世の中には、科学では証明できないこともあるようです。憑依体質の漫画家・犬養ヒロさんが聞いてしまった【知りたくなかった怖い話】を紹介します。今回は、木彫りのお守りにまつわる話……。
文・イラスト 犬養ヒロ
【犬養ヒロの知りたくなかった怖い話】vol. 13
木彫りのお守り
知りたくない度★☆☆
(ゆりか 27歳・音楽関連)の体験談
私が子どもの頃からずっと、実家では猫を飼っています。
数年前のある日のことです。当時飼っていた猫が、玄関のドアからスルっと外に出てしまいました。いつもなら外に出てしまっても必ず家の周りにいて、すぐに帰って来るのですが、その日は姿が見えず、家族中で探してもぜんぜん見つからなかったんです。
それから、4~5日後のことです。猫はまだ帰らず、みんなとても心配していました。そんな時、ふと見ると、なぜか玄関に続く廊下に掛けてあった木彫りの飾りが落ちていて、一部がまるで割られたみたいに不自然に欠けていました。
「いつの間に落ちたんだろう……。今まで一度も落ちたことなかったのに」
それはバリ島に行ったときに買った、わりと大きな木彫りの魔除けの顔で、しっかりと壁にかけられていたので、よほどの大地震でも起こらない限り、落ちるはずがないのです。
「あーあ……気に入ってたのに。直せるかな~」と廊下に置いておきました。
その翌日のことです。家の側面の玉砂利のところで、行方不明になった猫が倒れているのが見つかったのです……!
「どうして…こんなところで…?」
猫は死んでいて、その身体はすでに硬直していました。
身体に傷は無く、田舎なので事故にあったとも思えません。死んだ原因はわからず、とてもかわいがっていた猫だったので、家族中が悲しみに沈みました。後日、猫の葬儀をして手厚く葬りました。
葬儀を終えた後、猫が死んでいた場所にお花を置いていると、ふと気がつきました。猫が死んでいた場所は、木彫りの魔除けが掛かっていたところの、ちょうど正面だったのです。
ただの偶然なのか気になって、調べてみると……。
その飾りは「ボマ」というバリ島のヒンズー教の魔除けで、神聖な場所を守る役割があるとのことでした。
その「ボマ」は遺体を火葬場まで運ぶための輿に付けるものでもあるそうです。
そのとき、ふと思いました。
「もしかしたら…、うちに何か悪い災いが起こるはずだったのかもしれない。猫は死んでしまったけれど、もしかしたら家族をボマが守ってくれたのかも知れない……」
その木彫りの飾りは、いまでも実家に大切にとってあります。もう壁には掛けていませんが。
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