東京・京橋のアーティゾン美術館にて、2025年3月1日(土)〜6月1日(日)の期間で「硲伊之助展」が開催中。
「硲伊之助」という名前を聞いて、ピンとくる人は少ないかもしれませんが、実は画家でありながら陶芸家でもあり、かつコレクターとしても活躍していた人なんです。
そんな硲伊之助の作品を多数見られるほか、彼が収集したアンリ・マティスなどの作品も展示。また、おしゃれなグッズ展開にも注目ですよ。
アーティゾン美術館で「硲伊之助展」が開催中
アーティゾン美術館にて3月1日(土)からスタートした、「硲伊之助展」。
硲(はざま)伊之助は、自ら画家・陶芸家として活躍するほか、画集の編集や本の翻訳、展覧会に立役者として携わるなど、さまざまな顔を持ち合わせていました。
硲伊之助《女の背》1917年、個人蔵(加賀市美術館寄託)
本展では、油彩画や版画、磁器などの作品と資料83点、硲と関わりのある当館の西洋絵画コレクション17点、あわせて100点が展示されているそう。
硲にまつわる展覧会は今までも行われていたものの、これほどたくさんの作品がそろい、多様な側面を紹介する回顧展が東京で開催されるのは、今回が初めてだといいます。
硲伊之助《南仏風景(シミエの眺望)》1928年、硲伊之助美術館(加賀市美術館寄託)
硲は1921年にヨーロッパへ渡り、フランスの画家・マティスと出会い、師として教えをこうていたのだとか。会場には、硲が絵の研究のために購入したという、マティスの作品も展示されていますよ。
硲はのちに、画家や画商たちと交渉し、国内で初めてとなるマティス展にも携わりました。
硲伊之助《九谷上絵 鳥越村採石場大皿》、1975年、硲伊之助美術館(石川県九谷焼美術館寄託)
1951年頃からは、陶芸作品を作るためにたびたび石川県小松市に滞在し、九谷焼の制作方法について教わっていたとのこと。
画家やコレクター、実務家として活躍するだけでなく、磁器まで手がけるという、その多彩っぷりに驚かされますね。
ボリュームたっぷり、大満足のコンテンツ
展示風景
初期から晩年までの絵画が一堂に会する「硲伊之助展」。油彩画のほか、木版画と石版画、新聞掲載の挿絵や雑誌のカット原画も手がけており、本展でも多くの作品が展示されています。
マティスに師事していたこともあり、どこかマティスらしいニュアンスが感じられる作品も。
硲伊之助《室より(南仏のバルコン)》、1935年、硲伊之助美術館(加賀市美術館寄託)
海外への渡航経験が多かった硲は、海外の風景もたくさん描いています。
アンリ・マティス《青い胴着の女》1935年、石橋財団アーティゾン美術館
戦後すぐの海外渡航が難しい時代、硲はマティスからの手紙により招請されるかたちで1950年にフランスへ。
硲が画家や画商たちと交渉し、1951年にマティス展とピカソ展、1952年にブラック展、そして1958年にゴッホ展が、それぞれ国内で初めての展覧会として開催されました。西洋美術の紹介者としても大きく貢献した人物として紹介されています。
硲伊之助《燈下》1941年、油彩・カンヴァス、硲伊之助美術館(加賀市美術館寄託)
油彩画や版画、書籍や陶芸作品など、多彩な展示ラインナップにわくわくすること間違いなし。硲について詳しく知らなかったという人でも、鑑賞後にはすっかり魅了されているはずです。