すっかり暖かくなりましたが、衣替えは終わりましたか?クリーニングや手洗いは面倒だけれど、大切なニットに虫食いや変色が起きるのは防ぎたいですよね。そこで、正しいお手入れをして長く着られるよう、東急ハンズ新宿店「ずっとパリっと用品店」店主の水鳥さんにアドバイスをいただいてきました。
東急ハンズ「ずっとパリっと用品店」の店主さん
ーSheage編集部(以下S)
前回の取材では、コートのお手入れ方法をたくさん教えていただき、ありがとうございました!さすがは「ずっとパリっと用品店」の店主さん!びっくりするほど詳しいですね。
ーHi!Tenshu 水鳥さん(以下水鳥)
ありがとうございます。東急ハンズ新宿店の「Hi!Tenshu」は、スタッフ自身が大好きな分野の「商店」を開いて店主になるという特別なコーナー。任せてもらっているからには…と、色々な商品を家でも使ってみたりと日々研究しています。
ーS
研究熱心ですね!
ー水鳥
やっぱり自分で使ってみて、良かったものをお客様におすすめしたいんです。東急ハンズのブログでも、アイテムを使ってみた感想を「片付けられる女育成日記」として情報発信しています。お手入れや収納に悩む方の力になれたらうれしいなと思いまして。
ーS
心強いです!それでは早速、衣替え前のニットのお手入れ方法について教えてください。気に入っているニットが、しまいこんでいるうちに虫食いや変色のせいで着られなくなるのは避けたくて…。
ー水鳥
ニットには、ブラッシングが有効です。クリーニングはもちろん、最近ではお家で洗えるニットも多いですが、繊維の中の汚れをブラシでかき出してあげることも長持ちに繋がるんですよ。虫食いや、変色に繋がるカビの原因になるホコリなどを取り除けますし、生地を整えることで毛玉もできにくくなるんです。ニットの種類別に、おすすめのブラシとお手入れ方法をご紹介しますね。
ニットはブラッシングの前に、まず毛玉取りを
ーS
それでは早速おすすめのブラシを教えていただけますか?
ー水鳥
はい、でもニットはブラッシング前に毛玉取りをするのがおすすめです。ニットの毛玉を放置していると、見た目も気になりますし、繊維の中のホコリを取り除くのに邪魔になってしまいます。
毛玉はブラッシングでは取れないので、まずは専用のブラシで取り除きます。毛玉取りには電動のものもありますが、おすすめはこちらの「浅草アートブラシ 毛玉取りブラシ匠」。猪の毛で作られていて、ブラッシングすることで繊維を整えてくれるから、次の毛玉ができにくいんですよ。
ー水鳥
毛玉を取るには、表面の毛玉だけを絡め取るように軽く払っていきます。カシミヤなどのデリケート素材は特に優しく払ってくださいね。
ーS
サッと払うだけでちゃんと毛玉が取れてますね!
ー水鳥
猪の天然毛はコシがあるので、毛玉をしっかりと取ってくれるんです。このブラシにはブラシについた毛玉を取るための櫛もセットになっているので、使った後はブラシ自体のケアもお忘れなく。
ウールや化学繊維のニットは、豚毛や黒馬毛の硬めブラシで
ー水鳥
毛玉取りができたら、いよいよブラッシングです。
ーS
はい。では、ウールのニットにおすすめのブラシはありますか?
ー水鳥
ウールのような目の詰まったものには、硬めの豚毛や黒馬毛のブラシを。今回ご用意したのは「東急ハンズオリジナル洋服ブラシ ウール用」です。しなやかな馬毛で、ニットの繊維の毛並みを整えてくれます。
ー水鳥
ブラッシングの方法としては、まず編み目の反対方向に払うようにします。
ーS
編み目の反対方向…?
ー水鳥
はい。ブラシを一度いろんな方向にかけてみると、スムーズにいく方向といかない方向があるのを感じると思います。そのスムーズにいかない方に向けて払うようにして、繊維の奥に入り込んでいるホコリをかき出します。そして仕上げに、反対方向へ払うかたちで毛並みを整えてください。
ーS
なるほど。ちなみに、リブニットやアランニットのような立体的な編み模様のものはどうですか?
ー水鳥
その立体感のあるところは目が粗くなっていたりするので、ホコリがたまりやすいんです。それをしっかりかき出せるように、編み目に沿って細かくブラシを動かすようにするといいですね。
ウール以外に、アクリルやナイロンといった化学繊維の素材にも同じブラシとかけ方で大丈夫です。
カシミヤやモヘアのニットは、山羊毛や白馬毛の柔らかブラシで
ー水鳥
カシミヤやモヘアのようなデリケートなニットには、白馬毛や山羊毛の柔らかいブラシがおすすめです。この「江戸屋洋服ブラシ カシミヤ用」は豚毛ですが、特殊な2段植毛と繊細な毛先でより生地を傷めにくい作りになっています。
ブラッシングの方法はウールと同じで、ブラシをかけにくい方向へ払ってホコリを落とし、反対方向に払って表面を整えていきます。
ーS
ちなみに、複数の素材を使った混紡のときには違いはありますか?
ー水鳥
混紡の場合は、柔らかい素材に合わせてブラシを選んでください。例えば、カシミアとアクリルの混紡なら、カシミヤ向けのブラシを選ぶようにしておくと安心です。
ーS
柔らかいブラシだと、あまりホコリが取れないっていうことはないんでしょうか?
ー水鳥
いえ、むしろ毛先が柔らかければ細い繊維の隙間にも入り込んでいくので、細かいところのホコリも取れます。それでデリケート素材にまで使えるという優れものなんですよ。