電車で男性に腕を掴まれたという女性。腕を掴むのは痴漢行為にあたる?
(wutwhanfoto/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)
見ず知らずの他人とトラブルになってしまい、「法律的に問題はあるのか」と悩んだ経験はないだろうか。
このことについて、『Yahoo!知恵袋』に投稿されたとあるトピックが話題になっている。
■中年男性に腕を掴まれる
「今日電車でいきなりおじさんに腕を掴まれました」とつづった投稿者の女性。乗っていた電車で中年男性と何らかのトラブルや口論があったようで、投稿者が男性から腕を掴まれたとのこと。
「触らないでください」と告げたところ、男性は「触らないでってなんだ! お前が悪い!」と怒鳴り散らしてきたとし、投稿者は恐怖を感じて電車を降りたという。
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■痴漢行為とみなせる?
その後、駅員を呼んで再度ホームへと戻ったが、電車はすで発車しており、男性をつかまえることはできなかったようだ。駅員からは「こういう時は車内のボタンを押してくれたらすぐ来るから、次からそうしてね」と言われたという。
投稿者は、男性から掴まれたことについて「痴漢行為とみなせるのか」と疑問を抱いたという。
■齋藤健博弁護士の見解は…
はたして、腕を掴む行為は痴漢にあたるのか。しらべぇ編集部が弁護士・齋藤健博先生に話を聞いたところ、「腕をつかむ行為に関しては、他人に対する有形力の行使を意味しますので、暴行罪が厳密には成立します」とのこと。
しかし、一方で「その目的によっては、有形力の行使が小さい、また、正当な理由があったなどすると、犯罪にはなりません」と話す。今回の場合、トラブルの詳細について記されていなかったため、何とも言えないということだろうか。
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■緊急停止ボタンを押しても問題ない?
また、投稿者は駅員が言うように緊急停止ボタンを押して電車をとめた場合に損害賠償を請求されるのかどうかも不安視している。
このことについて、齋藤先生は「緊急停止ボタンを押した目的による」と話す。「万が一、電車運行の業務を妨害する目的でこのような行為に及んだ場合には損害賠償請求の可能性、偽計業務妨害罪の成立可能性があることは指摘しなければなりませんが、正当な理由、たとえば助けを求めていた、などの事情があれば、問題ありません」とのことだ。
もしも、電車で何らかのトラブルに巻き込まれてしまった場合は、遠慮せずに緊急停止ボタンを押して駅員を呼ぶのがよさそうだ。
(文/しらべぇ編集部・二宮 新一 取材協力/齋藤健博弁護士)