「笑って読める終活ギャグマンガ」と話題の『ひとりで死にたい』がドラマ化。主演の綾瀬はるかさんがBAILAに登場! 主人公と共感しながらも、ご自身の経験を踏まえた、幸せの法則を持つ綾瀬さん。ドラマの見どころについて聞いてみた。
人生のあり方を笑いと学びで考え直すドラマ
放送中のドラマ「ひとりでしにたい」で、俳優の綾瀬はるかさんは主人公・山口鳴海を好演している。都内の美術館で学芸員として働く35歳の鳴海は仕事や推し活、愛猫との時間にと独身生活を満喫中。おひとりさまのキャリアウーマンで、いつも美しく憧れだった伯母の孤独死の知らせに衝撃を受け、自分の生き方を見つめ直していくという物語。綾瀬さんは鳴海を演じるにあたり、インパクトのあるタイトルは“自分らしくありたい”という意味だと読み解いた。
「“ひとりで生きて、ひとりで死にたい”というセリフを読みながら、それって何だろうと考えたんです。誰かと一緒にいるか、いないかというよりも、鳴海が望んでいるのは自分らしく自分の人生を全うすることなのではないかと。同僚の那須田君(佐野勇斗)が色々と教えてくれるので、それをきっかけに鳴海は学び、ときに悩みながら奮闘します。マイペースなところは私にも似ていて、彼女の気持ちもわかる。見ている方たちもきっと、主人公と一緒に学んでいけるドラマだと思います」
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不安になるときは言葉の力を借りてみる
「鳴海が不確実な未来のことを妄想しながら、うわー、どうしよう!と不安に陥るシーンは、そのひとり相撲っぷりに、私と似ているなって思っちゃいました」と主人公に共感する綾瀬さん。人生に忍び寄る数々の“不安”とどう向き合うかはこの作品のテーマでもある。鳴海の場合は愛猫や推し活に夢中になったり、知識を得ることで不安への対策をしているけれど、綾瀬さんはどう対処しているのだろう?
「本を読むようにしています。たとえば、人に何かを伝えたいときにはコミュニケーションについての本とか。誰かと話していて、自分の意見を伝えるときに、何を伝えるのか、言わないほうがいいのか、一周して今の時代にあっている考えなのか?と不安になることがありますよね。大人になって経験を積めば積むほどわからなくなったりすることがあります。本を読んだからといって、必ずしも解決するわけではないのですが、自分のなかで少し不安が落ち着くような気がするんです」
自分らしくいられると自然と幸せを呼び寄せる
いつもハッピーなムードに包まれている綾瀬さん。その姿を見ていると、自分のことを知ろうとすることが幸せへの近道なのではないかと感じる。
「物事をこうでないといけないと決めつけるのは好きじゃないんです。自分から見えている範囲って、ほんの一部分。そこだけを見てネガティブにとらえるよりも、ポジティブに考えたほうがいいんじゃないかな。私はいつも、今自分に起こっていることは“ちょうどいい”ものが訪れているんだと思うようにしているんです。そう考えるようになったきっかけは10年前に結婚式でもらった兄からの手紙です。短い言葉で“ちょうどいい人がおるといいね”と書いてあって、いいなと。それからは自分にとって“ちょうどいい”人がいつも周囲にいると思えるようになったし、仕事に対してもそのときの自分に見合ったものをいただいていると考えられるようになりました」
主人公・鳴海が探し求める、自分らしくいるための条件を綾瀬さんに聞くと、意外な答えが返ってきた。
「無邪気さですかね。子どものような邪気のない状態は忘れずにいたいです。大人になると、新しいことに出合うと構えてしまったり、反対にこんなものだろうと思ってしまうことが増えます。自分なりの基準が固まっているのでしょうね。仕事をする上で、その“鎧”の部分も大事なのですが、もう一方で純粋に感動するところも必要だなと。先日、平井堅さんのライブに行ったのですが、20歳ぐらいのときの気持ちを思い出してエモくなって(笑)。無邪気な気持ちで心を動かされることって、色々なものを吸収しやすくなるし、自分も幸せだなと思うんです」
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ドラマ「ひとりでしにたい」
原作:カレー沢薫
脚本:大森美香
出演:綾瀬はるか、佐野勇斗、國村隼、松坂慶子ほか
文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したカレー沢薫原作をドラマ化。大河ドラマ「青天を衝け」などで知られる大森美香が脚本を手がける社会派「終活」コメディ。主人公・山口鳴海と同僚で都庁から出向中のエリート那須田とのかけ合いにも注目したい。毎週土曜22時~・NHK総合で放送中。
撮影/河津達成 ヘア&メイク/中野明海 スタイリスト/吉田佳世 取材・原文/小倉倫乃 撮影協力/ZOO動物プロ ※BAILA2025年8・9月合併号掲載