一方、腟の外側にかゆみがあり、下着の蒸れや摩擦など思い当たる原因がある場合は、市販薬を2〜3日使用して様子を見るのも一つの方法です。ただし、それでも改善が見られない場合は、別の原因が考えられるため、受診をおすすめします。
「汚れているからかゆいのでは?」と思い込み、熱いお湯で洗ったり、殺菌力の強い石鹸を使ったりして、かえって症状を悪化させてしまう方も少なくありません。かゆみを感じるときほど刺激は避けたいので、石鹸を使わず、ぬるま湯でやさしく洗うだけにしてみてください。
また、下着を綿やシルクなど通気性の良い素材に替えるのも有効です。おりものシートは蒸れやすいため、かゆみが強いときは使用を控え、できるだけ刺激を与えない環境を心がけましょう。
──生理中は特ににおいが気になります。どのようにケアすればよいでしょうか?
福山先生:まず、細菌の繁殖を防ぐためにも、同じナプキンを長時間使用するのは避けましょう。目安は2〜3時間おきの交換です。
また、アンダーヘアが多いと蒸れやすく、においの原因になることも。毛量を整えることで通気性が良くなり、においの軽減が期待できます。特にIラインのケアは効果を感じやすいと思います。
生理の経血そのものには、基本的に細菌は存在しません。においの多くは、腟から外に出たあとに血液に細菌が繁殖することで生じます。そのため、経血をやさしく、こまめに拭き取ることが大切です。市販のデリケートゾーン用ワイプを活用し、清潔な状態を保つことで、においが気になりにくくなりますよ。
洗浄の際は、刺激の少ないデリケートゾーン専用の洗浄料を使うと、必要なうるおいを守りながらすっきりと洗うことができます。
──生理中でもないのに、においが気になるときはどうすればよいでしょうか?
福山先生:「今すぐ、このにおいをどうにかしたい」という場合は、デリケートゾーン用の拭き取り用シートでやさしく拭き取るのがおすすめです。一時的ではありますが、清潔な状態にすることで、においは落ち着きやすくなります。
ただし、体質が関係しているケースもあります。いわゆる「裾ワキガ」と呼ばれる状態で、汗腺の働きによって特有のにおいが出やすい方も。その場合は、ボトックス注射などの医療的アプローチが選択肢になることもあります。
また、感染症が原因でにおいが生じている場合もあります。この場合はセルフケアでは改善が難しく、治療が必要です。「いつもと明らかに違うにおいがする」「ケアをしても改善しない」と感じたときは、早めに医療機関を受診してください。適切な治療を行うことで、においは改善していきます。
デリケートゾーンは「乾燥」と「摩擦」を避けることがケアの基本
──肌には敏感肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌など種類がありますが、デリケートゾーンにもそのようなタイプ分けはあるのでしょうか?また、顔の肌質との相関性はありますか?
福山先生:明確に肌タイプを分けることは難しいですが、強いて言えば、デリケートゾーンは「敏感肌」と考えてよいと思います。その名のとおり、とてもデリケートな部位で、皮膚の厚さは顔でいうと目周りと同程度。手足の皮膚と比べると、約1/42ほどの薄さしかないと言われています。
そのため、刺激を受けやすく、顔の肌質にかかわらず、誰でもトラブルが起こりやすい部位だと認識しておくことが大切です。
──デリケートゾーンも保湿したほうがよいでしょうか?
福山先生:若い年代では必ずしもマストではありませんが、閉経が近づくにつれてエストロゲンが低下すると、腟の内側だけでなく外陰部も萎縮しやすくなり、乾燥や違和感を覚える方が増えてきます。そのタイミングからは、保湿ケアを取り入れるのがおすすめです。
ただし、過剰なケアは逆効果になることも。近年はオイルタイプのアイテムも人気ですが、人によってはニキビの原因になる場合もあります。たとえば、皮脂分泌が多いなと感じる方や若い方は油分の少ないミルクタイプ、乾燥していると感じる方や、閉経後の方はオイルタイプなど、自分の体質に合ったものを選びましょう。デリケートゾーン専用のアイテムを使うのがオススメです。
デリケートゾーンに赤みやヒリつきなどのトラブルがあるときは、負担をかけないケアが基本。不純物を取り除いて精製したワセリンは刺激が少なく、使いやすいアイテムです。デリケートゾーンは経皮吸収率が高いため、成分はできるだけミニマルな処方のものを選ぶようにしましょう。
──デリケートゾーンは、エイジングが進むとどのような変化が起こるのでしょうか?
福山先生:デリケートゾーンは、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を非常に強く受ける部位です。そのため、エストロゲンが低下してくると、外陰部や腟が萎縮しやすくなります。
顔と同じで、何もケアをしないままでいると年齢サインが出やすい部分でもあります。乾燥によってハリが失われ、しわっぽくなったり、縦じわが目立つようになったりします。また、脂肪組織が減少することでボリュームが失われ、たるみを感じる方も少なくありません。さらに、色素沈着が気になるという声も多くあります。
──エイジングサインを防いだり、改善したりする方法はありますか?
福山先生:大切なのは「乾燥」と「摩擦」を避けること。この2つをいかに減らせるかが、エイジングケアの基本になります。
まず意識してほしいのは保湿です。乾燥した肌は外からの刺激に弱く、トラブルが起こりやすくなります。また、摩擦を避けることも重要なので、ゴシゴシ洗うのは絶対にやめてください。
下着やナプキン選びも大切なポイントです。素材としてはシルクが理想的ですが、価格やお手入れの面で難しい場合は、綿素材でも十分。肌当たりが硬く感じる素材の下着を日常的に身につけていると、鼠径部の黒ずみが気になりやすくなることもあるので、レースの質感にも注意しましょう。
ナプキンは、擦れにくく、自分の肌に合ったものを選ぶことが大切です。蒸れている状態の皮膚は刺激に弱いため、ほどよい湿度を保つことを意識してください。
また、ナプキンを長時間つけっぱなしにするということは、水分を含んだポリマーを陰部に密着させ続けている状態。冷えや蒸れにつながります。こまめな交換を心がけましょう。タンポンや月経カップも、上手に使えば蒸れを軽減できるので、蒸れが気になりやすい方には選択肢の一つとしておすすめです。
──セルフケア以外の選択肢はありますか?
福山先生:セルフケアだけで改善が難しい場合は、美容医療を取り入れるのも一つの方法です。私のクリニックでは、ピーリング後にピコレーザーでトーニングを行う施術をよく行っています。ピーリングによって古い角質が取り除かれることで透明感が高まり、ざらつきが改善され、1回でも手触りの変化を実感される方が多いです。
ピコレーザーは、メラニン色素を少しずつ分解していくレーザーなので、回数を重ねることで色調の改善が期待できます。また、ボリュームの低下や萎縮が気になる場合には、ヒアルロン酸注入や腟HIFU(ハイフ)といった治療も選択肢になります。
──脱毛(VIO)している人と、していない人でケアの方法は変わりますか?
福山先生:VIO脱毛をすると、毛がある状態に比べて蒸れにくくなる一方で、乾燥しやすくなる傾向があります。また、毛がクッションの役割を果たしていた部分がなくなることで、下着やナプキンが直接肌に触れやすくなり、摩擦による刺激を感じやすくなることも。そのため、VIO脱毛をしている方ほど、保湿ケアは意識的に行ってほしいですね。
──そもそもVIO脱毛はした方がよいのでしょうか?
福山先生:よく聞かれる質問ですが、基本的にはどちらでも問題ありません。ただ、かゆみを繰り返している方や、毛量が多く蒸れや摩擦が原因でかゆみが出ている場合は、脱毛によって症状が楽になることもあります。