Q 「管理職になりたくない」とより強く思うようになった理由は?
「家庭を大事にしたい気持ちが強くなったから」(経理事務・33歳)
「上司の働き方が異常すぎる。今より大幅に忙しくなるわりに給料が見合っていないと思う」(IT・29歳)
「これ以上、精神的ストレスを増やしたくない」(看護師・37歳)
「職種的に新規事業が多いので、現場の仕事をしながら中間管理職としての動きを求められることになり、プライベートとの調整が難しそう」(SNSマーケティング・39歳)
多くの人が挙げていたのは、結婚や出産を経てワークライフバランスを重視するようになったことによる意識の変化。次に多かったのが、身近な管理職の働き方を見て「あんなに働きたくないと感じた」という拒否反応。「管理職に興味がある」派よりも、プライベートやメンタルヘルスを重視する傾向が。
Q 「管理職になりたい」とより強く思うようになった理由は?
「チームの方針を決めることに関われるし、自分の職域の地位向上を目指せる」(医療・40歳)
「同じ仕事をしているなら、給料が上がるほうがいい」(建設・36歳)
「会社員たる者、管理職を目指すのが当然という考えを持っているから」(金融・37歳)
「違う視点で部署を見てみたいから」(メーカー・39歳)
「実際に働いて仕事をますます好きになり、成長したい!」と感じている“キャリアアップ”派と、「たくさん稼ぎたい」といった“収入重視”派で意見が二分。「なんとなく」で回答している人はおらず、自分の適性や将来像を意識して冷静に判断している人がほとんど。
Q 管理職になるかどうか、という問題に関して不安に思っていることは?
「現在33歳でまだ子どもがいません。これから出産、育児を考える上で、業務負担も増えるであろう管理職を目指すべきなのか……タイミングも含めて悩んでいます」(人材・33歳)
「キャリアと家庭とのバランス。管理職になれば仕事の責任も増え、家庭を優先できるとは限らない。職場の人に迷惑をかけないか心配」(コンサル・31歳)
「女性管理職を対外的にアピールしたいがために、管理職を希望しない=チャレンジ精神がない、と考える男性役員・管理職が多すぎる。管理職を希望しなくても、やる気がある人はたくさんいることをわかってもらいたい」(卸売・33歳)
「会社は女性の管理職を増やす取り組みをしているけれど、出産後に復職するだけでも精一杯なのに、それでも管理職を目指さないといけないのかと思うと憂鬱です……」(メーカー・33歳)
管理職になることに対するいちばんの不安は、やはり育児と仕事の両立。「昇進を断るのは気が引けるけど、管理職業務をこなせる自信もない」という迷いが、多くの読者の悩みに共通していた。また、なかなか改善されない管理職のジェンダーギャップを指摘する声も。
2. 管理職を選んだ? 選ばなかった?40代の先輩にインタビュー
業務内容も仕事に求めるやりがいも持って生まれた個性も様々な3人。彼女たちの経験談から見えてくる、自分らしいキャリアの築き方のヒントとは?
【管理職を選んだ先輩】資生堂ジャパン株式会社・越間美布さん
ブランドを守る責任とプレッシャーに直面
美白美容液市場でNo.1の売り上げを誇る「HAKU」のブランドマネージャーとして、4年前に管理職のキャリアをスタートさせた越間さん。もともとマネージャーを目指していたわけではまったくなかったそう。
「どちらかというと全力で日々の業務に取り組んでいたことを評価され、引き上げてもらえたという感覚です。当時はマネージャーになるための試験があったのですが、テストとなると合格したくなる性分で(笑)。もちろん先輩方が育ててきたブランドを汚してはいけない、成長させなければならないという不安やプレッシャーもありました」
今年からさらに役職が上がり、マーケティング部門のバイスプレジデントに就任。3つのエイジングケアブランドを統括し、35人のメンバーをまとめている。大きな責任を背負うポストを任されながらも、「おかげさまで楽しめています」と笑う裏には、彼女が築いた独自のマネジメントスタイルがあった。
「リーダーにも色々な個性があっていいと思うんです。私の場合は『ついてこい!』と強いリーダーシップを発揮するタイプではなく、自分の得意なこと、苦手なこと、個人的な想いもすべてメンバーに吐露した上で方向性を伝えていくスタイル。困り事があったらレイヤー関係なくチャットにSOSを出して相談しています。自分からメンバーに門戸を開くことで『この人には話しやすいな』と思ってもらい、気軽に相談しやすい環境づくりを心がけています」
「自分らしいマネジメントスタイルを見つけ管理職の楽しさややりがいを知りました」
過去の失敗から学んだ管理職としての覚悟
強みは人の想いに寄り添えること。ただし、相手の心情をくみ取りすぎるあまり、過去にはそこが弱点になってしまったこともあるという。
「私が持つべき判断基準はブランドの価値を最大化できるかどうか。関わるすべての人が納得する判断ができればいいのですが、場合によっては困難な道を選択しなければならない場面も生じます。打ち合わせをする中で心が揺れてしまい、他部門の意見に寄りすぎた判断をしてしまったことがあったんです。あとから『それはブランドの価値を守る判断ではない』と指摘され、いたく反省しました。立場上、厳しい判断をしなければいけないことがあるときは相手にリスペクトを示しつつ、個人的な心情は“幽体離脱”のように切り離してお伝えするようにしています」
9歳の娘さんを育てる母親でもある越間さん。社員の80%以上を女性が占める資生堂グループでは、子育て中でも働きやすい環境が整っている。
「コアタイムのないスーパーフレックス制なので、個人の事情に合ったフレキシブルな働き方ができます。子どもの送り迎えや通院などの予定も共有し合い、いつでも確認できるようにしているので、『この人にはこの時間に相談しよう』と互いに調整できるのはありがたいですね。保育園が休園したコロナ禍には、娘と一緒にリモートワークに参加したことも。個人的には、親が一生懸命働く姿を子どもに見せるのはいいことだと思っています。おかげで娘は自分も大人のチームの一員だと思って私の仕事を応援してくれています」
仕事も家庭も総力戦。強みや弱みを隠さず開示し合える関係性をつくることで、強力なワンチームを形成している。
「総力戦で戦えば苦手な部分をみんなが補完してくれますし、チームとしてできることが増えていく。自分だけでなくメンバーの成長を感じられることもやりがいになります。管理職は、ビジョンさえ明確に示すことができれば効率的に働けますし、必ずしもハードワークになるわけではありません。むしろ、日々視座が上がってやりたいことの幅が広がっていく感覚があります。目指していたわけではなかったけれど、結果的には管理職になってよかったと思っています」
「肌も人生も前向きにできる商品に関われて幸せ!」