1. パパもママも思い込みを捨てる
イレギュラーがママに偏るのは、「ママならなんとかしてくれる」とパパが思い込んでいるからじゃないでしょうか? 「生まれたての子どもが怖くて抱けない」という友人がいましたが、それはやっていないだけで、知らないことに対する恐怖があるだけです。パパでもママでもできる体制を2人で作っていくために、まずはお互いの「思い込み」を捨てることが大事だと思います。妻が地方の仕事で出張時、生後1カ月の娘と2人きりの夜を過ごしました。冷凍母乳を活用しながらの夜間授乳。
不安でしたが、やってしまえば、自分でもなんとかできてしまうことに気づいたのです。
パパが「ママじゃなきゃ」と思い込んでしまう理由は、きっとママの方が沢山の〝はじめて〟を乗り越えてきているから
。2人の子どもなのに、どちらかに偏って片方が追いつめられる。それはおかしいですよね。ママもパパを信じて、時には強引に任せる。任されたパパもやってみる。これに尽きると思います。
2. ママだけが知っている情報をなくす
学校や保育園からの連絡は、基本的にメールやネット経由ですが、2人で受け取れるように設定しています。
片方しか受け取らない情報があると、その気がなくても関心が薄れ、そこに紐づくタスクを片方が抱え込んでしまいます
。また、給食で何を食べたか、保護者会の日程、来週から水筒が必要、ということもすべて共有しています。一見面倒にも思えますが、共通認識があれば効率よく動けることも多くあります。
娘の発熱時などのイレギュラー対応は、物理的に動ける僕が担当することが多く、緊急連絡先の設定も一番は僕です。ただ、この順序もただの順番であって「その時動ける方が行く」というスタンスを取っています。病院に行った後も、医師からの説明内容、朝昼晩と飲ませる薬の種類、次の診察の目安など、僕だけが得た情報も妻に伝えることで、お互いが変わりなく対応できる体制を整えています。これって家族の運営としてとても大切で、健全なことだと思うのです。
3. 出来事も気持ちも シェアする時間を持つ
スケジュールや仕事の話を夫婦で共有しておくのはもちろんですが、その時大変だったことや自分の気持ちも話すようにしています。例えば、眼科で「結膜炎の目薬をさしてもらったよ」だけでは、処置内容しか伝わらないけれど、「目に迫ってくるのが怖かったのか、泣きわめいて暴れて大変だったよ。終わった後は2人とも汗だくでどっと疲れた」というように。
気持ちも伝えることで、逆の立場になった時の想像力を持ってもらうことができます
。全体を見ると、タスクは自分の方が多いかもしれませんが、「相手のやっていることを本当の意味で理解しているパートナーがいる」。
この信頼はとても大きく、お互いを思いやることに繫がっています。現に妻から「今日の夜は出かけてきたら?」等の声かけもよくあり、リフレッシュしながら家事育児に向き合えています。1人で過ごす時間をきちんと取ることで、娘との時間もより楽しめているような気がします。僕らは昔からお互いのことを話す習慣があって、それは今も同じで変わりません。娘が登校した後、いろんなことを2人で話す朝の時間をとても大切にしています。娘のこと、仕事のこと、なんてことない話…出来事も気持ちもシェアしています。
my family’s episode我が家はこうしています! モヤモヤ軽減策1
子どもの用事は夫婦の得意・ 不得意であらかじめ分担!
私、夫、子どもの予定を色分けし、Googleカレンダーに入力しています。それぞれの予定は各々で入れておき、子どもの予定は特に認識しやすいよう、ジャンル別に色使いを工夫。例えば、習い事の対応は夫が担当など、お互いの得意・不得意や可能・不可能でタスクを分けることで、少しでもストレスを減らす工夫をしています。
(会社員34歳・2歳男の子、1歳女の子ママ)
夫に子どもの予定を把握してもらいたくて、色分けを始めたことがきっかけでした。こんなに予定があるんだ!と状況が伝わったのはもちろん家族全員の予定を入れることで抜けモレが減りました。お互いの自由時間の確保にも繋がっています!
名もなき家事の分担は“大ざっぱ”がポイント!
【Part.2】「オムツもうないよ」「トイレの紙切れてたよ」
他人事みたいに言わないで消耗品のストック管理、
ママじゃなきゃダメですか?
子どもをお風呂に入れながら「あ、シャンプーなくなりそう」、片づけをしながら「リモコンの電池どこにしまったっけ?」。ふと気づくと私は我が家のストック大臣になっていた…。
◉profile
立命館大学産業社会学部教授 筒井淳也さん
1970年生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。主な研究分野は家族社会学、計量社会学。著書に『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(光文社新書)など。
❝〝名もなき家事〟に気づいて
もらうには、大ざっぱに
任せてみることも必要❞
1. 家事の一部じゃなく 全部を任せてみる
名もなき家事を他人事と思ってしまう理由に、パパが無関心でも、家庭が快適に回っているという現状があると思います。それは何かをパパにお願いする時に、「洗濯を取り込んでおいて」等と具体的な指示を与えてしまいがちだから。それがお膳立てになってしまい、周りの庶務(例えば、服に合わせてハンガーを使い分ける、切れた柔軟剤の補充)に気がつかない要因になるのです。ママはきっと、よかれと思って具体的に説明をして、部分的に家事を切り分けてお願いをしているかと思います。でもそれが後々「なんで気づかないの?」というママのストレスになってしまうのだと思います。
パパは気づかないのではなく、「気づけない」んです。