいです。そうやって詰め込み学習した先に未来があるかどうか。ただのルーティンワークの作業を積み重ねて何になるか。長女は、社会科の授業で「全国の名産品を覚えましょう」と言われてもなかなか興味をもてなかったけれど、僕が休みのたびに電車に乗せて連れて行った各地で食べた名物のことは忘れませんでした。人は「面白い。興味がある」と思えることでないと学べないんです。

僕のいるロボット研究の世界でも、学校の勉強でダントツNo.1だった人は、それほど研究成果があがらないというジンクスがあります。試験に出る範囲しか得意でない人は研究の世界ではなかなか芽が出ません。ChatGPTみたいなのが続々と出てきたら、ただデータをくみ上げてまとめる作業は、人がやる必要がなくなってあっという間にオワコンになってしまいますよ。これからの時代に必要なのは、その人が本当に好きなものを見つけて、突き詰めていく能力です。そういう試行錯誤の中で理系が大好きになる子どもがいたらうれしいですし、様々な世界を見せてあげることが子どもの好奇心や可能性を紡ぐきっかけになると思います。

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