JR金沢駅から車で約20分、ベイエリア・大野に2024年6月、「金沢天晴 山藤濁酒研究所(かなざわあっぱれ やまとどぶろくけんきゅうじょ)」がオープンしました。「発酵酒場」をコンセプトに掲げ、濁り酒の「どぶろく」と発酵食品の「糀」を使ったカジュアルメニューが楽しめるグルメスポットとして話題を集めています。早速、行ってみました!
気持ちも晴れやかになる開放的な水辺スポット
「金沢天晴 山藤濁酒研究所」は、味噌や醤油を製造する「ヤマト醤油味噌」の工場敷地内のヤマト・糀パークの中にあります。大野は400年以上前の江戸時代から醸造文化が盛んな土地で、現在も古い蔵が点在。明治44年(1911)創業のヤマト醤油味噌は真っすぐに伸びる大きな煙突が目印です。
店に入るとまず目に入るのが「醸造室」のしつらえです。現在は準備中ですが、いずれ、この場所でどぶろくの醸造を予定しているとのこと。どぶろくは、コメを原料に「麹発酵」させて造るお酒です。一般的に「発酵」とは、麹菌(カビ類)、酵母、乳酸菌(細菌類)の微生物の働きによって味わいや栄養成分が変化しますが、店によるとその三種類の微生物すべてが入っている発酵食品は世界的にも「醤油」「味噌」と「どぶろく」の3つだけとのこと。この店でどぶろくの製造がスタートすれば金沢の大野に“最強発酵食品”の3つが揃うというわけです。
発酵食品の豆知識にうなずきつつ店内を進むと、開放感たっぷりのテラス席があります。眼前には金沢港に注ぐ浅野川の末流、晴れた日は遠くに霊峰・白山を望むことができます。ヤマト醤油味噌は、すべての製品の仕込み水に白山の伏流水を使用しています。そんな深いつながりに思いを馳せながら、降り注ぐ日差しも心地良いテラス席はまさにアッパレ!な空間です。
どぶろくの飲み比べと発酵調味料を使ったバーガーに注目
「どぶろく(甘にごり・酸にごり)2種の飲み比べ」600円
そんなテラス席でいただくのは、お店のイチオシでもある「どぶろく2種の飲み比べ」です。全国各地のどぶろくからスタッフが厳選した「甘にごり」と「酸にごり」の2タイプの味の違いが楽しめます。甘にごりは原料のコメの甘みが濃厚に伝わる味わいに対し、酸にごりは後味にさわやかさが残ります。
「糀バーガープルドポーク 燻製醤油糀」 1300円
そして、「糀バーガー」にも要注目! メニューは2種類あり、「糀バーガープルドポーク」は、「塩糀」に漬け込んでグリルした豚のかたまり肉をほぐし、洋風香辛料でスパイシーな味付けの具材で食べ応えもある大人なバーガーです。
フードやドリンクに使用するオリジナルの発酵調味料ソースやシロップ
サンドされた肉と野菜の具材をまとめるソースは、洋食と「糀」との取り合わせを意識して店が独自開発した糀調味料「燻製醤油糀(くんせいしょうゆこうじ)」。食べてみると、洋食仕立ての肉の辛さの中にも和のうま味と燻製の香ばしさを感じることができます。もうひとつのバーガーメニュー「糀バーガーサーモンフライ レモン塩糀」は、レモンのさっぱり感と糀のまろやかさがサーモンに合います。
「糀レモネード」600円
お酒が苦手な方や、ハンドルキーパーの方には、ノンアルコールドリンクの用意もあります。もちろんそれも、「糀」を使ったオリジナルドリンク。「糀レモネード」はレモンのさわやかな風味と「糀」独特の甘みが絶妙にマッチした飲みやすい一杯です。ほかにも甘酒をベースにした個性豊かなドリンクが揃います。
創業者の開拓精神を継ぎ、「発酵食のまち・大野」がますます楽しく
店内では、国内の酒蔵から厳選して取り寄せた数々の濁り酒を試飲することもできます。気に入った銘柄は、その場で購入可能。そしてラインナップには、同じ大野の地でクラフトジンを手がける「アレンビック大野蒸留所」の1本も並び、店のコンセプトである「大野と発酵文化と酒」が楽しめる「発酵酒場」のミニコーナーになっています。
また別の一角には、ヤマト醤油味噌が手がける醤油や「塩糀」「醤油糀」といった糀調味料、甘酒などの商品も紹介されています。気になった商品はヤマト・糀パーク内にある直営店「本店 ひしほ蔵」で販売されているのでチェックしてみてください。
■本店 ひしほ蔵(ほんてん ひしほぐら)
TEL:076-268-5289
営業時間:10~17時
定休日:水曜
「金沢天晴 山藤濁酒研究所」の「山藤」は、ヤマト醤油味噌の創業者の山本藤松の屋号「山藤(やまと)」に由来します。船乗りだった藤松は、北前船の交易にも関わりながら商売を拡大していったとのこと。そのパイオニア精神を受け継ぐ意味を込めて新店の名前が付けられました。大野発のどぶろく製造のスタートが待たれるところですが、「発酵のまち・大野」からますます目が離せません。
■金沢天晴 山藤濁酒研究所(かなざわあっぱれ やまとどぶろくけんきゅうじょ)
住所:金沢市大野町4-イ170ヤマト糀・パーク内
TEL:なし
営業時間:11~18時(17時30分LO)
定休日:火・水曜
Text:能登印刷株式会社
Photo:山岸栞依、能登印刷株式会社
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