今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
密かなる訓練
今週のさそり座は、改めて心の動きを支えるインナーマッスルを引き締め直していこうとするような星回り。
入院などして急に筋肉を使わなくなると、短期間でどんどん落ちて、しまいには歩けなくなるほどに弱ってしまうように、心というのも油断して放っておくと、一気に萎んだり枯渇してしまうもの。
これはある種の極論でありますが、能楽師の安田登は『身体感覚で「論語」を読みなおす―古代中国の文字から―』で、「男時(おどき)、女時(めどき)」という世阿弥の言葉を引いて、運には「自分の方に運が向いているとき(男時)」だけでなく、「何となくいろいろなことが裏目裏目に出るとき(女時)」もあって、後者のときに心をいかに上手く使っていけるかが大事なのだと言っています。
あなたもまた、「女時」にある時にこそ、無心のまま過ごすのではなく、適度な心のエクササイズを心がけていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
月と人類史
今週のいて座は、できるだけ大きな流れのなかにみずからを置いていこうとするような星回り。
『人間であること久し月見草』(和田悟朗)という句のごとし。
月の光は太陽の反射光ですから、色としては黄色が中心であり、人の目には暗い場所で黄色が目立つように出来ている。作者はそうしたはるかな人類史のながれを、心に残った月見草の佇まいから一気に構想していったのだと思います。
あなたもまた、自分が生まれたり参加するようになるうんと前の歴史からの流れをたどり直してみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ひょっこりはん
今週のやぎ座は、自分が心の底で信じている当のものについての本音が誰かどこかに漏れだしていくような星回り。
泉鏡花といえば代表作『高野聖』のように、日常と地続きにありながら、非日常的な存在がひょっこり姿を見せたかと思えばたちまち消えていく怪異ものの書き手というイメージがありますが、その本質に迫っている「たそがれの味」という短い随筆があります。
例えば、人間の生きざまにしても、それが悪から善に入る刹那であったりその逆であったりするような、白黒つけられない「一種微妙な世界」に入っていったところに、なにか得体の知れない美しいものが在るのではないか。そんな風に鏡花は考えていたのではないでしょうか。
あなたもまた、そういう普段は人に言えないような勘所について思いがけず誰かどこかに語っていくことになるかも知れません。